第七章「先行、後行」
アフロ月です。
格闘ゲームをプレイするため、ゲームセンターに行ったのですが、最近はたくさんのリズムゲームがありますね。
とても楽しかったです。
……格闘ゲームをするために行ったのに、やってないなぁ……。
白桃編
第七章「先行、後行」
「ありがとうございましたー!!」
ブティックの有名チェーン店「neige」を出た、イツキ、まぐろ、レイの三人。イツキの両手には紙袋がたんまりと下げられていた。
「重い……。」
誰にというわけでもなく、呟くイツキ。
イツキの後ろでは、まぐろとレイが和気あいあいと話をしていた。
「たくさん買ってしまったね。」
「そうですね。でも正直こんなにいらないのでは……?」
「ふふ、まだまだだねまぐろちゃん。女の子にはこれくらい必要なのさ。」
「うーん……そうですね。」
「うむ、今度コーディネートしてあげるのだよ。」
「わあ!ありがとうございます!楽しみです♪」
「はっはっはっ!!いつ頃がいいだろうねぇ?」
「あのー……。」
イツキは二人の会話に割って入った。このままでは終わりそうになかったからだ。
「なんだね?イツキ君。」
「…………何故3時間以上もあそこに居続けることが出来るのか不思議でなりません。」
「疲労困憊しているようだね。女の子の買い物は大変なのだよ。」
「……そうなんですか。……俺が行きたいところ、行けそうにないなぁ……はぁ……。」
大きな溜め息を吐くイツキ。
すると、イツキの視界の左側で何かが光を放った。
それに気が付いたイツキが顔を左に向けると、光のエネルギー体がこちらに向かってきているのが見てとれた。それは目前までせまってきており……。
「っ!!」
避けるには間に合わないと思い、咄嗟に左の紙袋を盾にして防ぐと、衝撃で煙が巻き起こった。
レイとまぐろが駆け寄ってくる。
「イツキ君、大丈夫かね……って、私のスク水メイド服セーラー服ナース服がーーーー!!!」
どんな物買ってんだ、とツッコミたいイツキだがそんな余裕は無い。襲撃と予想して、荷物を右手から左手に持ち替え、レイピアを構える。
「……。」
緊張の面持ちのまま、煙が晴れてくるのを待つ。二撃目を放ってこないのをみるに、あちらも様子見だろう。
十数秒の後、煙が風で薄くなっていく。
「…………!!嘘だろ……!?」
イツキが目にしたのは、深淵の箱庭で見た男だった。
「また会ったな……。」
レイさんが、名前はエトとか言ってただろうか?
青の国の傭兵育成機関「海底の古城」。「深淵の箱庭」や二重薔薇ノ園を襲撃した者達だ。
その中でも幹部クラスの実力を持っているであろう人物が、このエトという男だ。20代後半くらいの肩幅の広い大柄な男である。
両手には大きな機械の手を装着しており、そこから高エネルギーの光を射出できるのだ。
標的を捉えたのか二撃目を放とうとするエト。
「ばっ……街中だろ!?遠慮しろって!!!」
イツキが叫ぶと、まわりを一瞥したエト。その迫力に圧されて、人々は一目散に逃げていった。
「これで……遠慮の必要は無くなった。いくぜ深淵の。」
「はあ!?くっ……レイさん!!」
視線はエトに向けたまま、言うイツキ。返事も聞かず言葉を続ける。
「レイさん、別行動!!まぐろを連れて走ってください!!で、汽車に乗って発っていいです!!」
「イツキ君は……!?」
「みんなを呼んできます!向こうで、あっちの国で落ち合いましょう!!」
そこまで言うと、エトは二撃目のエネルギーを放ってきた。受け流せないと判断して、右頬をかすりながら避ける。
「……気を付けるのだよ。」
「はい。レイさんよりはマシでしょうし。」
「言うではないか。」
レイはまぐろの手を握り、走りだした。目指すはクローバー駅。
「……逃がすわけにはいかないが……ヒナは遊びに行くし、雨燕とは連絡つかないし……ここに集中するしかないか。」
「何、ブツブツ言ってるんですか?」
「お前には関係……無いことはないか。とりあえず、お前をここで捕らえる。」
「出来るものなら。」
「やってみろってか。」
イツキはエトに向かって走りだした。
「お前、攻撃できるのか?」
「いや、できますよ。」
警戒領域に足を踏み入れた。そう思ったエトは右拳をイツキに振りおろした。
「予想通りっす。」
そう。攻撃をしたということは……イツキがすることはただ1つ。
……受け流し……!!
エトの拳は空を切ったように地面に叩き付けられた。
地面が揺れる。
「てめぇ……!!まさか最初から……!!!」
「当たり前じゃないですか。まさかここ何日かで、俺の専売特許を忘れたわけじゃないですよね?」
イツキはそう言い残すと、そのまま走って街の中を駆け抜けていった。
「逃がすかよ。」
重い拳を持ち上げて、イツキを追い始める。武器のせいで初速は遅い。
「待て!!」
「お断りします!!」
スピードにのってくると、目視できる距離で追うことが出来た。見失うことは無いはずだ。
その間イツキはちらちらと後方を一瞥する。
「追ってくるなぁ……。とりあえずみんなを探さないと。」
人混みを避け、路地に入ったりしつつ黙考してみる。
あの二人は駅に向かってる。日光先生は病院かな?ツユ先生連れてたし。カサとサゴはケーキ屋。ヒラメ達は……ゲーセンあたってみるか。…………ハツガは…………どこだ…………?
「ってか、どこまでついてくるんだ、あの人。」
皆を探すには、自由に動けるのが一番なのだが……どうにか撒くことは出来ないだろうか。緑髪が目立っていたり……?
「かつらでもあればいいのに…………ん?待てよ?」
イツキは左手を見てみた。その左手には、紙袋の紐が握られており……中にはまぐろに買ってあげた女性物の服が入っているはずだ。
「……賭けだな。」
イツキは曲がり角を利用して数秒、エトの視界から外れる時間を稼いだ。
そう、着替えるための時間を。
・・・・・・・・・
「まぐろちゃん、これ、切符なのだよ!」
「はぁ……はぁ……あ、ありがとうございます……!」
まぐろとレイは、今しがたクローバー駅に着いたところだった。疾走してきたものだから息が上がる……はずなのだが、レイは平気そうだ。
まぐろが、受け取った切符を手に改札口へと向かう。
改札で切符に鋏こんを入れてもらうと、人混みを掻き分けながら汽車に向かって走った。
「レイ先輩!これですか?」
「……えっと……その汽車なのだよ!」
まぐろが汽車に乗ったのを確認して、レイが乗車しようとすると。
「レイ!」
「ん?おー、ヒラメちゃん!ミノリさん!」
片足をかけたところで、後方から名を呼ばれたのだ。ヒラメ、そしてその後ろにミノリがついてきている。
「はぁ……はぁ……イツキは?」
「イツキ君なら、皆を呼びに駆け回っている。」
「やっぱり……さっきの音と何か関係ありますの?」
レイは首肯して、経緯を話す。
「……とまあ、こんな感じなのだよ。もうすぐこの汽車が出発するから、二人も早く乗るがいい。」
「分かりましたわ。」
ヒラメが、レイの横を通り抜け汽車に乗る。
「ミノリさんも。行きたまえ。」
「……いえ。ここは私が。」
「……何故?」
「イツキ様は私達がここにいるのを知りません。そのように、日光様やサゴ様が先に来た場合、イツキ様は誰が脱出したかを把握することが出来ないでしょう?」
「確かにそうなのだが……。」
「まぐろ様も、レイ様の方がいいでしょう。」
「それなら、ヒラメちゃんはミノリさんの方がいいと思うのさ。」
「「……。」」
一拍置いて苦笑し合う二人。こういうときは……。レイは右手を前に出した。
「じゃんけんなのだよ。」
「そうですね。では勝った方が残るということで。」
「心得た!最初はグー……じゃんけんぽん!!」
レイはグー、ミノリはパー。
「むぅ……負けてしまうとはね。」
「運ですから。……レイ様。」
「どうしたのかね?」
「お嬢様のこと、頼みます。」
「頼まれた!」
レイが勢いよく汽車に飛び乗る。
やがて窓が開いて、そこからヒラメが顔を覗かせた。
「ミノリ!」
ミノリはヒラメのもとへと足を運んだ。
「残るのでしってね?」
「はい。」
「…………。」
何か言いたげな顔をするヒラメ。ミノリは目を細めてこう言った。
「またお仕えしますよ。お嬢様。」
ヒラメは意表を突かれたように目を見開く。ミノリが1歩下がると、汽車が動き始めた。笑って見送るミノリに対し、ヒラメも笑って返した。
「また仕えさせてあげますわ!ミノリ!」
徐々に速度を上げる汽車。
窓を閉めて、椅子に座るヒラメ。
母親と別れたばかりで、やはり身近にいてくれる存在とは離れたくないのか……。
「勝った方がよかったのかなぁ……。」
レイが呟くが、その声は汽笛の音にかき消され……汽車は走っていった。
「間に合った。」
「うん、みたいだね。」
汽車内で息を荒くして、突如として現れる女性2人。
「って、ハツガさん!?」
驚きを隠せないまぐろが言うも、まぐろ……否、3人はその隣の人物に目を奪われた。灰色のショートヘアーの女性。
「…………ツユ先生?」
まぐろが振り絞って出した声も、揺れる汽車の音にかき消された。
こんにちは、そしてはじめまして。
アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。
第七章ですね。どうでしょう、エトは本当についてきますね。動かしやすいのが本音なのですが。
そして、ついに目覚めたツユ先生!
いつかツユ先生の話も書けたらいいなぁ……。
続く第八章ですが……詳しくは言えません。しかし、出会いがあれば別れもある。それだけです。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう!
Thank You♪




