第二十三章「雛椋鳥」
まぐろ「ててんてんてんてん……。」
イツキ「何だそのリズム……書面上では分かりにくいだろ。」
桃の国解放戦線編
第二十三章「雛椋鳥」
縦に一閃。
エトの右肩から腹までに傷を入れた。
「がっ……!!」
息を漏らすように、エトは声をあげた。
膝から崩れ落ちる。
「ぐっ……あ………………はぁ……はぁ……。」
「……私達の勝ちだ。」
変わった形のハルバードを手に、カサは言った。
突然現れたカサに、動揺を隠せないエト。
「スタンバってた……のには……驚いた…………ぜ……。」
「期は熟すまで待つものだ。」
「……それに、その、ハルバードは……。」
「うむ。我が兄の双剣と私の槍を合体させた。」
「あいつ……。」
「エト。」
不意に声をかけられた。
その声の主はサゴ。カサの兄だ。
現れたサゴは、こう続ける。
「エト。……俺、イツキさんのところへ戻るッス。」
「……へっ、そうか……。いつかは……と思っていたが、今日だったとはな……。」
「やっぱり罪の無い人を傷付けてまで幸せを得ても、それは幸せじゃないッスよ。俺はイツキさん達についていって、世界を救う方を選ぶッスよ。」
「……はっ……そうかよ……。……早く行け。」
「え?」
「格好つけてるわけじゃねぇ……。俺がやられたってことは…………ヒナが来る。」
「…………エト?」
「!!」
冷たく、ひんやりとした声だった。
何故だろう。
悪寒がした。
振り向くのに恐怖を感じられた。
「ヒナの声だ。」
イツキがそう言った。
分かっている。理解している。
それなのに……ヒナの声だとは思えない。
「…………はぁ……はぁ……!」
息があがる者もいた。
苦しそうな声を聞く限り、黒猫と茶々猫……カサとサゴもだ。
イツキと白猫は耐えているが……時間の問題だった。
「エトー?」
「ヒナ……俺なら大丈夫だ。」
「大丈夫じゃないよ。ヒナね、ヒナね。」
「ヒナ。」
「何だかぞわぞわする。」
「馬鹿やめろ!!」
何かが来るのか。
振り向けない。
でも、一つだけ分かることがある。
無理にでも彼女を見なければ、やられる。
イツキは恐怖に打ち勝つ為に振り向いた。
そこには双剣を振り下ろすヒナがいた。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき、大変恐縮です。
いかがでしたか?
怖いね、ヒナちゃん。
後書きまで読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




