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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
白桃編
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第八章「自分を見失わないために」

アフロ月です。

メイドか巫女かナースと言われたら、私は巫女を選びます。

 白桃編

 第八章「自分を見失わないために」




 俺の名前は霧雨イツキ。深淵の箱庭所属の生徒だ。

 17歳、男だ。そう、男だ。

 フワフワしたレースを頭に乗せて、霧雨イツキは物陰から姿を現した。

挿絵(By みてみん)


「お祭りで助かったな。」


 呟きながら、人混みを歩く。スカートを揺らすイツキの格好は、所謂メイドさんだった。

 数分前……着替えることによって追手エトを振り払うことが出来ると踏んだイツキは、まぐろに買ってあげたはずの服が入った紙袋を漁ったのだが、何故かスク水、メイド服、セーラー服、ナース服が出てきたのだ。

 どうやら勘違いをしていたようで、エトの攻撃を防いだ紙袋はまぐろの紙袋だったらしい。残ったレイの服からまだ自分を見失わないであろう服だったのがメイド服だったのだ(……これでも充分危ういが)。


「エトさんも居ないようだし。とりあえず動けるようにはなったかな……。」


 変装はこの先も使える作戦だな。

 イツキは日光を探すために病院に足を運ぶことにした。

 祭に来ていた人々に聞いてみると、どうやら20分程歩いた所に大手の病院があるらしい。歩いて20分なら走って10分だろうと思ったのだが、なんせお祭り騒ぎで人が溢れているため、まともに走ることが出来ない。一先ず目立たない様に病院に向かうイツキなのであった。


 ……ねぇ…………でも……男………………


 ああ、噂されてる。

 さすがに無理があったかなぁ……。


 そんなこと言っちゃ…………………可愛い………………何やってんだアイツ………………狂ったんッスよ……私は嫌いではないが……………………


 やっぱり目立つなぁ……あれ、何だか目頭が熱くなってきた。


「…………ん?」


 噂されるなか、聞き覚えのある声が聞こえて足を止めた。

 すると、ある兄妹がヒソヒソと声を潜めて話をしているのが見えたのだ。


「おい。二人とも。」


 目の前に立ち声をかけるイツキ。


「え?俺達ッスか?」

「何用だ、女。」

「いや……ふざけてないで。お前達を探してたんだよ。あと男だよ。」


 イツキの前にいる二人は、カサ、そしてサゴという双子の兄妹だ。イツキの仲間で、この街に着いた際ケーキ屋に行くと言って別れたのだが……ここで会えたのは好都合だった。

「実は、かくかくしかじかで……。」

挿絵(By みてみん)


「なっ!?突然の襲撃にあい、みんなに召集かける時間が無いし街に留まるのも危険だから先に桃の国に向かってもらって、あっちで落ち合うっていう作戦をとったんッスか!?」

「せ、説明ご苦労。」

「では、急いで桃の国へ向かうべきだな。イツキはどうする?」

「俺はとりあえず、日光先生を探す。今病院に向かってるから、それからゲーセンに行くかな。」

「遊んでいる暇などないぞ!!イツキ!!!ふざけるな貴様!!!!!」

「何がそんなにお前の怒りを買ったんだ?ヒラメとミノリさんを探しに行くんだよ。」

「うむ、冗談だ。では行くぞサゴ!」

「勿論ッスよ!カサ!」


 カサが勢いよく走りだし、それにサゴがついていく。

 先程も記述したように人で溢れているため、すぐに歩幅は狭くなるのだが。


「……えっと、気を付けろよー?……じゃあ日光先生を探しに行くか。」

「もういるぞ。」

「うわっ!!!」


 イツキが再び歩みを進めようとすると、目前に日光が立っていた。目を見開いて数歩後退する。


「な、何やってるんですか!?こんな所で!!」

「こっちの台詞だ。お前のそのフォームはなんだ?」

「……これは追手の目を欺くための格好で仕方なく……それより日光先生、ツユ先生は?」

「分からない。」

「分からない!?」

「目を離した隙に、病院から消えたんだよ。」

「……消えた?」

「とりあえず無事を祈ろう。」

「……ちょっといい加減じゃ?えっと、じゃあ聞いて下さい。」

「聞いてたよ。ツーだろ?」

「カーですね。ってか聞いてたんですか?」

「あいつらの近くにいたからな。何やってんだアイツって言ったのは俺だよ。」

「あっ、あれ日光先生でしたか。」


 気付かなかった……ごめん先生。


「とりあえず、事情が分かってもらえているのなら幸いです。俺はヒラメ達を探してきますので、日光先生は先に桃の国に。」

「いや、俺も行く。」

「え?」

「お前一人じゃ心許ないからな。それに、単純に考えて探す手間が省けるだろ。」

「日光先生……分かりました。ありがとうございます。」

「ゲーセンだろ?行くぞ。」

「はい。エトさんに会わないように気を付けましょう。」

「俺ならここにいるが。」

「…………。」


 ゲーセンに向かおうとしたところで、進行方向にエトが現れた。


「うわっ、エトさん!?」

「早速エンカウントか。」


 イツキはレイピア。日光は刀を構える。

 エトは腕を組んでふてぶてしく佇んでいた。


「いつの間に……!?」


 イツキが言うと、エトは少し苛ついたように顔をしかめてこう言った。


「結構前だよ。日光が言った何やってんだアイツの前の、可愛いっつったのは俺だ。」

「えええええええ!?」

「まさかてめぇだと思わず、茫然としちまってた……!!この苛つきはてめぇで晴らす!!」

「知らねぇぇぇ!!!」


 イツキの絶叫空しく、エトはその巨大な拳で殴りかかってきた。


「来るぞ、霧雨!!」

「三葉崩しがありますから大丈……っ!?」


 イツキの頬を、エトの左拳が掠めた。


「速い……!!」

「おらぁっ!!!」


 そのままくるりと回り。エトは裏拳を放つ。


「ぐっ……ぁっ!!!」


 イツキの体が壁に向かって吹き飛ぶ。拳と壁。イツキに2回の衝撃を与えた。


「霧雨っ!!!」

「がっ……はっ……!!…………クッソ重い……!!!」


 速さも然ることながら、右拳に溜められたエネルギーを触れた瞬間に爆発させることによって、威力を底上げしているようだ。


「なんだ!?」

「やべぇぞ!逃げろ!!」


 事に気付いた人々が逃げ惑う。


「エトとか言ったか?また相見えることになるなんてな。」

「敵ならいつかは会うだろ。」

「まあそうだな。」


 日光は言い終わると同時、左肩から右脇腹にかけての袈裟切りを仕掛ける。

 一つ息を吐きながら筋を作るも、防御に使ったエトの右腕に浅い傷をつけるくらいであった。


「嘘だろっ……!!!」


 日光が驚くのも束の間。エトが左拳を振り下ろすと、日光は地面に叩きつけられた。


「ぐあっ!!」

「ふぅ……この時代、科学無しに戦えるわけねぇだろ。」

「くそっ……!」

「終わりだ、日光群彰。」


 とどめとばかりに、エトは両手を組み、振り下ろす。

 ……こんなところで諦めるわけにはいかないのに……!


「……!?」


 しかし、エトの攻撃は日光に届かなかった。何故なら二人の間に男が割って入ったからだ。


「科学無しでも……やれることは、あるッスよ……!!」

「……誰だ……?」


 両手の短剣で拳を受け止めていたのは……。


二重薔薇ふたえばらその女王親衛隊じょおうしんえいたい歳寒三友梅部隊隊長さいかんのさんゆううめぶたいたいちょう!!サゴ!!!仲間を助けるために参上したッス!!!」


 それは、カサの双子の兄であるサゴだった。イツキもそれに驚いたのか、眩みながらも叫ぶ。


「サゴ!?何でここに・・・!?」

「物騒な音がしたからな。人がいないし、走って戻ってきたのだ。」


 イツキの問いに答えたのは、サゴと共に戻ってきたであろうカサだった。イツキに肩を貸し、立つための補助をする。


「ありがとう、カサ。……なあ。」

「なんだ?」

「4人なら倒せると思うか?」

「ふむ……どうだろうな。何故かは分からないが、今彼は怒っている。それがとてつもない集中力を生み出しているとすれば……。」

「すれば?」


 カサは1拍置いて、口を開く。頬に汗も垂らしていた。


「正直分からない。最低一人の犠牲は免れんだろう。防御が間に合わないだけで、あの日光でも追い詰められたのだからな。」

「……なるほどな。逃げは?」

「逃走には、一人か二人囮が欲しいな。」

「どっちもどっちだな。」

「それほどの敵だ。」


 こうして二人が話している間も、サゴと日光はエトと戦っている。時間は無い。即急に決めないと取り返しのつかないことになる可能性だってある。


「……逃げる。」

「了解した。囮は?」

「俺がやる。」

「そう言うと思った。しかしリーダーを失うのはまずい。ここは私と兄が囮になろう。」

「……馬鹿言うなよ。お前らを置いていけるか。」

「ふむ?私達もイツキを置いていきたくはないが。」


 イツキの息が詰まる。

 微笑むカサに、イツキは何も言えなかった。……すると、何かを察してくれたのか「それなら」と、カサが言う。


「とりあえず逃げよう。そうすれば囮など自然に決まるだろう。誰が残ることになろうが恨みっこ無しだ。」

「……まあ、それならいいか。」


 イツキは日光らのもとに駆け寄り、今しがた決まった事を伝えた。


「……それがお前の判断なのか。」

「分かったッス……。」

「イツキ。それでは……。」

「隙を見せるなよ?せーのっ……!!」


 ダッ!!と地を蹴り、一斉に後方の駅へ駆け出した。


「バラけて!!!」


 四人は散るように、分かれる。


「また逃げるのかよ!!」


 意表を突かれたのか、エトは一歩出遅れる。重い武器を携え加速をつけなければいけないエトにとっては、致命的と言えるだろう。


「皆さん!!危ないから避難して下さい!!」


 逃走する途中、イツキは祭に来ていた人々に避難を促す。被害を出さない為に。もしものときは遠慮無く戦えるように。

 声を出せば、エトさんだってこっちに来るはず……。

 イツキは皆の無事を祈り、ただ走った。

こんにちは、そしてはじめまして。

アフロ月です。

萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。

さて、第八章ですが……今回はいつもより少し短いかもしれません。文が多くて読みづらいだろうと思い、一つだった第七章を二つに分けたのが、これです。

ですので予告がやるよやるよ詐欺になってしまいました。

すみません……。

続く第九章で、やるよ!!

最後に!後書きまで読んでくださった読者の皆様に、感謝を込めまして……また!お会いしましょーう!

Thank You♪

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