第二十九章「体と魂」
Q.風といえば?
ハツガ「なるもの。」
ミノリ「纏うもの。」
レイ「先駆者。」
イツキ「こいつら何言ってんだ?」
桃の国解放戦線編
第二十九章「体と魂」
「俺……死んだのか?」
「そうです。」
「…………。」
突然現れたケイトと名乗る少女に、死んだと告げられた。
見知らぬ場所で目覚めたことを説明するには、それで納得出来ないわけではないが……。
「…………何だか訳有りのような感じですねー。」
「分かるか?もうね、本当に訳有り。」
「うーん……とりあえずついてきてください。道中に色々説明します。」
ケイトに促されて、イツキは歩くことにした。
真っ白な空間を。
・・・・・・・・・
「まずここは、死んだ人が来る空間と言いましたが、正確には違います。」
「そうなのか?」
「はい。未練のあった魂が、納得し、成仏する際にここを訪れるのです。イツキさんは心当たりありませんか?」
「…………無いな。戦ってたら、突然ここで目覚めた感じだし。」
「それが本当だとイレギュラーですね。」
「イレギュラー……。」
ケイトは一度、こくんと頷いた。
「はい。パターン的には、体と魂は繋がっていますから、別の場所に送られるはずなんですけどね。でもイツキさんは魂だけの存在。考えられるパターンは、ここのルール通りのパターンしかありませんよ。」
「うーん……?」
「ま、まあ、理解出来なくても問題ありません。………………着きました。」
「え?」
立ち止まるケイト。
着いたと言っていたが、周りを見渡すも、何も見当たらない。
「何もないけど?」
「すぐに分かりますよ。」
ケイトは右手を前へかざした。
すると、光の線が長方形の形へと繋がっていく。
やがてドアが出来た。
「お、おお!?」
「皆さん驚くのですよね。さあ、入りましょう。」
中に入るとそこは奇妙な光景が広がっていた。
無造作に人間の体が置かれているのだ。
「な、なんだこれ……?」
一抹の不安を感じながらも、イツキは問うた。
「簡単に言えば体です。成仏出来ない魂達が、次のステップへ進むための。」
「次のステップ?」
「現世で生まれ変わるか、天界へと進むかです。どちらにしろ魂だけでは行けません。イツキさんの場合、こちらに自分の体があるかもしれませんから、探してみてはと思いまして。」
「成程……。でも、それだと生まれ変わることにならないか?」
「特別に元に戻してあげますよ。訳有りだと仰っていたでしょ?」
「あ、ああ……。それじゃあ探してくる。」
「頑張ってください!」
皆のもとへ戻るためだ。
やってやる。
・・・・・・・・・
「…………無いんだが。」
「そ、そんなはずないんですけどね……。」
「いや、自分の体だぞ?見間違うはずがないだろ。」
「先入観は捨てましょう!恐らくイツキさんが思ってる程イケメンではないです!」
「大きなお世話だよ!!」
「あはは……。」
苦笑するケイト。
悪気はなかったようだ。
だが……。だからといって問題が解決するわけではない。
「何か思い当たる節はないのか?」
「そうですね……。一つだけ、可能性があります。」
「おっ、なんだ?」
「死んでいない。」
「……いや、でもここにいるってことは死んでるってことだろ?ケイトが言ったんじゃないか。」
「そうなんですけど……何かの理由で魂だけ抜かれているのなら…………ここに体が無いことにも頷けます。」
魂だけを抜かれている……。
記憶の最後は、ヒナの攻撃だった。
普通の攻撃ではなかったのは確かだが、もしそれが魂を抜くそういう技だとしたら……!
「有り得るかもな。じゃあ、どうやって戻れば…………。」
イツキの口が止まった。
止めたのは「ある体」だった。
「…………これは?」
「え?」
その体へと歩み寄る。
「……風花?」
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
本当に死んだのか分からなくなってきましたね、イツキは。
フッ……これこそ計画通りなのさ!
それでは!またお会いしましょう。
Thank You。




