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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
白桃編
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第二十章「移り変わるは変奏曲」

どうも、アフロ月です。

野球は初球から振っちゃう人です。

 白桃編

 第二十章「移り変わるは変奏曲」




 深夜。

 森。

 木々が生い茂っていて、小さなせせらぎが聞こえる。

 しかし。

 そんな小さな音ですら耳障りに感じる者達がいた。

 霧雨 イツキ。

 日光 群彰。

 カサ。

 ミノリ。

 茶々猫。

 黒猫。

 白猫。

 彼らは深淵の箱庭所属の者達。

 それに夜街の街路樹所属の者達。

 さらに言えば、緑の国の。

 桃の国の国民だ。


「なんでだよ……!!」


 木の根の部分に座っていたイツキが言った。


「なんで俺達が悪いことしたみたいになってんだよ!!おかしいだろ!?」


 …………沈黙が流れる。

 誰も答えようとしない。

 否。答えられないのだ。

 他の者もまた、何が起こっているのか理解出来ず、整理がついていないのだ。


「……くそっ……!!どうすりゃいいんだよ……!!!」

「……茶々猫様。」


 ミノリが消えそうな声で言った。

 茶々猫は返事をせず、ミノリに顔を向けた。

 応じたということでいいのだろう。

 ミノリは言葉を続ける。


「貴女方は、本当に青のことには関与していないのですよね?」

「ミノリさん……!!茶々猫さん達を疑ってるんですか!?」

「そういうわけでは……!!……ありませ…………ど。」


 言葉の最後の方がよく聞こえなかった。

 ミノリでさえ、そこまで追いつめられているのか……?

 イツキは静かな空間に戻したくなかった。

 戻りたくなかった。


「確か……赤の国も陥落したんだよな……?」


 誰でもいい。

 返事をしてくれ。


「そうだのう……。」


 茶々猫が答えてくれた。

 さらに言う。


「赤の機関『炎帝の園庭』長は亡くなったらしいしの……。」

「…………え……?」


 驚くイツキ。それに驚く日光。


「ラジオを聞いてなかったのか?」

「聞いてました……けど……途中、壊してしまって……。」

「…………はぁ……。」


 日光はゆっくり。

 なぞるように説明してくれた。

 赤。そして白の機関長が亡くなったこと。

 青は残る緑、桃の長を生け捕りにしようとしていること。


「俺らのとこの長は連絡がつかねぇ。そんで、桃の長は?」

「……妾だ。」

「茶々猫さんが!?」

「ああ。」


 日光が言った通り、箱庭長とは連絡がつかない。

 さらに、街路樹長は茶々猫だと言う。

 つまり……。


「茶々猫さんは……これからどうするんですか?」

「狙われる立場なら、どこかに身を隠すしかないのう……。隠れ家にでも行こうと思っておる。」

「……そうですか……。」



 俺は……どうすればいいんだ……?そうだ……何かやることは…………何をやればいいんだ……?



「霧雨。」


 日光に言われた。


「イツキ。」

「イツキ様。」


 カサ。そしてミノリにも言われた。

 分かっている。

 どうするのかを聞きたいのだろう。

 ……それは分かる……。

 分かるんだ。

 でも。


「俺には……分からないよ……。」


 見えないんだ。

 この先の道筋が。

 誰かが溜め息を吐いた。

 チラッと視線だけをその方にやると、溜め息は茶々猫のものだと分かった。


「では……一緒に来るかの?」

「来るって……どこに?」

「我が隠れ家に、だ。1ヶ月間、妾と修行をしてもらいたい。」

「修行……?」

「お主を一つ……いや。三つ上のステージへと連れていく。」

「……それで、強くなれるんですか?」

「ついてこられるのなら。」

「…………。俺は。」


 俺は……強くなりたい。

 強くなりたいけど……。


「皆は……どうするんだ?」


 …………。

 静けさに包まれ、小さなせせらぎが、またも聞こえてきた。

 渋っているのか、それとも何も考えていなかったのか。


「俺は、悪いが別行動させてもらう。」


 最初に口を開いたのは日光だった。

 彼はばつが悪そうに続ける。


「…………俺には俺のやり方がある。とりあえず加勢する為に白の国に向かいたい…………駄目か?」

「俺には……止める資格は無いです。…………死なないようにお願いします。」

「私は……。」


 ミノリ。

 ミノリが何かを決意したように、イツキに向き直った。


「私も、白の国へ行きます。お嬢様達が桃の国に来てないのなら、逆方向の白の国に行っていると思うので……。」

「……うん。ヒラメも多分……いや、絶対に寂しがってるだろうから、是非行ってあげてください。」


 ミノリ、そして日光は白の国へ向かうという。

 すると白猫が「それなら」と二人に発する。


「汽車が動いていないから、いい抜け道を教えるよ~。歩きだけどねぇ~。」

「構いません。ありがとうございます。」

「……それで……黒猫さんと、カサはどうするんだ?」

「では私は青の国へ。」

「なっ……!?」


 黒猫が発したその言葉は、皆を驚愕させた。

 当たり前だ。

 敵国に向かうと言ったのだから。


「内部が一番の情報源ですからね。」

「それはそうですけど……。気を付けてください。」

「ええ。言われなくとも、そうします。」

「……カサは?」

「っ!!」


 残るはカサのみだが……。

 イツキが言うも、カサは目を背けた。


「…………私は……。」

「………………決まってないのか?」

「いや……そういうわけではないのだが……。」

「…………?」

「私もまだまだ力不足だ。皆についていく自信が無い。私は……私は黒の国へ向かう。私達のことを知ってもらいたい。強さで敵わないなら、頭を使いたい。」

「…………。」

「……だから、暫くの間はお別れだ。」

「…………うん。ありがとうカサ。頼むよ。」

「任せてくれ。」


 そして……各々の目的が決まり、白猫と日光とミノリは白の国へ。

 黒猫は青の国へ。

 カサは黒の国へと出発していった。


「我々もいくかの。」


 茶々猫が出発を促す。

 しかし。

 イツキは動こうとしなかった。


「イツキ……どうしたというのだ。」


 よく見ると、イツキは肩を震わせて時折鼻をすすっていた。

 涙も出ているようだ。


「すみません…………。俺が弱いから……みんな、みんなバラバラになって……!!くそっ…………!悔しい……!!俺はリーダーなのに……リーダーらしいことが、一つも出来てない……!!!」

「……。」


 イツキは腕で目を擦って涙を拭いた。

 それでもまだ涙は溢れてくる。


「茶々猫さん……。俺、強くなりたいです……!!絶対に強くなって、もうこんな辛い思い……させません……!!!」

「……うむ。妾の修行はちと厳しいぞ?」

「……構いません……!」

「よし。ではいくぞ。」







 4月14日。

 箱庭襲撃から6日経過した。

 青の脅威を退ける為に集まり、戦った霧雨一行。

 彼等はバラバラに散ることとなり、それぞれが。

 それぞれが、己が目的を持ち別の道を歩くこととなった。
















 そして。

 5月14日。

 一度違えたその道は、1ヶ月後、再び交わることとなる。

こんにちは、アフロ月です。

萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?稚拙な文章で読みにくくありませんでしたか?

さてさて、白桃編最終章が終わりました。

バラバラになってしまったイツキ達。

彼らはそれぞれの想いを胸に、強くあろうとしています。

次回からは新編が始まります。

一ヶ月後、再び会う為に。

暫く出演していなかったあの人やあの人が出てくるといいなぁ……。

最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に、感謝を込めまして……またお会いしましょう。

Thank You。

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