第六章「自由は謳歌するべき」
どうも、アフロ月です。
先日ブラスバンドに触れる機会がありました。
迫力のある生演奏は、とても素晴らしいものでした。
インスピレーションが刺激されちゃう。
白桃編
第六章「自由は謳歌するべき」
「着いたぞ……。」
かすれた声で霧雨イツキはそう言った。
霧雨一行が到着したのは、緑の国で4番目に大きな街「クローバー」だ。
「桃の国へ行くには、この街を通る鉄道を利用しようと思う。でもまずは、腹ごしらえからだ。それでいいか?」
変わらずかすれた声で、イツキは後方に並ぶ者達に提案する。朝食を食べ損ねたおかげか、皆が賛同してくれた。
そう。
イツキ達は先程、仲間の一人である妃懦莉ヒラメに朝食を任せたところ……とても食べられるような物ではない物体を出されて、意気消沈していたのだ(因みにその物体は、彼女の専属メイドのミノリが全てたいらげた)。
一行は手頃なレストランに入ることにしたのだが……。
「お祭り……ですかね?」
まぐろが呟くように言う。
クローバーの街は多くの人で賑わいを見せていた。色とりどりの装飾がなされており、まぐろが言ったように祭りの類いなのかもしれない。
「いい気なもんだな。」
日光が不機嫌そうに言った。
「……なあハツガ。ここ数日、ラジオで何か動きはあったか?」
イツキが聞くも、ハツガは首を横に振った。イツキは日光の方に振り向き、こう言う。
「多分、ここまできて気付かないっていうのは無いと思います。電波ジャック、もしくは局が乗っ取られているかですね。」
困惑した表情を見せる日光は溜め息を吐いた。
「全く……抜かりねぇな。」
「情報は大事ですから。」
イツキが言うと、日光は再度溜め息を吐いた。
・・・・・・・・・
「ふぅ……美味しかったなぁ……♪」
遅めの朝食……時間で言えば昼食をとり、イツキらは幸せそうな面持ちでいた。特に大量のサンドイッチを頬張っていた女性、海岐華レイは、これ以上無いくらいの笑顔でよだれを垂らしている。汚いな。
イツキが苦笑していると、後輩兼タッグの神崎まぐろが話しかけてきた。
「霧雨先輩。汽車には、何時頃乗ります?」
「ああ。ここを通る汽車は本数が少ないから、一番早いやつでも、今から4時間後かな?それに乗る。遅れたらさらに2時間後だからな。」
まぐろの問いに、イツキは迷うことなく返答した。
まぐろは目を丸くして驚いているようだった。まあ最低4時間も空くのだ、仕方あるまい。見かねたイツキは、皆の方に向きなおり両手を広げてこう言った。
「ってなわけで!ここらへんで自由行動としましょう!英気を養うという意味で、どうです?」
「俺は賛成だ。これから長い戦いが始まるんだし。それじゃ、駅で落ち合おう。」
「ふむ……日光の言う通りだな。我が兄よ、私はケーキ屋に行きたい。」
「フッ、お供するッスよカサ!」
日光、カサ、サゴはそれぞれ目的の場所へ歩いて行った。どうやら賛成のようだ。やがて人混みに紛れて見えなくなる。
「ミノリ。私達はどこに行きます?」
「ゲーセン。」
「……そんなところには行きませんわ。」
ヒラメ、ミノリも、またどこかへ歩いていった。
「イツキく~~ん❤私と行くのだよ!」
「うわっ、レイさんまだよだれ垂らして……いいですけど、まぐろも連れていっていいですか?」
「まぐろちゃんがいいならオッケーなのだよ!」
まぐろに熱い視線を送るレイ。まぐろは、苦笑しながら首肯した。
「それでは、どこに行こうか?」
レイが二人の肩に手をまわして満面の笑みで言うと、イツキはこう言った。
「とりあえず服屋で。」
「えっ、イツキ君ブティックに興味があったのかい?」
意外だったのか、レイは少し驚いたのだが。
「あ、違いますよ。まぐろと約束したんです。落ち着いたら服を買ってあげるって。」
「そうなのかね?まぐろちゃん。」
「そう言えば……確かに下水道で約束しました。よく覚えてましたね。」
「まあな。」
一先ずイツキ達は3人で、服屋を探すことにした。
「ハツガはどうする……ってあれ?」
イツキは灰髪の女性ハツガを誘ったのだが……いつの間にか消えていた。まあ、元々無口な人だから黙って行ったと思うのが自然か。
「ハツガさんなら、一番にどこかに行ったのだよ。」
「はやっ。全く気が付かなかったぞ……。」
案の定そうだった。しかも最初だったとは……。
「あはは……いつものことですよ。」
三人は笑い合い、人混みの中に消えていった。
・・・・・・・・・
イツキら三人がやって来たのは、チェーン店として名高い「neige」というブティックを扱う店だ。
外装、店内共に、名前の通り雪をイメージした造りになっており、白く鮮やかに装飾が施されている。
「たくさんありますね……。」
感嘆としているまぐろは、呟くようにそう言った。イツキはこう返した。
「そうだな。俺はあまりこういった店には来ないけど、名前を知ってるくらいには有名だし。」
ふと反対側。レイの方を見やると、レイは口を開けて目を輝かせていた。
成程。やはり女の子だ。
イツキは図らずも笑みがこぼれて、
今はこの時間を楽しもう。
そう思った。
「じゃあ、とりあえず一通り見ていこうか。好きなの選んでいいからな。」
「はい!」
「了解なのだよ!」
「えっ……まぁいいか。レイさんもいいですよ、ってもういないし!?」
気付いたときには、すでにまぐろとレイはきゃっきゃうふふしていた。
微笑ましくなるその光景に、イツキは束の間の幸せを感じた。
「これ、可愛いですねぇ……。」
「ふむ、まぐろちゃんはこういったのが好みなのだね。」
「レイ先輩。これはどうです?」
「バッチリ似合ってるのだよ!しかし私はこっちがいいと思うがね。」
「何故にスクール水着……。」
…………女の子のステージなのだから邪魔しちゃ悪いだろうと、しばらく女子トークを楽しんでいたが……。ただならぬ危険を感じたイツキは二人に交ぜてもらうことにした。
・・・・・・・・・
クローバーの街の中心部から少し離れたところにある、ゲームセンター。そこにヒラメとミノリはいた。
「あっ、ちょ待っ!!」
試合が終わり、格闘ゲームの筐体の画面に映る文字を見て、ヒラメは落胆した。
しばらくして、筐体を挟んで向かい側にいたミノリに声をかける。
「ミノリ……少しは手加減してくれたらどうですの……。」
「したつもりです。舐めプに見えたかもしれませんが。」
「…………まあ少々面白かったですわ、このDIVINE AHUROという格ゲー。何かない?強くなるコツ。」
「お嬢様は初心者ですから、まずFやコンボを理解してもらわなければ。とりあえず最初はキャラクターを選んでいきましょうか。」
そう言うと、ミノリは座っていた椅子をヒラメに譲り座らせ、筐体に向かいあわせた。
※ここから、読み飛ばしてもらっても結構です。
「100円は私持ちでよろしいでしょう。」
「感謝しますわ。」
ミノリは懐に入れておいた財布から100円を取り出して筐体に入れた。
「このDIVINE AHUROは所謂コンボゲーの側面を持ちながらボタン連打で繋げることが出来るモードを搭載した初心者でも入りやすい格ゲーです。」
「ちょっと、早口で何を言っているのかさっぱりですわ。」
「基本は連打で繋がるアフロモードなのですが、極めてもらう為にディバインモードでやってもらいましょう。上級者の私は無論、マニュアル操作のディバインモードですが。それでは、早速キャラクターを選んでいきましょう。」
画面に20人程のキャラクターが映し出される。画面中央部には、白丸の枠内に可愛くデフォルメされたキャラクターの顔、そして左右にカーソルを合わせているキャラクターの全身図が現れる。
「お嬢様は、どういったプレイスタイルをお好みで?」
「……?とにかく強いのがいいですわ。」
「…………。主観によりますが、それは面白くないのでは?」
「私は勝ちたいのですわ!!勝たなきゃ面白くないじゃないの!!」
「……まあ一理ありますが……。なら、バランスブレイカー『ナメマル』でいきましょうか。」
ミノリはスティックを動かして、カーソルをナメマルに合わせた。二足歩行のナメクジのような体に侍の格好をしたキャラクターだ。
「ちょっと待ってくださいまし!これはキッツイですわ!」
「え?」
ミノリが首を傾げる。
「見た目がアウトなのですわ!もっとこう……可愛い女の子がよいのです!」
「……では、『パンダコッタ』にしましょう。」
ミノリが再びスティックを動かそうとする。するとヒラメはある事に気が付いた。白丸の枠に、パンダの顔をしたキャラクターがいたのだ。たまらず指でそれを差す。
「この子ですわね、パンダコッタというのは。」
「いいえ。こっちです。」
ミノリはお嬢様の格好をしている、顔がフランスパンのキャラクターにカーソルを合わせた。
「そっち!?っていうか何故顔がフランスパンなのです!?」
「聞きたいですか?生い立ちを。」
「聞きたくないですわ。人間がいいです。人間はいないの?ミノリ。」
「残るパンダの『シロクロコ』以外全員人間です。」
「ミノリは何故ナメクジやフランスパンを勧めたの!?嫌がらせ!?」
「……この子でよろしいですか?」
「む、無視とはいい度胸ですわね……。へぇ、可愛いらしいですわね。名前は?」
「ゲンゴロウです。」
「女の子要素皆無!!」
「男の娘ですから。」
「何故貴女は私に特殊な人達を勧めるの?って、勝手にゲンゴロウで始めましたわね!?」
「これで……。とりあえず戦ってみてください。」
淡々と説明していくミノリ。画面はエフェクトに彩られて戦闘画面へと入る。
筐体から男の声が聞こえた。
「セットアップ……アクション!!」
戦闘開始の合図である声だ。
「いきますわ!」
気合いは充分。さあ、いくのだヒラメ!まずは白星をあげることを目標に!!
画面内でゲンゴロウが暴れまわる。対するCOMキャラはグリーン178世というおじさんキャラだ。
ゲンゴロウは暴れに暴れて…………隙を見せてグリーン178世の攻撃が入り続け、力尽きた。
「…………。」
無言になるヒラメ。
こうして、ヒラメやミノリの100円は次々と筐体に吸われていくのだった。
これがゲーセンの魔力である。
こんにちは、そしてはじめまして。
アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。
さあ、第六章でーす♪
自由は~♪謳歌するべきなのさ~♪
ちょっとした約束も果たせて、イツキは満足です!
ミノリとヒラメも自由でしたね。
皆さんは、お金は大事に使ってください。
続く第七章では…………あの人がなんと、目覚めます。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You♪




