第二十七章「姑獲鳥」
サゴ「そういえば、ヒナちゃんは武器の名前を決めたッスか?」
ヒナ「決めたよ!えっとね、えっとね、本編でそのうち発表するよ!」
桃の国解放戦線編
第二十七章「姑獲鳥」
「…………うわっぷっ!?」
私が目覚めたのは水の中だった。
……正確にはお湯だったのだが。
「ごぼごぼぼぼ……!おぼ、溺れる……!!」
「いや……足はきちんと届くだろう。」
「ごぼぼぼ……!!……………………。」
「んん!?沈んだ!?大丈夫かカサ!!」
私の名を呼ぶその女が、私をお湯から引っ張り出した。
赤い髪の彼女の名は茶々猫。
この隠れ家へと招き入れてくれた、桃の国傭兵育成機関の長だ。
「……すまぬな。まさか泳げないとは思わなんだ。」
「……気にしないでください、茶々猫嬢。それより何故私はここに?先程の戦いは?」
「カサはヒナとの戦いで気絶してのう。庇いながら戦うには無理だということで、妾がここまで運んできたのだ。」
「む…………そうでしたか……力になれないどころか、迷惑まで………………と、少し待ってください。」
私はある事に気が付いた。
「ということは、戦況はどうなっているのですか?ヒナとの戦いには、誰が残っているのですか?」
「……イツキ一人だ。」
「なっ!?」
……青の幹部、ヒナ。少女の前から撤退したのは五人。
残ったのはイツキ一人だと?
気迫で動けることすらままならなかった私達は分かる。だが、動けるからといって一人で残るなど危険ではないのか?
「イツキのもとに帰ります。」
「馬鹿言うでない。戻ったところで戦力にならぬわ。」
「しかし一人残すのは……!!」
「カサ。……妾達はまた別の目的で動くことにした。そちらに協力してくれ。」
「…………別の目的……?」
「夜街の街路樹に乗り込むのだ。」
「……!!」
「四人中二人は行動不能。一人は一行へと戻ってきて、一人は戦闘中。叩くなら今だ。」
「成程……。」
そうだ。元々の……変わった覚えはないが、桃の国に来た目的はただ一つ。奪還だ。
「妾は……少し頭を冷やさなければならない。」
茶々猫が顔を俯かせた。
「妾がつまらないプライドを持ち、エトやヒナに挑まなければ、こんな事にはならなかったのだ。……本当にすまない。」
「……いえ……。それでは早く行きましょう。そうしなければ、イツキも大変でしょうから。」
「……うむ。そうだな。」
・・・・・・・・・
「はぁ……はぁ……!!」
額から赤い液体が流れ出る。
僅かに切っただけで、ここまで足がおぼつかないのだろうか。
「…………。」
「何か喋ったらどうだ?……えっと……ヒナ。」
「無駄だ、霧雨イツキ。ヒナがこうなったら、聞く耳持たねぇよ。」
「はあ!?じゃあどうするんだよ!?」
「知らん。」
倒れているエトに問うも、解決策を知らないようだった。
「今まではどうしてたんだよ!?」
「来たぞ。」
「……!!」
ヒナが、双剣を手に、イツキへと攻撃を仕掛ける。
手数の多い攻撃に、受け流しの得意なイツキも捌ききれない。
すぐに腕が浮く。
「ぐおっ……!」
「…………。」
一瞬、ヒナがにやっと笑った気がした。
左の双剣がイツキの胸を貫かんとする。
「くそっ!」
エトとの戦いでも負傷しているイツキには、厄介な強敵である。
右脇腹をかすった双剣を、イツキは力任せに弾いた。
ヒナの体が少しばかり回った。
隙が出来たと思ったが、少女の武器は双剣なのだ。
右が来る。
「…………。」
「予想通りの動きだなっ!」
予想が出来るということは……受け流しやすい。
イツキは右の双剣を受け流した。
「……!?」
「驚いたか?一応心は残ってるようだな!!」
体勢を崩すヒナ。
「終わりだ!!!」
イツキがヒナを柄で押し返そうとする。
狙うは腹。
気絶してくれればよいのだが。
「ぐぅっ……!!」
「声が出た!」
声が出ただけで驚くとは……『決まった』といっても過言ではない。
それほどの一撃だった。
「まだっ!!」
「はあ!?」
ヒナは諦めていないようだった。
歯を噛み締めて、鋭い目つきでイツキを睨む。
怯むイツキ。
「ぐっ……怯んじゃダメだ……!けど……ちょっ、待て!何だよそれ……!?」
ヒナが振り上げた右手。
その右手と双剣にまとわりつく、紫色の何か。
エトが装備している機械腕ともまた違う。
何故なら今の今まで、そんな腕なんて無かったのだから。
「姑獲鳥!!!」
「馬鹿ヒナ!!それは使うんじゃねえ!!!」
「エト……!?」
エトが声で制するも、遅かった。
ヒナの姑獲鳥による一撃が、イツキを襲った。
だが……。
「……。」
痛みを感じないまま、イツキは倒れた。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
とある事情からリュックサックを購入したのですが、相場に驚きました。
なんであんなに高いんだろうね……。
後書きまで読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




