第三十二章「終末へ向けて」
イツキ「あっぶね!!寝落ちするとこだった!!」
桃の国解放戦線編
第三十二章「終末へ向けて」
「とーう。」
桃の国傭兵育成機関『夜街の街路樹』。
占領されているこの街路樹で、たった一人で暴れている女がいた。
「な、なんだアイツ!速ぇ!!」
「アイツあれだ!灰色の死神だ!」
「灰色の死神!?って、白の国にいたんじゃ!?」
「知らねぇよ!こっちに来るぞ!!」
「「ひいぃぃぃぃぃ!!!」」
二つ名を持つ彼女の名前はハツガ。
霧雨一行のメンバーにして、ダガーナイフを武器に戦う盗賊である。
「次。」
青が撤退することも知らず、彼女はただ敵を倒し続けていた。
半ば楽しくなっているようだが。
「……来ないの?」
ハツガの周りには、まだ何人もの青の兵達が囲っている。
ハツガの後方。
つまりハツガが背中を向けて立っているにもかかわらず、足を踏み出すことが出来ない。
隙が無いのだ。
「なら、こっちから。」
もし第三者がいる場合、敵が可哀想に見えるに違いない。
・・・・・・・・・
「あ。」
「あれぇ?」
茶々猫の隠れ家へ戻ったヒバリは、入口でモチとばったり再会した。
「よっ、無事だったのか。」
「ヒバリちゃんもねぇ~。」
「……まあ、アンタの力なら楽勝か。」
「そうでもないよぉ~!ヒバリちゃんには敵いませんってぇ~!」
「…………。雨も降っているし、早いとこ入ろうぜ。」
「そうだねぇ~。」
洞窟の薄暗い入口や通路を歩く。
「なあ。」
「ん~?」
ヒバリが口を開く。
隣を歩くモチに話しかけたのだ。
「アンタの力ってなんなんだ?うちんとこの長と……少し既視感を覚えたんだが。」
「長?」
「シュトルムブルー=オオノガン。影の魔法使いで、古城の長。」
「へぇ~そんなのを相手にしてるんだねぇ~……。」
「親子か何かなのか?魔法使いはどんなやつでも血縁関係にあるって聞いたことがあるんだが。」
「違うねぇ~。」
「違うのか。じゃあアンタの力って……?」
「あっ、違うっていうのはそれだけじゃないよぉ~。血縁関係のこともだねぇ~。」
「なんだ、詳しいのか?」
「まあねぇ~。まあ、機会があれば話してあげるよぉ~。」
「ああ……。じゃあ頼む。……見えてきたな。」
話していると、時間の経過が早い気がする。
あっという間に隠れ家の中へと到着した。
「南鞠ー!!ガウラー!!」
隠れ家にいるはずの二人の少女の名を呼ぶ。
……返事は無い。
「……あ?いないのか?」
「もう少し奥の方に行ってみようよぉ~!」
「あー……そうするか。」
ヒバリは苦笑いをして、モチと共に二人を探し始めた。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




