第二章「氷と炎」
どうも。
この世界に魔法使いは少ないです。
それは保健室で説明されましたね。
……え?忘れた?それなら、深淵の箱庭編第三章にGO!!
黒い雪原編
第二章「氷と炎」
「くそっ!なんで当たらねぇんだよ!!」
雪原を滑るように飛ぶ、4人の女。
背中に炎で形成された翼を携え、戦場を勢いよく抜けていく。
「ふっふーん♪当たらないのだよ!」
得意気に言うレイ。
そのレイにお姫様抱っこをされた少女・まぐろは不安そうな顔をしていた。
「海岐華さん、神崎さん、大丈夫?」
途中、声をかけて気遣ってくれた者が一人。
箱庭教諭のツユ先生だ。
面倒見がよい、明るい性格の教諭である。
「平気です!」
まぐろが返事をすると、ツユは親指をグッと立てて少しずつ離れていった。
「ふふ、このまま抜けるのだよ!!…………!?」
今。
前方に見えたのは。
「レイ先輩?」
白い雪原の中、真っ黒なコートに身を包んだ男がいた。
否……男だと思う。
吹雪で視認することが困難だが、レイには一人心当たりがあるのだ。
その予想はすぐに的中した。
「氷魔鳥籠。」
黒いロングコートの男が口ずさんだのだろう。
レイ達の目の前に、氷の壁が現れた。
「くっ……!!」
「きゃあっ……!!」
寸前のところで進路を上へと変えて、何とか衝突は回避した。
他の者も横に回避したようだが……。
止まるしかない。
「これ……閉じ込められていませんか!?」
「そうだね。」
レイは下降して、まぐろを地面へと降ろした。
周りを伺ってみると、どうやら360度氷で覆われているようだ。
逃げ場が無い。
そして……レイ達の前方にはその氷を造った人物が立っていた。
黒のロングコートに、手袋。黒髪に氷のような冷たい目をした……ああ。やはり男だ。
「……っ!貴方は……。」
ハツガが言う。
ハツガにも心当たりがあるのか。
「知っているのかね?」
レイの言葉に頷くハツガ。
「……夜咫乃 カラス。敵。」
そう。
彼の名は夜咫乃 カラス。
青の国傭兵育成機関「海底の古城」の実力者だ。
一度緑の国で相対したときは、ハツガ、そしてイツキが黒星をあげている。
「……ん?これはこれは、久しぶりだねハツガさん。」
「……別に会いたくなかった。」
「はは、それは辛辣だね……そして……やはりキミか。レイ。」
「っ!!……名前、呼ばないで。」
レイの、いつもよりトーンの低い声。
まぐろは吹雪とはまた違う寒気を覚えた。
「酷いなぁ、久々の再会なのに。」
「会いたくないから。」
「はは、ハツガさんと同じことを言われてしまったよ。」
「どうでもいいから……退いてくれないかな?」
「どうでもよくないよ。だから退かない。」
……いつもの様子と違うレイ。恐らく、因縁めいたものが何かあるのだろう。
「……。」
レイは黙って、右手を掲げ、勢いよく振り下ろす。
手中に炎の巨大鎌が握られた。
「……。」
カラスは黙って左手を前に翳す。
手中に氷の刀が握られた。
「力で押し通らせてもらうから。クソ兄。」
「……煩わせるなよ、クソ妹。」
「……兄って、ええ!?」
まぐろが驚くも構わず、レイは飛翔した。
巨大鎌をなぎ払う。
熱風が巻き起こり、周りの雪は溶け出した。
「威力は上がってるねぇ。また腕を上げたのかい?」
涼しい顔をして、刀で受け止めたカラス。
競り合いながらも、二人の視線はぶつかりあう。
「ふふ、無駄口叩けないようにしてやるのだよ!!」
「はは、無理に決まってるだろ!!」
カラスが振り抜くと、レイは衝撃で飛ばされた。
雪がクッションになり、あまりダメージは負わなかったが……。
「いてて……。」
「レイ先輩、追撃です!」
「なっ……!!」
接近してきたカラス。
防御が間に合わずに一太刀浴びせられた。
「くあっ……!」
「レイ先輩!」
「大丈夫!かすり傷だから!!」
……と、レイは言うものの、彼女の右脇腹からは赤い液体が滴り落ちていた。
「魔装焔!!」
レイが叫ぶと、レイの周りに巨大な炎の拳が現れた。その数5。
両手にも装填させて、合わせて7になった。
またもや飛翔するレイ。
しかしカラスはなかなか近付けさせてくれなかった。
地面から氷を突起させ、進路を阻む。
「甘いのだよ!!」
避けるもの、そして破壊するもの。
合間に炎を飛ばして攻撃するも、氷で阻まれる。
まさに魔法の応酬だ。
「隙がありませんわ……。」
ヒラメが呟く。
それはそうだ。
彼女達の戦いに参戦しようものなら、炎や氷に巻き込まれる。
それほど激しく、憎悪に満ち溢れている。
「……見守りましょう。レイ先輩を。」
「……そうするしかなさそうですわね。」
ヒラメの言う通り、彼女達は見守ることしかできなかった。
・・・・・・・・・
「遅い。」
白の国。
まぐろ達とはまた別の地域で、おじさんは刀を構えていた。
その視線の先には、巨体の兎が駆けて来ている。
白の国では有名な魔物、「グレートラビット」だ。
一羽しかいないが、その牙は脅威に値する。
ゆっくりと、おじさんは居合いの構えを。
「あ?」
その時。
グレートラビットの後方に二人の女性が現れた。
一方が鞭のようなもので縛り動きを止めると、もう一方はその脚で蹴りを入れた。
グレートラビットは鳴き声をあげて、動きが止まった。
ズンと重い音を立て倒れる。
「お、おい。今のは俺の餌だろ!?」
「え?そうでしたっけ?それはそれはすみません、日光様。」
「男に譲る気はないも~ん。」
「白猫てめぇ……。」
いがみ合うおじさんこと日光と白猫。
相変わらずな二人を見て、ミノリは溜め息を吐いた。
1ヶ月前、桃の国を出て白の国へ向かった3人。
レジスタンスギルドの噂が耳に入ったので向かってみたのだが……。
魔物に、そして雪で中々辿り着けずに1ヶ月も立ち往生してしまった。
深淵の箱庭教諭であり、中二病を患うおじさん日光 群彰。
桃の国傭兵育成機関「夜街の街路樹」トップ3の茶髪眼鏡白猫。
そしてヒラメの専属メイドである、三つ編みのミノリ。
魔物との戦いばかりで、苛つきもあるのだろうが……。
ミノリは二人のいがみ合いに割って入った。
「日光様。白猫様。吹雪が弱くなっています。今の内に行きますよ。」
「……ちっ。仕方無ぇ。」
「こちらの台詞ですぅ。」
まさかここまで反が合わないとは……。
これでよく1ヶ月やれたものだ。
ミノリは再び溜め息を吐いて、己を先頭に歩き始めた。
こんにちは、アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?稚拙な文章で読みにくくありませんでしたか?
さて、第二章、ここで明かされた兄と妹という関係ですが、魔法使いの特性を見てみると、不自然ではないのですよね。
気付いていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
こういった、ちょっとした隠している設定はいたるところに散りばめてありますので、少し考察してみれば分かることがあるかもしれません。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。




