第十四章「リーダー対決」
どうも、アフロ月です。
某狩りゲームをやっていると、この作品がゲーム化したらという妄想をしてしまいます。
……うへへへへ……。
白桃編
第十四章「リーダー対決」
「じゃあ、やりますか。」
「いつでもよいぞ。」
桃の国傭兵育成機関「夜街の街路樹」にある広場で、イツキは茶々猫と距離をとり向かい合っていた。
霧雨一行対三毛猫の3試合目。ルールは簡単。どちらかが戦闘不能に陥るか、勝負ありの状況だと判断された場合だ。
因みには2試合目の日光対黒猫戦は霧雨一行の日光が一瞬で片をつけた。一瞬だったので、目が付いていかなかった者もいるだろう。そう、戦いなんてなかったと錯覚するくらい一瞬だった。
黒猫は意外と繊細な人で、端の方で膝を抱えている。
落ち込む黒猫の代わりに、審判は白猫がすることになった。
右手を高々と挙げて、ゆっくりと降り下ろす。
「戦闘開始ぃ~。」
気の抜けた声とは裏腹に、イツキと茶々猫間の空気は張り詰めていた。
「……。」
「動かぬのか?」
「ええ。」
イツキはレイピアを構えたまま動こうとしない。
茶々猫は様子をみるため、1歩前に出てみた。
……反応は無い。間合いではないのか。
さらに1歩、2歩と歩み寄ってみる。するとイツキの腕に力が入った。
イツキとの距離はおよそ3メートル。
「何か仕掛けてくるのかのう?」
「いえ。」
ニコリと微笑むイツキ。
瞬きをしたその瞬間。
その動作に気を取られていた隙に、茶々猫は跳躍した。
飛び膝蹴りを決め、
「!?」
……ようとしたが。
茶々猫の身体は綺麗な赤い髪と共に宙を舞った。
不安定な着地ながらも追撃は無く、茶々猫は一旦距離をとった。
「……仕掛けてこないのではなかったのかのう?」
「はい。俺からは仕掛けてませんよ。」
「……では今のはなんなのだ?」
「また攻撃をすれば、分かるかもしれませんよ。」
「その通りだのう。」
茶々猫は懐に忍ばせていた小刀を取り出した。
またもや跳躍すると、足払いを仕掛ける。
イツキはそれを跳んで避けると、茶々猫は振り向きざまに逆袈裟斬り。
決まった。
そう茶々猫は思ったのだが。
「なっ……!?」
小刀はイツキの身体に当たらなかった。イツキがレイピアで受けたので当たるわけなかったが、その軌道は滑らかに何も無い場所を通っていた。
茶々猫は無口になり、3メートル圏内まで後退。
小刀を逆手に持ち、低い姿勢をとった。
「…………成程のう。」
小声で茶々猫が言うと、イツキの眉が微動した。
「……え。まさか分かったんですか?」
「まあのう。ほれほれさあさあ、打ち込んでくるがよい。」
「こっちの番ってことですね。では。」
イツキが一気に距離を詰めて、苦手ながらも突きをくりだす。
「ほれっ。」
すると茶々猫が造作もないように、その突きを「受け流した」。
「なぁっ……!?」
「少し驚きすぎではないか?」
体勢を崩されたイツキは、茶々猫の回し蹴りをもらった。
空いていた左腕で防御するも、イツキはかなりの距離まで飛ばされて土煙が巻き起こる。
戦いを見ていた日光やカサは目を丸くしている。
イツキが飛ばされたことに対してではない、茶々猫がした行動に対してだ。
「受け流し……!?」
「イツキと同じだと……!?」
やがて土煙が晴れると、イツキが立ち上がろうとしているのが見てとれた。
「痛ぇな……。」
呟きながら膝を立てる。
茶々猫は追撃。いつの間にか詰めよっていた茶々猫が小刀を逆手で降り下ろした。咄嗟にレイピアで受ける。
「速っ……!」
「油断大敵というところだのう。はよ受け流してみんか。」
「言ってくれるじゃねえか……!」
と、威勢を張るのはよいが、イツキの技術ではまだ、受けきってから流すのは無理があった。
しかしかなりの衝撃に、このままでは危険だと。圧し負けると思ったイツキは、不格好ながらも、小刀を受け流した。否、正確には払い除けた。
よろめく茶々猫。イツキはその隙を見逃さない。
「はあっ!!!」
十分に踏み込んで突く。
「ほっ。」
茶々猫は易々と受け流す。
「そうですよね……!」
イツキは予測通りの動きをした茶々猫の足を、倒れながらも払った。
イツキの専売特許、受け流し。相手が同じ事をしようものなら、動く方向等の大体の見当は付く。
「しまっ……!」
後ろに重心を置いていた茶々猫。彼女が尻餅をつく。
ほぼ同時に倒れこむイツキ。
「「……。」」
無言で、双方は咄嗟に相手の首もとに武器を突き付けた。
「そこまでで~す。」
白猫がまたも気の抜けた声で戦闘を終了させた。勝負ありと判断したのだろう。
しかしどちらの勝ちなのか?
「白猫さん!これ、どっちの勝ちですか!?」
駆け寄るイツキ。
その後を茶々猫がついていく。
「引き分けと言いたいけど~……今回は茶々猫ちゃんの勝利だねぇ~。」
「なっ……!?」
「よっしゃ!」
「えっと、何故ですか?」
「簡単ですぅ。一見引き分けに見えますけど、もし体格差が無かったらイツキは負けてましたからねぇ。茶々猫ちゃんの方がぁ~スピードが速かったのですよぉ。」
「そういうことだのう。ふっふっ、どうじゃイツキ?」
イツキは茶々猫の方に振り向き、苦笑しながらこう言った。
「……俺の負けっす。」
斯くして、霧雨一行の今回の戦績は、2勝1敗。
このまま勝ち越しでいきたいところだ。
皆が待機している場に歩くイツキ。何故だろう。日光やカサの視線が冷たい。
「な、なんだよ……。」
「何負けてんだよ。」
「そうだぞイツキ。」
「強いんですよ茶々猫さん。それに、カサはまだ戦ってないだろ。お前だって負けるかもしれないし。」
「フッ、ほざいておけ。」
「なっ……!?」
「では行く。準備は良いか、白猫。」
「いつでいいですよぉ。」
カサと白猫。二人は相見えるために、先程イツキが戦闘していた場に歩いていった。
「……ええ。次は、20分間に腕立て、スクワット、腹筋、それぞれ100回ずつ。」
無線機に向かって話す女が一人、ビルの屋上で佇んでいた。
「あれが夜街の街路樹……。情報の通りね。」
青い長髪を風で靡かせる背の高い女は、目を細めて夜街の街路樹を見下ろしている。
数秒の後、無線機に連絡が入った。
「はい。こちらスズメ。……ヒナ。どうしたの?」
『わーい!スズメちゃんだ!スズメちゃん、今どこにいるの?』
「桃の国よ。言わなかった?」
『言われた。でも忘れた!』
苦笑するスズメ。
「……そ、そう。……まさかそれだけ?」
『ううん。実はお願いがあってね。』
「……ヒナ。私は任務で桃の国に行ってるの。それは分かってる?」
『うん。』
「…………。」
再び苦笑するスズメ。
本当に分かっているのだろうか。
『ヒナね、ヒナね、助けたいお兄ちゃんがいるんだ。』
「お兄ちゃん?ヒナに兄はいなかったはずだけど、どこのお兄ちゃんなの?」
『ふたえ……ふたえ…………のお兄ちゃん。』
「いやほとんど分からないんだけど。」
『とにかく戻ってきて!』
「だからそれは出来ないの。今、線路を封鎖したからしばらくこっちに残らないと。」
『ええええーー!?でも死んじゃうよ!お兄ちゃんが死んじゃうんだよーー!!』
「重傷なの?」
『エトが馬鹿だから。』
『誰が馬鹿だ。』
『あっ、エト。』
無線機の奥で、ヒナではない別の声が聞こえた。ヒナと行動している男、エトだ。
「エト。今だに状況が読めないんだけど。」
『気にするな。こっちはこっちで何とかする。そっちはそっちの任務を全うしとけ。じゃな。』
エトがそう言うと、無線機はブツッという音を立てた。何も聞こえなくなったので、通信を終わらせたのだろう。
「……分かってるわよ。街路樹は明日、終わる。」
スズメは呟き、再び夜街の街路樹を見下ろした。
こんにちは、そしてはじめまして。
アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。
さて十四章、イツキ対茶々猫までやってきました。
中々いい勝負をしてたのではないでしょうか。
…………そして新たな敵、スズメ。
今後どのように物語は動くのか、乞うご期待!
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You♪




