第二十章「隠れ家の少女達」
ミノリ「日光様。貴方は叩く方と叩かれる方、どちらがお好みですか?」
日光「何だいきなり……。叩く方だ。」
ヒラメ「答えるんですのね……。」
桃の国解放戦線編
第二十章「隠れ家の少女達」
「あれ?何で帰ってきてるの?」
「ただいま、南鞠ちゃん。」
桃の国にある、茶々猫の隠れ家。
待機していたガウラと南鞠 スズのもとにやって来たのは、チームマモハの三人だった。
まぐろ、モチ、ハツガの三人は今、解放戦線に参加しているはずだが……。
「二人が心配だ。ってまぐろちゃんが言ってねぇ~。それで様子を見にきたんだよぉ~!」
モチがゆらゆらと揺れながらそう言った。
南鞠は「ふーん」と素っ気なく返し、手を高々と挙げた。
「じゃあ、暇だったから誰か残ってよ!」
「え?」
首を傾げるまぐろ。
「だからー!暇なんだって!まぐろちゃんでいいから本読んで!」
「え、ええっと……。」
困惑するまぐろ。
それはそうだ、今は戦いの最中なのだ。
残るだなんて出来るはずない。
「残っていい。」
「ハツガさん?」
まぐろの後方にいたハツガが発言した。
予想していなかった言葉に戸惑いつつも、まぐろは何故かを聞いた。
「私だって戦わないと……!」
「もしもの為に、ここに一人置く方が良い。」
「…………それが、私なんですか?」
「指名入った。」
「あっ……。」
まぐろは南鞠を一瞥した。
それに気付いた南鞠は瞳を輝かせていた。
「私達なら大丈夫。……行こう、モチ。」
「はいはいハツガさん。それじゃあまぐろちゃん。またねぇ~!」
「ちょっ、ちょっと二人とも!」
まぐろが制するも、それを無視してモチとハツガは隠れ家から出ていった。
「もう……。」
「いいじゃんよー!それより早く読んで!私この本読みたいんだ!」
「……ふぅ……。分かりました!では南鞠ちゃんに本を読んであげます!でも本なんてどこにもありませんよ?」
「持ってるから大丈夫!はい。」
南鞠が取り出したのは、表紙が黒い本だった。
「あれ?絵本じゃないんですね。」
手に取ると、少し重みを感じられる。
「ば、ばかにすんなよ!早く読んでよまぐろちゃん!」
「分かりましたよ。」
と、まぐろは本の表紙を捲ろうと手をかけたのだが……。
「あっ。」
何かに気付いたのか、まぐろはキョロキョロと辺りを見回し……目的の人物を見つけた。
「ガウラさんもどうです?」
岩陰に隠れていたガウラは顔を覗かせて、こくんと頷いた。
「では、お隣にどうぞ。」
再度こくんと頷いて、ガウラはまぐろの横に座った。南鞠、まぐろ、ガウラと、真ん中にまぐろを挟むように二人は座った。
「読んでいきましょうか。…………始まりの魔女と三人の勇者。」
南鞠はイメージしやすいが為か目を瞑り、ガウラは眠たそうに目を瞑っていた。
「…………ちょっ、ええ……。」
・・・・・・・・・
くるりくるりと体をまわし、舞う。
敵を襲うのは小粒の雨だ。
「ちっ、小癪な……。」
「なんとでも。」
公園で戦闘を繰り広げていた黒猫とエト。
海の舞を得意とする黒猫が代用したのは雨だ。掌で押し出すように切ると、弾丸のように雨が飛んでいく。
「威力はそんなでもない。……速さだけか!」
エトが機械腕を振り、黒猫の放った雨粒を一掃すると、スロースタートながらも駆け出した。
機械腕は高エネルギーを収束させて強力な一撃を与えることが出来る武器だが、欠点はその重さだった。
初動が遅いので、走り出してもすぐにスピードには乗れないのだ。
「……向かってきますか。」
「黒猫だったか……。所詮雨は雨なんだ。本来は海で使うその舞じゃあ、俺に会心の一撃を与えることは不可能だ!!」
「分かっていますよ、自分が一番ね!」
「発射ァァ!!」
エドが腕を大きく振り抜く。
高エネルギーが輝きながら、黒猫へと発射された。
「……!!」
「黒猫!!」
茶々猫が叫んだ。
これを喰らうのは危険だ。
そう思った時には……もう遅かった。
黒猫の足が動かないのだ。
「やばっ……!」
エネルギーが黒猫を包み込んだと同時に、地面を抉った。
「…………黒猫……?」
そこに黒猫の姿は無かった。
「……黒猫!?黒猫!!!」
「茶々猫ちゃん!あれ!!」
取り乱していた茶々猫だったが、白猫が指をさした方を見やると……。
「…………あれ……?」
「間に合って良かったです。」
緑髪の少年が、お姫様抱っこで黒猫を救出していたのだ。
「イツキさん!?」
「イツキ!?」
「イツキだー!!」
「そ、そんなに名前を呼ばないでください!何だか恥ずかしくなります!!」
「霧雨イツキだと……!?」
エトも驚愕していた。
イツキが来ていると情報はあったが、確かではなかった。
しかし、目の前に彼は居た。
「エトさん……お久しぶりですね。」
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
三猫の前に現れたのはヒナ、エト、そしてイツキ。
大分役者が揃ってきました。
後書きまで読んでいたたきありがとうございます。
Thank You。




