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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
深淵の箱庭編
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第二章「忌避と邂逅」

どうも。

萌葱色変奏曲です。

萌葱色というのは緑系統の色です。

目に優しいですね。

 第二章「忌避と邂逅」




「霧雨先輩!!」


 イツキが目を覚ますと、顔の前で声を張られた。


「…………まぐろ……俺……。」


 少しうるさい気もしながらイツキは彼女の名を呼んだ。気付けば、イツキはまぐろに抱かれるように倒れている。一体何が起きたのだろうか……?何故ここで倒れているのだろうか?


「……えっと……?確か、今日は入学式で……あれ?…………!!」


 意識がハッキリするにつれて、記憶も徐々に甦ってくる。回りを確認したいが顔を動かす気にはなれず、視線だけを右にずらす。

 見やると、先程と同じ「山」と赤溜まり。ただひとつだけ違ったのは「山」の傍らに体格の良い男が一人、呻き声をあげながら倒れていたことだ。ゆっくりと上半身を起こすイツキ。


「……。」


 ただ茫然とするイツキに対し、まぐろはこう言った。


「一糸乱れぬ動きというものを見た気がします。助けてくださって……本当にありがとうございます。」

「え?」

「え……覚えてないんですか?その男の人との戦いを。」


 そう言われて考え込むイツキ。男を見た……までは思い出せるのだが、どうも記憶が混濁して思い出せない。


「……すまん。」

「い、いや、謝ることじゃないですよ!」

「……そうだな……。」


 そこで気付く。イツキの両手が真っ赤に染まっていたことを。


「ぅ……ぁぁぁあああああぁぁぁぁ!?」

「霧雨先輩!?」

「俺……お、れが……やった………の……か……?いやでも、それ、は、分かってたこと、だし……。」

「………………。」

「…………そっか。俺…………が…………。」

「霧雨先輩……大丈夫ですか?」


 心配そうに顔を覗かせるまぐろ。


「あ……す、すまんまぐろ。大丈夫だ。」

 安心させるように微笑み、それをまぐろに向けるイツキ。

「……分かりました。」


 何かを察したのか、少しの間が空いたものの、まぐろは納得してくれたようだ。


「とにかく、ここを離れよう。行くぞまぐろ。」

「は、はい!」


 イツキはゆっくりと立ち上がると、まぐろと共に教室から駆け出した。



 ……くそっ、体が……骨の髄まで抉るような感触を……覚えてる……。



 ・・・・・・・・・



「霧雨先輩、どこに向かってるんですか?」

「渡り廊下。」


 教室を出た二人は階段を駆けあがっていた。

 ……否、正確にいえば駆けるイツキにまぐろがついていっているといった感じだ。

 階段をあがって4階……右に顔を向けるとすぐそこに渡り廊下が見える。少し走った後、目的の場所に着いたのかイツキは急に立ち止まった。


「うわっ……!?」


 突然のことに驚き衝突してしまいそうになるも、なんとか踏ん張る。……イツキの緑髪から、少しいい匂いがした。


「いきなり止まって……どうかしました?」


 返事はない。今イツキは、目線を窓の端から覗かせていた。


「やっぱり校門は無理っぽいな。別のルートを探せってか?」

「霧雨先輩ー?」

「どうした?」


 返事はある。しかし、あちらを向いたままで振り返ってはくれなかった。


「それはこっちの台詞ですよ。どうしたんですか?」

「……ああ。」


 言うと、イツキは体ごとまぐろの方へ向きを変えた。


「校門から脱出は出来そうにないから、別のルートを探す。都合良くあればいいんだけど。」

「えっ!?脱出って、逃げるんですか!?」

「ん?ああ。」

「防衛戦とかは……?」

「しない。っていうか、俺達の実力じゃ無理だと思うぞ。」

「でも、他にも生き残ってる人達がいるかもしれないじゃないですか!」

「……生徒の自主性を重んずる。それがこの学校のルールだ。」

「そんな……!?」

「まぐろ!!!」


 叫び、まぐろを自身の後方へと投げる。

 次の瞬間たった今まぐろが立っていた地点が大きな音とともに瓦礫で埋め尽くされた。


「きゃあっ!?」


 巻き起こる土煙。


「何だよ……!?誰かが上で何かやってるのか……って、……?」


 音も止み、煙が晴れてくる。すると瓦礫の上に大きな人影が見えた。

 何だ……?イツキはそう思い目を凝らす。


「うっ……ううっ……。」


 すると、青い軍服を着た大柄な男が仰向けでうめき声を上げていた。


「でかっ、ってか青……!?……敵かよ、まぐろ!」

「は、はい!」

「こっちは無理だ!向こうに走れ!!」


 瓦礫や男で塞がれたため、進行方向は一つ。通路の反対を指差しまぐろに走るよう促したイツキ。


「遅れるなよっ……ちっ……!」

「い、いっぱい来ました!!」

「分かってる!!俺の後ろにいろ!!」


 イツキ達の進行方向には、いつの間にか複数の敵がいた。

 分かるだけでも20。イツキは息を呑んだ。

 しかし足を止めると死ぬ。確実に殺される。背筋を寒気が襲い怯んでしまいそうになるも、イツキは目の前の敵から目を背けるわけにはいかなかった。すると。


「ま、待てまぐろ!!」

「えっ?」


 違和感を感じ、まぐろを手で制する。

 同時に動きを止めたまぐろは混乱した。


「どうしたんですか!?」

「あいつら……襲ってこない……?」

「え?」


 そう言われてまぐろは確認してみた。確かに足を止めているのは自分達だけではない。青の連中も話をしているのか足を止めていたのだ。


「確かに、動いてきませんね。」

「ああ……。」


 イツキは後方を一瞥してみた。上から落ちてきた男はまだ倒れているようだが……もしかするとこの男と何か関係があるのだろうか?


「私も戦います。」


 突然まぐろが口を開いた。その言葉に驚くこともなく、イツキは敵に視線を向けまぐろにこう言い放つ。


「いや無理。戦い方を知らない素人にはな。」

「でも、私ブロードソード持ってますし……。」

「死にたくないなら大人しくしておけ。」

「……っ!!」


 妙なプレッシャーに気圧され言葉を詰まらせるまぐろ。


「来た。」


 狭い廊下をぞろぞろと駆けてくる青の連中。

 イツキはその中に突っ込んでいった。


「ぐあああ!!」

「ごばぁっ!!」


 一人、また一人と倒していくイツキ。得意の戦闘スタイルに相手を誘い痛手を負うことなく……。


「くっ……!」

「霧雨先輩!」


 ……多対一のこの状況。そう上手くいくはずもなく、イツキは左肩に少し切り傷を負った。


「くっ……そっ……!!」


 左右どちらを見ても敵、敵、敵、敵、敵、敵、敵。


「こう……なったら!はあっ!!」


 イツキはその場で回転し、全方位攻撃をしかけた。

 ひいっ……!

 ぐあっ!

 など、各々が声を漏らしイツキから距離を置いた。


「まぐろ、走れ!!!」

「はい!!」


 今だ。イツキは一瞬の隙をつき進路をこじ開けると、まぐろをこの場から離れさせようとした。


「邪魔っするっんじゃねぇ!!」


 イツキは再びレイピアでなぎ払い敵を近付けさせないようにする。

 あとはまぐろが走ってくれば……!


「ぁ……。」


 まぐろの声。それはとても小さく聞き取れるものではなかったが、イツキにはハッキリと聞こえた。


「まぐろ!!!」


 後ろから聞こえた声を確認する。そこには髪の毛を掴まれて尻餅をつくまぐろの姿が見てとれた。

 どうやら敵の一人を通してしまったらしい。

 やばい。

 本能でそう感じとったイツキは微塵の迷いもなくまぐろのもとへと駆け出した。


「ひあっ……!!」

「おらあっ!!」


 髪の毛を掴んでいた反対側の手、剣を持った右手を降り下ろす敵。

 最後の瞬間まで怯えていたまぐろは目をぎゅっと瞑った。

 まわりに血しぶきが飛び散り廊下を赤に染めていく。

 まあそれは、今に始まったことではないのだがそれでも新たにその「元」が出来たのは事実だ。


「…………あ……れ?」

「は……は…………かっ……だいじょ……ぶか?まぐろ……。」


 まぐろの頬に数滴、赤い液体がしたたる。

 眼前には右胸を刺され吐血するイツキがいた。


「き、きり……め、せん、い……!?」


 恐怖で口が思うように動かない。


「ちっ、邪魔するんじゃねえ……よっと!!」

「ああああっ!がっ……ぁぁぁ!!!」


 剣を引き抜かれると傷口を酷い痛みが襲い、それに伴い叫ぶイツキ。

 イツキはまぐろに体を預けるように体重をかけた。

 否、かけざるをえなかった。


「す、まん……立たせて……?」

「は、はい……!」


 まぐろはイツキに言われ、イツキの体を起こそうとする。しかし。


「あれ?あれ?」


 すくんでいるのか、体が動かない。


「おっ?動けないのか?」

「いや、やめて!!ああっ!!」


 それを見てか、先程イツキを刺した敵はまぐろの腕を剣で貫いた。


「いだっい……、や……めでっ……ぐだ……さい……ぃっ!!!」


 目からは涙が溢れ視界が歪む。


「ま…………ぐ……ろ……。」


 力無く言うイツキ。


「さあ、終わりにしようか。遊んでごめんな。」

「ああああっ……。」


 まぐろの腕から剣を引き抜くと、青い敵は剣を降り下ろした。


「ぐああああっ!?」

「え。」


 思わず声が漏れるまぐろ。

 その敵は光とともにぶっ飛んでいったのだ。まぐろが目を白黒させて混乱していると。


「大丈夫かね!?」


 後方から聞こえてくる女性の声。すぐさま振り向き声の主を確認する。

 切り揃えられた前髪にロングヘアーの桃色の髪を揺らしながら、一人の女性が駆けてきた。


「えっと……。」

「話は後さ。」


 そのまままぐろ達の横を通りすぎると、残っていた青い連中を不思議な力でなぎ倒し始めた。


「うわあぁっ!!」

「がふっ!」

「す、すごい……。」


 ものの10秒もかからず、その場の敵を女性は全滅させた。まぐろが驚嘆していると、すぐに女性は駆け寄ってきた。


「痛いよね、すぐに治してあげるからもう少し我慢してくれるかい?」

「あっ、私は後でいいんです。先輩を、霧雨先輩をお願いします!!」

「霧雨……?って、この男の子はイツキ君……みたいだね。」

「え?」


 この口調……この人はイツキのことを知っているのだろうか?するとイツキは一つ咳をすると、まぐろの肩を借りて立ち上がった。


「……まさか、レイさんに会えるとは……。」

「久し振りだね?元気かい?」

「……おかげさまで。ありがとうまぐろ。ごほっ……もう大丈夫。」

「でも。」

「ほらイツキ君。少しくらい甘えてもいいんじゃないかい?」

「この人は……。本当に大丈夫だから。」

「わ、分かりました。」


 イツキが一人で立てたことを確認すると、まぐろは徐々に力を抜き体を離した。


「……それで?なんでレイさんが?」

「なんでとは心外。折角助けに来てあげたのだよ?」

「そうじゃなくて……。」


 するとレイは、はっはっはっ!と高笑いし言葉を続ける。


「分かっているよ。とりあえずこの場を離れようか?こんなところにいたくはないだろう?」

「そうですね。」

「は、はい!」


 二人はレイの提案で、ある場所へ向かうことにした。

こんにちは。そしてはじめまして。

アフロ月です。

萌葱色変奏曲、第二章を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたでしょうか?

稚拙な文章なので理解しがたいところがあれば、それは私の勉強不足です。申し訳ありません。

さぁ、第二章ですが、イツキ達はまぐろと学校脱出を決めました。自主性を重んずるらしいですが……それがタッグ制度につながっているのかもしれませんね。

そして新キャラが出てきました。

レイさんです。

レイさんは女性なのですが話し方に特徴がありますね。

どこか時代劇っぽいというか……演劇っぽいというか……。なんにしろ、劇女子流行らねぇかな……。

第三章では…………レイさん祭です。あなたの見たいレイさんが出てくるかも!?……出てこないかも!?

最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……是非またお会いしましょう。

Thank You。

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