第十五章「花園」
どうも、アフロ月です。
突然ですが覗きは犯罪です。ダメ絶対。
白桃編
第十五章「花園」
攻撃が入り乱れて、鈍い音を立てる。双方はまるで舞うように戦闘を行っている。
「やぁ、とぉ、せぇい。」
おっとりとした声や立ち振舞いで、脚を武器に戦っている白猫。
「はっ、ふっ、はあ!!」
対するは、槍を回転させながら防御に徹している、カサ。
白猫の蹴りを、カサは槍の柄で弾いている。いや、いなしている?どちらにしろ、カサの身体に一撃も打撃を与えられていないのは事実だ。
「むぅ……。」
不機嫌になる白猫。
一先ず距離をとるため後退する。
「降参か?」
「違うよぉ……。」
口を尖らせる白猫。はた目から見ても分かる。一切の攻撃が決まらないとなると、誰だってストレスが溜まるだろう。
「いい加減にしてください!」
「いい加減も何も、これは勝負ではないか。」
すると、カサは溜め息を吐いた。呆れているといった感じだ。
カサは戦いの最中にも関わらず、イツキの方を見た。
「終わらせていいか?」
カサの突然の宣言を、イツキは一瞬理解出来なかった。
「……え?なんて?」
「終わらせると言った。そろそろ疲れてきたのでな。」
「は、はあ……まあ、いいんじゃないか?っていうか、俺に許可取らなくても……。」
「では。」
カサが白猫を誘い込むように間合いをとる。
ストレスが溜まり、冷静さを欠いていた白猫はまんまんとその誘いにのってしまった。
「甘いぞ。」
「ひやああああ!!」
ヘッドロック。
相手の首に腕を回して、頭を固定する技だ。
手足をジタバタとさせる白猫だが……。
やがて抵抗をやめた。
「勝負あり。カサの勝ちじゃ。」
茶々猫が言う。
拘束を解くと、白猫はぎゃふんと前に倒れた。
「…………大丈夫か?」
カサは、白猫に手を差し出した。
当の白猫の顔は天にも昇るような顔で気絶していた。
「女と戦うと、いつもこうなのだ。気にしなくてよいぞ。」
すると、いつの間にか歩み寄ってきた茶々猫が、カサに向かってそう言った。
白猫を担いでイツキ達の方に歩いていった。
カサもそれに付いていき、カサがイツキ達のもとへ着くと同時に茶々猫は口を開いた。
「とにもかくにも、この勝負はそなたらの勝ちじゃ。」
「それじゃあ……!」
「待て。妾はあくまでも実力を確かめただけ。明日まで時間をくれぬか?」
「……分かりました。」
時間が無いわけではないが……ここで焦っても仕方ない。イツキ達はそれに応じた。
それならと、茶々猫が言う。そしてこう続けた。
「今晩は街路樹に泊まっていくがよい。大事なお客様だからのう。」
和む空気。カサやミノリは特に喜んでいた。
「汗をかいただろうし、はよう風呂に行ってくるがよい。」
「はい。ありがとうございます、茶々猫さん。」
イツキが礼を言うと、各々からありがとうと言う声があがった。
そして、案内してくれるという茶々猫の後に付いていった。
・・・・・・・・・
「ふぅ……!」
「ああぁぁ……フッ……こいつは魔性なる湯だな……!」
「さすが日光先生。おじさんだぜ!」
「誰がだ。まだ40手前だよ。」
夜街の街路樹の銭湯。
男湯では、イツキ、日光が湯に浸かっていた。
「それにしても日光先生。」
「……なんだ?」
「あれって、本気だったんですか?」
「は?あれ?」
「黒猫さんとの勝負ですよ。本気、出してました?」
「馬鹿言うな。俺が本気を出したら、シャドウウルフの制御が出来なくなるだろうが。」
「…………そうっすね。」
棒読みにした。
イツキは話題を変えて、こんな話をした。
「まぐろ達は、今頃どこにいるんでしょうね。」
イツキの問いに、日光はすぐに答える。
「さあな。」
「…………。」
「…………。」
「それだけですか?」
「そうだが。」
「ええ……と。」
「霧雨覚えておけ。風呂ってのはな、全てを洗い流す場だ。確かに色々な事を思い出すだろう、でもな。こうやって落ち着いて感傷に浸ることが出来るのは風呂だけだ。不確定事項を語るな。未来の為に……今は黙って風呂に入れ。」
「……。」
なんだこの人。たまには良いことを言うじゃないか……。ただの箱庭最強の中二病のおじさんだと思っていたのに……。
「…………そうっすね。」
今度は、少し笑いながら。
「それにしても霧雨。」
「はい。」
「あの塀の向こう側には、女どもがいるんだよな。」
「……はい?」
そう。
この銭湯はちょっとした高さの塀を間に建て、男湯と女湯に分けただけの簡易的な銭湯だった。
すると日光は、声量を抑えてイツキに言った。
「桃源郷か、はたまた花園か。確かめるぞ。」
「待ておじさん。今までのこと全てチャラにしてぇのか。」
「てめぇはいいだろうよ。二重薔薇で4人のを見てるんだから。」
「なっ……!?別に見てないですよ!!布団かかってたし!!」
「声がでけぇ。」
「す、すいません……。」
「霧雨。いいのか?こんなチャンス滅多に無い。」
「……そ、それは……まあ……そうですけど。」
「ユートピア、行こうぜ。」
何がユートピアだ……。
イツキは溜め息を吐いて、了解した。
「それでこそ男だ。」
最っ高のキメ顔で親指を立ててきた。
日光は続ける。
「いきなりはまずいし、とりあえず聞き耳を立てる。」
「手練れかよ。」
イツキと日光は、塀際にそっと張り付く。
しばらくして、女性陣の明るい声が聴こえてきたのだった……。
・・・・・・・・・
「ミノリ。」
「どうされました?カサ様。」
ミノリの正面で湯に浸かっているカサ。彼女は少し恥じらいながらも、言葉を紡ぐ。
「その……たわわ……ではなくて……!ス、スタイルがいいな……お前は……。」
「ええ。お嬢様の専属メイドですから。」
答えになっていないし、否定しない。さすがミノリだ。
「ミノリ。どうすればそのようになれるんだ?」
「それは妾も気になるのぅ…。」
と、近付いてきたのは茶々猫だ。カサと同じ小さな身体をした彼女も、ミノリの秘密が気になるようだ。
「……そう言われましても……。私の使命はお嬢様を守ること。いつの間にかこのようになっていただけです。」
「残酷だのぅ……。妾なんて、努力をしても背が伸びないから、大変なのだ。」
「分かるぞ茶々猫嬢。私も背の高さでは悩んでいるのだ。しかし茶々猫嬢は、脚が綺麗ではないか。」
茶々猫は右の脚だけをお湯から出してみた。
「そうかのぅ。」
「そうだ。他にも、黒猫嬢は背が高く、白猫嬢はメロンが実っている。」
話に気付いたのか。
少し遠くから、黒猫と白猫も近寄ってきた。
「確かに背は高いですが……やはり男よりかは小さくなりたいですよ……?」
「小さくても可愛いからいいんだよぉ~♪」
「……むぅ、それぞれ悩みがあるんだな。」
「カサ様。羨ましいと思うところが、その人にとっては悩みだったりするのですよ。私は違いますが。」
「うむ。気を付けよう。」
和気藹々としたムードに、一時の安らぎを覚える5人であった……。
・・・・・・・・・
「…………。」
「…………。」
男湯。
ここには、ある二人の男がいた。
のぼせてしまったのか、彼等は鼻血を出して倒れていた。
「先生……俺達…………耐性無いんですかね……。」
「…………だろうな……。」
後に彼等は語る。
見えたのは三途の川だった……と。
こんにちは、そしてはじめまして。
アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。
さてさて十五章ですが、ついに戦闘が終わりました。
桃の国の意向はどうなのでしょうか。
そして代わりに始まったのは戦闘ではなく銭湯シーン。
……花園が広がっていたことでしょう。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。




