第四章「氷雨」
どうも、アフロ月です。
ふと人気キャラは誰なのかなぁとか思ってみる。
黒い雪原編
第四章「氷雨」
「さあ、フィニッシュだ。」
氷刀を振りかぶり、まぐろに狙いを定めた。
「…………似ていますよね。」
「……なんだって?」
まぐろが呟いた。
少し……笑っているようにも見える。
「似ているというのは……まさか、僕とあいつのこと?」
「ええ。貴方とレイ先輩です。まさしく兄妹といった感じです。」
「……時間稼ぎか?まだ死にたくないからって。」
「どう捉えてもらっても結構です。」
まぐろはゆっくりだが、ブロードソードを抜いた。
両手で持ち、ぎこちないが構えにはなっている。
「レイ先輩の笑い方、知ってます?」
「…………。」
「ふふ、って笑うんですよね。対して貴方は、はは、って笑うんですよ。」
「…………。」
「しゃべり方もどことなく似てますし、フィニッシュって……。レイ先輩も言ってましたよ。」
まぐろのブロードソードが氷刀によって弾かれた。
「きゃっ……!!」
「五月蝿いよ。僕とあいつが似てるなんて、口が裂けても言ってはいけないよ。試しに……裂いてあげようか?」
「ひっ……!」
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
カラスは氷刀を、まぐろの喉元に寄せた。
「泣きたいなら泣けばいい。誰も助けてくれないけどね。」
「……泣きません……!!私だって、皆の為に強くなったんです……!!」
「実際弱いだけど?」
「でも前の私とは違います……だって……だって私は……!!!!」
まぐろは氷刀を握った。
手のひらから血が滴る。
「こんなところで諦めるつもりはないから!!!!!」
「言うじゃねえか、まぐろ!!」
声がした。
カラスとも違う男の声。
まぐろには聞き覚えがあった。心当たりがあった。
カラスは忘れていた。
その声を。
その声の主を。
氷が貫かれてカラスに突きを喰らわす。
慌てて防御するも、間に合わない。その突きは腹部に入った。
「ぐっ……!!」
しかし、刺さっていない。
吹き飛ばすには十分な衝撃だが。
自らが造った周りを囲む氷壁に衝突した。
「かはっ……!!」
「とりあえずは間に合った……でいいのかな。」
まぐろの横に立つ一人の青年。
「あ…………。」
「よう、久しぶり。まぐろ。」
緑髪に、中性的な顔。
鍔を深紅色の花に模した、黒のレイピア。
左袖には、深淵の箱庭のエンブレム。
それはまぐろの命の恩人にしてタッグ。霧雨 イツキその人だった。
「霧雨先輩……!!!」
「ほら、ブロードソード。しっかり構えておけよ、カラスさんがいつそっちに来るか……。」
「霧雨先輩!もう来てます!!」
「え?」
ブロードソードを手渡してちらっとカラスの方を見てみた。
成程、確かにまぐろの言う通りすぐそこまでカラスは接近していた。
「やるね。」
「どうも。」
カラスの一振り。
イツキの受け流し。
受け流しが綺麗に決まった。
「今日も三葉崩しは絶好調です。」
「くそっ!!……それなら!!」
カラスが後退して右手を突く。
突魔氷だ。
イツキは冷静沈着に、レイピアを地面へ刺した。
「霧雨先輩……?」
「まあ見てろ。」
笑みを浮かべたイツキ。
そして紡ぐ。
「反自然。」
突魔氷は出なかった。
いや、正確には出たのだが……氷が一瞬にして溶けたのだ。
「は……!?」
訳が分からないカラスは思わず声を出してしまった。
「お前……何をしたんだ……!?」
「実力の差を見せただけです。」
「っ……!!黙れ!!!」
カラスはレイのもとへ駆けた。
首を傾げるイツキ。
「人質だ。もしこいつを助けたいなら、その力を封印しろ。」
「レイさん……!!って、あれ?」
「……。」
「それ、レイさんじゃなくて人形ですよ。」
「何……!?」
カラスが一瞥する。
念の為に手首を調べてみるも、レイの脈は動いている。
でたらめだ。
「騙したのか……っ!?」
「隙、みせたな?」
すると眼前までおじさんと刀が迫ってきていた。
今の一瞬で……?
いや、どこかに隠れていたのか。
話をしている隙に。
「THE END。」
刀を振り抜き、おじさんはそう言った。
………………そして。カラスは静かに倒れた。
「日光先生!!」
まぐろが言うと、イツキが笑った。
「茶々猫さんや白猫さん、あとミノリさんもいるぞ。さっき、そこで会ったんだが……って、この話は後だな。」
・・・・・・・・・
「レイさん!ハツガ!ツユ先生!ヒラメ!」
駆け寄り、叫ぶイツキ。
傷は意外にも浅く、氷が蓋の役割をしているので、出血はそこまでしてないが……意識は朦朧としているようだ。
「……イ……ツキ……?」
「ハツガ……!待ってろ、すぐに治してやるから!」
「……ツユ……は……?」
「ツユ先生……?ツユ先生なら大丈夫だから、まずは自分の心配をしてくれ!」
「ツユ……は……?」
「だから大丈夫だって!!ハツガ、いいから今は喋るな…………!!」
「……ツ……ユ……。」
ハツガは何故こんなにもツユの心配を……?
この1ヶ月で仲良く……と。そんな事を考えている場合ではない。
「茶々猫さん!お願いします!!」
「任せておけ。」
獣のような耳をした赤髪の女の子、茶々猫。
彼女が懐から緑色の錠剤を取り出した。
「飲め。薬だ。」
茶々猫はその薬を1錠ハツガの口内に入れた。
ヒラメ、ツユ、そしてレイにも同様に1錠口に入れる。
それぞれにミノリ、日光、白猫がつく。
「今だ、引き抜け!!」
鋭く尖った氷から、一斉に4人を引き抜いた。
「何で……?危険です!」
まぐろが言った。
「茶々猫さん特製の秘薬を飲ませた。1時間なら大丈夫。」
そう言って、イツキはハツガの身体をゆっくりと降ろしてあげた。
「……はぁ……はぁ……。」
傷が酷いのは、順にレイ、ハツガ、ヒラメ、ツユ。
レイに至っては左脚の損傷が激しく、正直、見てられないほど痛々しい。
「まぐろ。」
「は、はい。」
イツキがまぐろを呼んだ。
「治療したい。ここには街か何かないのか?」
「街ならあります。ですが……その近くで青と白の交戦が続いているはずです。」
「……それは厄介だな。どうやって抜けてきた?」
「レイ先輩の魔法です。」
「ああー……マジか……。レイさん動けないし……。」
考え込むイツキ。
1ヶ月前とは比べ物にならないほど冷静な対応を見せている。
「よし、一度桃の国へ戻るぞ。時間がかかるけど、茶々猫さんの隠れ家なら治せるはずだ。」
「どういうことですか……?」
「まあそれはお楽しみだ。」
イツキはレイのもとへ歩み寄ると、肩を担いで、そのままレイをおぶった。
「動ける人は怪我人を頼みます。」
そうして……霧雨一行は桃の国へと足を向けた。
こんにちは、アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
さて、第四章ですが……まぐろの成長が垣間見えましたね。
彼女も進化しているのでしょう。
そして、主人公!イツキがやっとこさ登場しました!
新たな力を身につけて、無事カラスを撃破しました。
この力は、また違う章でお話することになるでしょう。
……イツキがね。
最後に、後書きまで読んでくださってありがとうございます!
読者の皆様、またお会いしましょう!
Thank You。




