第四十七章「南鞠スズという少女は笑う」
レイ「いやでも、いい名前だと思うのだよ!」
イツキ「パクリなのでやめてください。」
まぐろ「無難にペルセウスとかどうですか?」
イツキ「無難にしては格好いいな!?」
桃の国解放戦線編
第四十七章「南鞠スズという少女は笑う」
「ズルズル?」
何かを引きずる音。
それは彼女、南鞠 スズの左手が何かを掴んでいるから出る音だ。
岩に隠れてよく見えないが、彼女が姿を現すと同時に、その何かが判明した。
「………………カサ?」
イツキが口にしたその名前。
『カサ』。
霧雨一行の仲間の少女だ。
仲間の南鞠が仲間のカサを引きずって現れた。
「……何があったんだ……!?」
カサは傷付いていた。
痛々しい傷で、息をしているかどうかすら怪しい。
「カサ!!」
イツキが駆け寄ろうとした、その時だった。
「待って。」
南鞠が制した。
思わず足を止めてしまう。
「待てって……カサを助けないといけないだろ!?」
「死んでないよ。せめてもの感謝。」
「感謝……?……何を言ってるんだ……南鞠……。」
「この先にみんないるよ。倒れてるけど。」
「!?」
急いで確認をする。
覗くと、確かにそこには仲間がいた。
……傷付き倒れているが。
「なっ……!?」
何があったというのか。
「おい南鞠!!何があったんだよ!?」
「イツキ!!」
突如、名を呼ばれた。
それは南鞠の声ではなく……振り向くと、ハツガがダガーナイフを手に飛翔していた。
「は……!?」
斬りかかるハツガ。
イツキに向かって刃が振りおろされた。
「…………。」
「あー……そういえばハツガさんがいたねー。忘れてたよ。」
……否。
ハツガがナイフを振り下ろしたのはイツキではなく、南鞠だった。
その南鞠も、布を使って受け止めていた。
「イツキ、下がって。」
「ま、待てよハツガ!南鞠も!何がどうなってんだよ!?」
「早く下がって!!」
ハツガが声のボリュームを上げた。
それはとても珍しく、本当にただ事ではないことがよく分かった。
「わ……分かった!でもちゃんと説明しろよ!?」
イツキは南鞠と距離をとった。
ハツガが力で押しきると、ハツガも距離をとった。
「…………南鞠スズは敵。」
「な、南鞠が敵……?」
「うん。」
「でも白猫さんのときみたいに、誰かに操られていたりするかもしれないだろ?」
「操られていないよ。」
答えたのは南鞠だった。
「……じゃあ、南鞠。これはお前の意思でやってるのか?」
「そうだよー。」
「お前が、仲間を傷付けたっていうのか?」
「うん!」
「なんのために?」
「紫のために。」
「!?」
今……彼女は何と言ったのだろう。
紫のため?
紫とは、紫の国のことで良いのだろうか?
青と協力関係のある……あの紫?
「本当か?」
信じられない。
信じたくない。
それでも、疑わずにはいられない。
現にこうして、皆、倒れているのだから。
「本当だよ!」
聞きたくなかったその一言で、イツキの胸中が変わった。
レイピアを抜き、突きにいく。
「ぐっ!!」
「まだまだだねぇ~霧雨イツキ!」
同じく布で対応する南鞠。
生意気な口調は変わらない。
「出会ったときから……お前は『そっち側』だったのか……?」
頼む。
違うと言ってくれ。
冗談だと言ってくれればなお良い。
「出会ったときから、『こっち側』だったよ。」
「……ああ……そうか。それは残念だ。残念でたまらない……!!」
イツキ&ハツガ対南鞠。
勃発。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
ついに正体を明かした南鞠。
この展開は南鞠を出したときから決めていました。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。




