第九章「日傘」
アフロ月です。
眠いです。
黒い雪原編
第九章「日傘」
「争離。」
日光は呟いて、居合い。
しかし刀は空を切った。
当たり前だ。相手するオオノガンは、10メートルも離れているのだから。
「日光様……?」
ミノリは疑問に思ったが、すぐ後に起きた現象で、その疑問はふっと消えた。
「……ん……?」
オオノガンを守ろうとした影の魔法が切断されたのだ。
「……ちっ。調整が上手く出来ねぇ。」
日光はもう3度、同じように刀を振った。
そしてもう3度、同じように影が切断されるのだ。
しかし全てが同じ訳では無い。刀を振ってから切断されるまでの間隔が、徐々に短くなっている。
「……ちっ。」
「何だ、今のは?」
顔を横にし、視線を日光へとやる。
ミノリも聞きたい。今のは何だったのか。
「争離。離れた所から相手を斬る技だ。」
「魔法か?」
「んなもん使えねぇよ。これは闇の力によって増幅された俺の筋力が周章狼狽と気持ちが通じあっていて……。」
早口で言う日光。
驚かれている事がよっぽど嬉しいのだろう。得意気に話している。
「終わりか?」
意外や意外。オオノガンの挑発。……今、日光の手が微動した。
煽られるのは苦手なのか。ミノリの煽りも、日光は苛ついていたようだし。
「大分掴めてきた。汽車内でさらに怪我人がいるんだ。加減は得意なんだけど……なっ……!!」
影を捉えた。速い。
日光が振り終わった瞬間に、斬撃は届いた。
「まだだ。」
居合いで無くとも斬撃は届く。
構えに戻る暇など無いので、回転して斬撃。
手首を使い刀を回せば、威力は落ちるものの機関銃のように連射が出来る。それだけでも脅威なのだが、手を休める様子は無い。
オオノガンも手を休められない。
戦いは、持久戦に持ち込まれた。
・・・・・・・・・
「あれが、その汽車ですか?」
「…………。」
こくん……と、少女は頷いた。
緑の国のとある丘。
二人の女が、暴走している汽車を発見した。
桃の国へ向かうはずだったのだが、クローバーの駅では停まらず、走り続ける汽車に驚きを隠せなかった。
仕方無く、汽車の様子を先回りして窺うことにしたのだが……。
「やはり、一部破損しているようですね。停まらないのはあれが原因でしょうか?」
「…………。」
ぶんぶん……と、少女は首を横に振った。
「違うとなると……乗客に問題があるのでしょう。……乗りますか。」
「…………わたしは。のらない。」
「では、私だけ乗り込めと……。承知しました。その後は?」
「……すきに。して。」
その時。
一陣の風が吹いた。
「そう……す…………分か……ま……た。お世話にな…………。……さん。」
「…………。」
「……ンワ……ダー……ットさんも。……では、参ります。」
一人の女が、汽車に向かって駆け出した。
追い付ける。確信はあった。
確信通り、女は汽車と同じ……否、それ以上のスピードで駆けている。
「あの方のお陰ですね。もうすぐおまじないが消えそうだし、早めに乗り込むとしましょうか。」
・・・・・・・・・
「お疲れ様ー!今日も絶好調だね!」
「そんなことはない。だが、感謝する。」
「やったー!感謝いただきましたー!」
軽薄そうで軽々しい、所謂チャラい男と、規律に厳しそうな少女はとある街。……いや、街ではない。
ここは、黒の国傭兵育成機関「闇夜の一星。」
機関の中では最大級の広さを誇り、かなり特異な方針を掲げている機関だ。
そこにあるバーで、一休みしていた。
「……ふぅ。それにしても、ここにはバーがあるのか。中々お洒落ではないか。」
オレンジジュースを一口飲み、少女は言った。
男は直ぐ様、でしょでしょ!?……と、やはり軽々しい口調で肯定する。
「俺も最近見つけたんだよねぇ~!何と言っても、ここのピーチカクテルは最高さ!」
「酒か?なら、私は飲めんぞ。」
「そういやそうだった、俺、一生の不覚!」
それでも陽気な男に、苦笑する少女。
「いつも通りだな、博羽。」
博羽と呼ばれた男は、Vサインを作る。
「ローテンションでやっていけるわけねぇじゃん?それなら、明るく生きる方が、俺には合ってる気がするんだよね~。」
「……そうだな。……おお。あと少しで再開ではないか。」
「ええ~!?もう仮想国戦闘始まんの!?」
「定刻はすぐだ、準備は?」
「大丈夫!それじゃ行こうぜ、カサちん!」
少女カサは、服装を整えて店を出た。
こんにちは、アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
今回は久しぶりに彼女が登場しましたね。
黒の国へ行った彼女はうまくやれているようです。
再会はいつになるのか……。
そして、謎の人物が汽車と接触しようとしています。
……分かる方には分かりますよ。
最後に、後書きまで読んでくださってありがとうございます。
またお会いしましょう。
Thank You。




