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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
白桃編
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第十章「どこかの車窓にて」

どうも。

……書くことないなぁと思っています。

それを書くというのは最終手段なのですが……次からどうすりゃいいんだ……。

 白桃編

 第十章「どこかの車窓にて」




 等間隔のリズムで揺れる汽車。軽快な音を出す汽車内は、一部を除いて和気藹々としていた。


「…………。」


 向かい合った席に座る五人の女。時折漏れでる溜め息以外に、五人が出す音は無かった。

 ……と、一人が重たい口を開く。


「……暗いのだよ。どうだね、痴話話でも。」

「……レイ先輩、空気読んで下さい。」

「空気読めって、こんな空気は嫌なのだよ!!」


 横目で見る四人。

 海岐華レイは、立ち上がり皆に向けて言う。


「みんな追い付いてくるさ!イツキ君も、ミノリさんも、日光先生も、カサちゃんもサゴ君も!!」

「……レイ先輩。」


 レイの発言に、感情無く言うまぐろ。さらに続けるが、今度は多少暗く。


「レイ先輩は、元気ですね。」

「ここでしばしの休息をとったからさ。それは、皆を信じる者しか満足に出来ないことさ。」

「……。」

「まぐろちゃん、ヒラメちゃん、ハツガさん、ツユ先生!みんなには待っている人が、そして待たせている人がいるのだから、こんな所で気落ちしている場合ではないのだよ!!」


 静まる四人……まあ、元々静かだったが、先程までの静寂とは違う。

 それぞれの目に、光が灯っている風に見えた。

 その状況から、最初に口を開いたのは金髪の少女ヒラメだった。


「……そうですわね。ミノリやカサやサゴ。何よりイツキがいますものね。」

「……いや、日光先生を忘れていませんか?」


 まぐろが言うと、どこからか笑い声が聞こえてきた。


「ふふ、そうだねまぐろちゃん。じゃあ、信じてみようか。必ず来るって。」

「……はいっ!」


 空気が和んだ。

 そう、誰もがそう思った。



 ・・・・・・・・・



「私が箱庭に来た理由?」


 まぐろは、灰色の髪の女性ハツガの言葉を復唱して確認した。

 言われて頷いたハツガは、じっと真っ直ぐにまぐろを見つめた。


「そ、そんなに見なくてもいいですよ……。」

「あ、私も興味がありますわ。」


 隣に座っていたヒラメも、興味を示してまぐろに少し詰め寄る。


「そうですね……。えっと、これ、御守りなんですけど……。」


 まぐろが首からかけていた御守り。それは赤い色の布に包まれている。


「私のお父さんから貰った物です。お父さんは……私が小さい頃行方不明になりました。」

「行方不明……?」


 ヒラメの問いに、まぐろは首肯して言葉を続ける。


「私は、お父さんを探すために世界をまわろう。そう考えました。ですが危険を伴う旅になりますから……深淵の箱庭には力を付ける為に来たんです。」

「ほへぇ……。」


 スナック菓子を頬張りながら、いつの間にか話を聞いていたレイは感心した。


「へはいへぇはふろはん。」

「え?」

「ははは……うぼえっ!!おごごご……!!」

 何と言ったのだろうか。余程言い直したかったのか、急いで食べようとして喉に詰まらせ苦しそうにするレイを見て、まぐろは苦笑した。

 ハツガと同じ灰髪の女性のツユがコップに水を注ぐ。

 呆れるヒラメはまぐろの方を向きこう言った。


「はあ……。まぐろ、それなら私が今度レイピアを教えてさしあげますわ!」

「え?」


 首を傾げるまぐろ。


「強くなるのでしょう。ここには様々な武器を扱う人がいるじゃありませんの。」


 言われてみれば……。

 ヒラメはレイピア。

 ハツガは短剣、光線銃。

 レイは魔法。

 ツユは……知らない。


「ここにいる人達の技術を盗み吸収するのですわ!」

「……ぷはあっ!うん、それがいいと思うのだよ。イツキ君も言っていたよ、まぐろちゃんは秘密兵器だって。」

「秘密兵器?」

「青にとって、まともに接触したことないまぐろちゃんは未知数な存在ってことなのさ。」

「なるほど……。」


 強くなる……そして皆の役に立つ。特に……命の恩人のイツキに、恩返しをするために。


「よろしくお願いします、皆さん。」


 まぐろが笑うと、皆はつられて笑った。

 素直な良い子ですわ……。

 可愛いのだよ……。

 愛でたい。

 上手に教えられるかなぁ……。

 色々な気持ちを乗せて、汽車は今日も揺れる。


「因みに、レイ先輩は何故箱庭に?」

「私かね?ふふ、当初の目的は内緒なのさ!まあ、今は年下を愛でるのが何よりの楽しみなのだよ♪」


 はっはっはっ、と高笑いするレイ。


『……間も無く……雪化粧……雪化粧です。お降りの際は……。』

「雪化粧……?桃の国の地名は素敵ですね。」


 まぐろがアナウンスを聞いて、誰にというわけでもなく言ってみた。


「って……レイ先輩?」


 そこで、まぐろはレイの異変に気付いた。

 口を開けて顔が固まっている。


「何やってるんですか、レイ先輩……。ねぇ、ヒラメさん……。」

 ヒラメの方に顔を向けると、レイほどではないが、ヒラメも顔を曇らせていた。


「え。」


 よく見ると、ハツガやツユも似たような表情をしていた。気になったまぐろが、レイに問いかける。


「ちょっとレイさん?どうしたんですか、そんな顔して……。」

「…………違う。」


 首を横に振りつつ答えるレイ。


「え?」


 しかし返答の意味が分からず、答えになっていない気がする。


「違うって、何がですか?」

「ココ桃ノ国違ウ……。」

「…………は?」


 カタコトになっているレイを余所に、汽車は止まった。


「とりあえず降りましょうって、速っ!!」


 まぐろ以外の四人は、一斉に走り出した。慌ててまぐろも追う。


「ちょっ、ちょっと待って下さい!!」


 汽車を降りて切符を駅員に渡す。駅の外に出たまぐろは、驚いた。季節外れの雪が降っているのだ。


「雪……?この季節に雪が降るなんて……まるで……あっ、あんなところに。」


 まぐろは、四人がひとかたまりになって動いていない後ろ姿を発見した。

 一抹の不安を覚えたまぐろは駆け寄った。


「皆さん……まさかとは思いますけど……。」

「…………。」

「ここ………………白の国ですよね?」

「…………間違えたあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

 レイの叫びは雪原に響き渡った。ただ、無残にもそれだけだった。



 ・・・・・・・・・



 汽車というのは何も一本だけではない。桃の国行きの汽車に乗っている霧雨一行は、各々の時間を過ごしていた。

 イツキは外を眺め。

 その隣で日光は左腕に包帯を巻いている。

 イツキの向かいでミノリが淫らな本を読み……。

 ミノリの隣でカサは槍の手入れをしていた。


「ミノリ、さっきから何読んでるんだ?」

「これですか、日光様?」


 日光が包帯を巻き終わりミノリに問うと、ミノリは本を自分の胸の前に持ってきながら、そして表紙を見せながら言った。


「あん?……熟れた果実……って、てめぇ何読んでやがるんだよ……。」

「見えませんか?」


 ミノリが、日光の顔に本を押し付ける。


「うわっ、おいやめろ!!ミノリ!!」

「我慢しなくてよいのですよ。差し上げます。」

「それはありがとう!!」

「貰うのかよ!!!」


 たまらずイツキはツッコミをいれた。


「ツッコミどころ満載すぎるんですよ!!!何!?個性付け!?」

「何だよ霧雨、お前だって浮かない顔してたろ。クールキャラか?」

「誰もクールぶってないです!!俺はただ……!!」

「ただ、なんだ?」

「ただ……。」


 イツキの言葉が止まる。顔を曇らせて口ごもるイツキに、日光は一つ溜め息を吐いた。


「ったくよぉ……。カサ。」

「……ん?何だ?」


 日光が、カサの方に顔を向け声をかける。つられて、イツキもカサの方を向いた。


「お前さ、サゴのことどう思う?」

「私の兄だ。」

「ちゃんと追い付いてくると思うか?」

「当たり前だろう。」

「何故そう思う?」

「私の兄だからだ。」


 至極当然のように言うカサ。それは……そう見えるだけで強がりかもしれない。しかしどちらにしろ辛いのはカサなのだ。イツキが悩むのはおかしいわけではないが、カサの想いの重さとは比べ物にならない。

 そのことに気付かされるイツキ。自然と口が開き、言葉が漏れ出ていた。


「カサ。」

「どうした?イツキ。」

「俺、強くなるから。」

「……うむ。我等のリーダーなのだから、そうなってもらわないと困る。」

「……言うじゃん。」

「そんな時くらいある。まぐろくらいにしか勝てないのではないか?」

「いや、それはさすがに言い過ぎだろ!?」

「ほう。では今度、手合わせでもするか。」

「フッ……そうしようか。」


 笑みを浮かべるイツキとカサ。いつもの空気に戻ってきたと、日光は安堵して本に目を落とした。ミノリも、心做しか微笑んでいるように見えた。


『間も無く……乙女椿おとめつばき……乙女椿おとめつばきでございます……。』


 車内に放送が流れ、あと少しで桃の国にある乙女椿という街に着く。ミノリが口を開いた。


「恐らく、先にレイ様達が到着しているかと。」


 それを聞いたイツキは、手を挙げて問いかける。


「あっ、そのことでちょっといいか?」


 キョトンとする三人。構わずイツキは続ける。


「あのさ、クローバーで言ったけど、桃の国行きの汽車って本数少ないんだよな。ミノリさんが言ってた通り、俺達の前にまぐろやレイさんが汽車に乗って出発したんなら、それは桃の国行きの汽車じゃないと思うんだけど。」


 表情を崩さない三人。

 否。崩さないのではなく、固まって崩れないのだ。


「……え?ミノリさん?もしかして気付いてなかったの?」

「……。」

 ミノリは目を細めた。下を出して首も少し傾げる。

「てへぺろっ♪」

「…………。」

 そう。

 例え場が凍ろうと、汽車は今日も揺れるのだ。

挿絵(By みてみん)






「エト!!エト!!!」


 と、一人の少女が駆けて来る。金髪で、頭にキャスケットを被り、手が見えない程長い袖の服を着ている。


「どこ行ってたんだよ、ヒナ。」

「ケーキ屋!これお土産だよ!」


 ヒナと呼ばれたその少女は、手に持っていたであろう白い四角形の箱をエトに差し出した。


「おう。」


 エトは返事をして、その箱を受け取った。


「ヒナね、ヒナね、一生懸命選んだんだよ!」

「ふーん。」

「……あれ?このお兄ちゃん……。」


 エトの肩には、一人の男が担がれていた。男は全身が血でまみれており、見ていて痛々しい。


「なんだ、知ってるのか?」

「ケーキ屋でね、一緒にケーキ食べたの!ご馳走してくれて、ヒナね、ヒナね、嬉しかったんだ!」

「……ふーん。」


 無邪気に喜んでいたヒナだったが、ここで初めて顔が曇る。


「死んじゃったの?」

「さあな。動かないのは確かだが。」

「どうするの?」


 どうやらヒナは、この男の処遇が気になるようだ。

 エトには治す気なんてこれっぽっちも無かったのだが……ヒナの為だ。


「あー……そうだな。とりあえずスズメに任せるか。」

「私の友達のスズメちゃんに?」

「そう、お前の友達のスズメちゃんに。って、友達なのかよ。」

「うん!友達だよ!!」


 エトは溜め息を吐いて、歩き始めた。ヒナもそれについていく。


「よくアイツと気が合ったな……。じゃあ、戻るか。」

「でもスズメちゃん、たしか桃の国?に行くって言ってた。」

「げ。本部に居ねぇのかよ。」

「本部に居ねぇのだよ。しょうがないのだよ。」

「……地味にあの魔法女の真似すんな。」

「分かった!?ヒナね、ヒナね、レイお姉さんにまた会いたいの!」

「生きてりゃまた会えるだろ。俺達の関係上。」

「お兄ちゃんと、もう一人お姉ちゃんがいたんだけどね。その二人とも、また一緒にケーキ食べたいなぁ!」

「こいつが生きようと思ってりゃな。また食えるさ。」

「うん!」


 屈託の無い笑みを浮かべて、ヒナは少し早歩き気味になっていた。

こんにちは、そしてはじめまして。

アフロ月です。

萌葱色変奏曲を読んでいただき、大変恐縮です。

いかがでしたか?

稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。

白桃編も十章まできましたね。

他の国に行くことで、やっと話を広げることが出来ます。…………よし。

続く第十一章では、桃の国へやってきたイツキ達。

桃の国の状況やいかに……。

最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に、感謝を込めまして……!

またお会いしましょう!

Thank You♪

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