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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
白桃編
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第十九章「ついばみ」

どうも、アフロ月です。

野球は観るよりするほうが好きです。

 白桃編

 第十九章「ついばみ」




 霧雨イツキは失敗した。

 彼とその仲間による戦いは、順調に見えた。

 このまま青の猛攻をしのぎ、さらに反撃さえも成功させる。

 そう誰もが思った。

 思ったのだ。


「畜生…………!!!」


 しかし。

 その思いは一気に崩れ落ちた。

 そう。

 諦めさせるには充分なほどの言葉で。



 ・・・・・・・・・



 20分前。

 桃の国傭兵育成機関「夜街やがい街路樹がいろじゅ」がある街。ここヨザクラを蹂躙する者が一人。


「遅い。」


 緑の国傭兵育成機関「深淵しんえん箱庭はこにわ」教諭であるおじさん。日光ひびかり 群彰ぐんしょうだ。

 箱庭一と呼ばれる実力、そして中二病を患っている。

 彼は得意の居合いで、青の国傭兵育成機関「海底かいてい古城こじょう」所属の者達を、次々と斬り倒していった。


「まだまだだな。俺の周章狼狽しゅうしょうろうばいの闇の力に敵う奴ぁいねぇのか?」


 ふぅ……と。一つの息を吐く。

 石造りの道は土で汚れ、損傷しているところもあれば、所々で黒煙があがるところもある。


「箱庭ほどじゃねぇけど……ったく、いけすかねぇ。」


 すると。

 ふと横を見ると、小隊だろうか。何人かが日光のもとに走ってきているのが見えた。

 また、戦いが始まる。



 ・・・・・・・・・



「茶々猫、そっちはどうなってる?」


 情報伝達のために走っていた黒猫は、道中茶々猫と合流した。


「AとDには伝えた。黒猫は?」

「BとE、Fに伝えた。Dは更新させた。」

「では妾はAに行くから、黒猫はCを頼む。情報交換といこう。」

「ええ。」


 駆けながら、二人はお互いの情報を伝えあう。

 伝える情報をまとめて、二人はある思いを持った。


「のう、黒猫。……勝てるのではないか?」

「慢心はいけません。ですが……確かに、戦況は有利なように思えますね。」

「うむ…………む?」


 すると十字路に差し掛かった。


「ではの。」

「ええ。」


 茶々猫は左。

 黒猫は右に曲がった。

 ……それぞれの目的を果たすために。




 ・・・・・・・・・



「なっ……!?」


 眼前を、刃が通った。

 ミノリは数歩遠退く。

 そこには、不敵に笑うスズメがいた。


「何故……!?手錠は……!?」

「刃物あるから切った。」

「ではその刃物はどこから……!!」

「さて……ねっ!!」


 間合いを詰めるスズメ。

 ミノリはすかさず脇差しを抜いて応戦する。

 スズメが持っているものは小さなナイフだろうか。

 よくそれで戦えるものだ。

 ……積極的にくるものだから防戦一方になってしまう。


「攻めないの?」

「機をうかがっているだけですよ。」

「退いてくれないかなぁ?」

「出来ません。」

「……ったく……。」


 スズメはミノリとの間合いをとった。


「貴女こそ、攻めるのをお止めになるつもりですか?」

「いや?」


 するとスズメはナイフを持っている手を前に突きだした。

 一瞬だった。

 その手がミノリに届くまでは。


「……ぐっ……!!」


 持っていたナイフはミノリの脇腹を貫いた。

 手が伸びた…………!?

 いや……これは……。


「腕が……何をなされたのですか…………!?」

「改造。」

「改造……!?自分の体を!?」

「私、マッドだから。」


 紐に肉が繋ぎ合わされたみたいだ。

 所々、血が出ている……。


「……気持ち悪いですね。」

「そう?」


 言って、スズメはナイフを引き抜いた。


「かはっ……!!」


 蓋の役目をしていたナイフが抜け、出血するミノリ。

 一方、スズメは腕を『直して』いた。


「仕込むのに時間かかるんだよねぇ。」

「不便ですね。」

「まあね。奇襲としては優秀だけど。」

「しかし、その状態は片腕しかないようなもの。隙だらけになります。」


 ミノリが駆ける。

 スズメは構えない。

 何もしようとしないのだ。


「舐めているのです…………か……っ。……あ……れ……?」


 脚から力が抜けていく。


「なん……ですか……これは……!?」

「毒。」


 表情を変えずにスズメは言った。


「当たりやすい奇襲で、毒って相当優秀なものだよ。ああ、大丈夫。死にはしないから。」


 ツカツカと歩み寄るスズメ。

 そして、ミノリの左肩を勢いよく踏みつけた。


「あああっ!!!」


 全身に痛みが走る。


「痛いよね?怪我してるんだよね?見れば分かるよー?」

「あああ…………ああっ……!!!」


 踏みにじるスズメ。

 激痛は増すばかりだ。


「ああああああああああああああああ!!!!!!!」

「…………。」


 スズメは左肩から足を退けた。

 そして、腕を『直し』ながらこう言った。


「これを直し終わったら、私は出ていく。賭けの勝敗は……すぐに分かるよ。」


 カチャンと金属音がして、スズメは腕が『直った』のを確認すると、地上へ出る出口へと向かっていった。



 ・・・・・・・・・



 イツキとカサは、道中を青と戦いながら、ある場所を目指していた。


「着いたぞ……。」


 汗を垂らしながら、イツキはそう言った。

 夜街の街路樹。桃の国傭兵育成機関である街路樹にやって来たのは他でもない、スズメのことだ。

 スズメは賭けだと言っていた。

 この戦いの決着方法分からなかったが、アンテナを壊したのならしようとしたことが出来なくなったのは間違いない。

 それを報告しに戻ってきたのだ。

 スズメを尋問していた部屋に戻ってみるイツキとカサ。

 しかし……。


「やっぱり、誰もいないか。」

「静かだからな。」

「……それはそれで気味が悪いけど。」


 イツキは苦笑した。

 街路樹は現在、静寂に包まれている。

 戦いが起こっているのだから、イツキが言ったように、カサも薄々気味が悪いと感じていた。

 部屋はもぬけの殻で、何故かラジオが転がっていた。


「カサ、とりあえず外に出よう。」

「そうだな……。」


 そのときだった。



 キィィィィィィン……



「この音は……!?」

「ぐっ……!頭が……!!」


 突如聞こえてきた音。

 超音波のように耳に響く音は、とても不快だった。

 暫くして鳴り止んだが、まだ頭が痛い。


「カサ、大丈夫か!?」

「……た、多分な。」




 ジジ…………ジジジジ……



 さらに聞こえるノイズのような音。

 これはすぐに分かった。

 ラジオだ。

 イツキは頭痛に耐えながら、ラジオを手にしてみた。

 声が聞こえる。

 女性の声だ。


「スズメさんだ……!!」


 耳を傾けてみると……それは……イツキの許容範囲を超える内容だった。



『全世界へ告ぐ。これは青からの布告だ。暫しの間、ご静聴願う。』


「布告だと……!?」


 今さら驚くわけではないが、一体何を喋る気だ?

 身構えるイツキだったが、思いもよらぬ展開で裏切られる。


『私は……青の国傭兵育成機関「海底の古城」長。オオノガンだ。』


「…………!!古城の……長……!?」


 話し始めたのは、海底の古城長、オオノガン。

 男性の低い声で、一言で表すと、渋い。


『戸惑いを隠せないであろう各国へ。我々青の国は、ここに布告をする。現在青の国は、赤、そして緑の国を陥落させた。』


「……!?赤の国も……!?」


『そして今、桃の国ですらも手に入ろうとしている。これがどういうことかお分かりいただけるだろうか?』


 口が閉じれない。


『青はこの世界を統べる。悪しき者達を滅して、より良い世界に戻すために。』

『青は、抵抗しない限り危害を加えることはしない。それは分かっているだろう。』

『赤、緑、桃、そして今だ抵抗を続ける白は、機関を使い結託して、戦争を仕掛けようとしていた。これを見過ごすわけにはいかない。』

『そして、紫とは同盟を組んでいる。黒、そして黄の国の答えも、気長に待つとしよう。』

『これを聞いている全世界の民達よ。青を信じろ。さすれば道は開かれる。』

『我らならばこの世界を救うことが』








 イツキはラジオを投げた。

 踏みつけた。

 音を立てラジオは壊れた。

 何度も何度も踏みつけた。

 カサがやめろと言った。

 それでも、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。








 なんでだよ……!!

 ……畜生……!!!

こんにちは、アフロ月です。

萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?稚拙な文章で読みにくくありませんでしたか?

さてさて、十九章ではいつもと違う入り方をしてみました。

何故青が襲撃をしたのか。判明しましたが、イツキとスズメの賭けは、スズメの勝ちです。

イツキがこれまで何度も口に出していたはずのラジオ局に行かなかったのですから。

気付けない時点で、彼は負けていたのですね。

そして次章は、白桃編最終章!お楽しみにー。

最後に、後書きまで読んでいただきありがとうございます。

よければ、是非またお会いしましょう。

Thank You。

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