第三章「戦い、苦難、穴」
はふん。
桃の国解放戦線編
第三章「戦い、苦難、穴」
話もまとまり、霧雨一行は三手に分かれることにした。
一行唯一の砦でもある深淵の箱庭を守護する待機組。
親父、犬槇、ツユがここにあたる。
そして、黄の国へ行き同盟を持ちかける黄組。
ヒラメ、ミノリ、日光、紅、雨燕がここだ。
そして桃の国解放を目的とした解放組。
イツキ、まぐろ、カサ、茶々猫、白猫、ヒバリ、ハツガ、ガウラ、モチ、南鞠の10名がここだ。
明朝、各々は早速行動を開始した。
解放組は歩きで桃の国へ向かうことになったのだが……。
「ぜぇ……ぜぇ……。」
綺麗な黒髪が乱れ、汗を滝のように流すのはカサだ。
「カサ……お前、たまにへっぽこになるよな。」
イツキがそう言うと、カサは照れた。
「いや、褒めてないからな。」
「なんだと……!?」
「……。」
眉をぴくぴくとさせるイツキ。
今に始まったことではないが、先が思いやられる。
カサは勿論のこと……。
「おい霧雨イツキ!何で歩きなんだよ!疲れるだろー!?」
生意気な小娘、南鞠 スズ。
黒の国から勝手に付いてきた少女で、茶髪をポニーテールにまとめている。
「仕方無いだろ。日光先生しか扱えないんだ。」
「使えないなー。」
「ぐっ……!!」
言い返せないのが辛い。
さらにイツキと手を繋いで歩くは……。
「ガウラさん、疲れてませんか?」
「……。」
こくんと頷くガウラ。
白い髪、白い肌、白い服といった白づくし!!な少女である。
長である彼女は、イツキに非常になついているのだ。
そして……。
「よろしくねぇ~ヒバリさん。」
「ああ。モチさん……だったよな?」
いつも笑顔のモチ、長ランに刀を帯びているヒバリ。
「女の子!女の子ばっかり!茶々猫ちゃん!」
「涎をたらすな。白猫。」
眼鏡っ娘の白猫に赤髪の茶々猫。
「カサさん。大丈夫ですか?」
「む……大丈夫だ、まぐろ。」
カサに、ボブカットの心優しい少女まぐろ。
……まぐろはこの中では、唯一のまともなやつだと思う。
各々が問題や悩みを抱えているから。
最後に……イツキでも手がつけられない問題が……。
「……。」
先程から真後ろに張りついているハツガである。
「……ハツガ。」
「何?」
「…………その、張りつくの止めてくれないか?」
「何で?」
「えっと……暑いから。」
「もぞもぞさせたらもっと暑い。むしろ熱い。やる?」
「やめてください。あのなハツガ、変な目で見られてるの分かってるの!?」
「分かってる。」
「……たちが悪いぞ……。」
一体このメンバーで、イツキの精神は持つのか…………もう一つの戦いが始まったのだった。
「……はぁ……。」
・・・・・・・・・
「ふっはっはっはっ!!!進め進めぇ!!!エクステンドウルティマロングロングアゴーパフェ!!」
「ブルルルヒヒィィィィィン!!!」
一方、馬車を暴走させていたのは黄組。
「まだまだですわ!」
「とばしましょう、日光様。」
「もっとやれぇ!!」
「ひいいやあああ!!!」
焚き付けるのは、ヒラメ、ミノリ、そして酔っぱらった紅である。
雨燕は完全に巻き込まれていた。言わば被害者だ。
「皆さん!少し急ぎすぎでは!?」
雨燕の必死の叫びも、彼らの耳には入らなかったようだ。
馬車は猛スピードで駆けていく。
「風を感じるぜ……!いや、これは……俺も風になっている……!!」
「こら中二病!!スピード抑えてください!!」
「誰が中二病だ!本物だ俺は!!」
「どうせプラシーボ効果ですよ!!思い込みの力!!」
「雨燕!!」
「なんですか!!」
「お前は風を感じないのか!?」
「嫌というほど感じてますよ!!」
……雨燕の苦難は続く。
・・・・・・・・・
そしてこちらは、待機組。
「酒飲みてぇ。」
「我慢しろよ親父さん……。」
「もしもの時にどうするんですか……。」
親父、犬槇、ツユが、長の部屋でゆっくりしていた。
「……スギネは大丈夫かねぇ。」
「唐突だな。」
「だってそうだろ、犬槇。二人だけで帰ったんだぜ?」
「まあそうだけど……。」
スギネと博羽は、黒の国へと帰っていった。
早く顔を見せて安心させてやらねばいけないと言っていた。
「……賭けをしないか。」
「だから唐突だな。何のだ?」
「イツキが桃を解放できるかどうか。」
「は?……おいおい、何のつもりだ?」
「何のつもりでもない。あちらさんの戦力が分からねぇから十分賭けにはなるだろ。で、どっちだ。」
「……賭けにはならねぇよ。」
「なんだと?」
「アンタも俺も仲間を信じるに決まってんだろ。賭けにならねぇ。」
「誰が何時、イツキを信じるって言った。」
「……は?信じてないのか?息子だろ?」
「信じてるさ。でも……穴がある。」
「穴……?」
「すぐに分かるさ。」
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
Thank You。




