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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
白桃編
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第二章「罪」

アフロ月です。

今回の変奏曲は、少し……いや。かなり大人なテイストになっております。

皆様はこんなことにはならないように……ね。

 白桃編

 第二章「罪」




「ふわぁ……。」


 イツキは目を半ば開け、大きな欠伸をかいた。


「ん……?」


 そこは見知らぬ天井だった。だがすぐに、自分達に用意された部屋だと気付く。


「ああ、昨日ヒラメに用意してもらったんだっけ…………って、なんで俺は裸なんだ。」


 何故かイツキは一糸纏わぬ姿だった。

 上半身はもちろんのこと、かけ布団で隠れた下半身でさえ感覚で分かる。何も身に付けてない。


「まだ眠いな……。」


 もう一度大きな欠伸を書いて、ふと右を見やる。

 そこには同じように一糸纏わぬ姿のレイが、幸せそうに寝息を立てていた。

 頭の中で木魚を叩く音が聞こえる。数回叩いて(りん)が鳴ると同時、イツキの顔は蒼白に染まった。

 ……ま、全く……疲れが残っているんだ。夢でも見ているのだろう。きっと夢だ夢であれ。イツキは現実から目を背けたくて、ゆっくりと向きを左に変えた。

 そこにはまたしても一糸纏わぬ姿をしたまぐろが寝顔を露にしていた。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」


 声にならない叫びをあげるイツキ。それは幸運にも無意識の内のファインプレーだった。

 そうだ起こしてはまずい。声を出さないでよかった。…………まあ考えるのは後だ、まずはこの場を離れよう。

 そう思ったイツキは、ベッドから下りようとした。

 イツキを真ん中に川の字に寝ていたので、端から下りるのはリスクを伴う。足の方から下りようとして、イツキは静かに体を起こした。

 二人を一瞥するが、まだ目覚めていないようだ。

 胸を撫で下ろすと、四つん這いになり慎重にベッドの先の方に進んでいく。

 …………布団で隠れているし、一糸纏わぬとは決まっていないよな。何も起きていないよな。うん。純朴純朴。

 うんうんと頷くイツキだったが視界に見えたあるものに固まる。それは人。詳細を露にすると、布団にくるまっているハツガだ。そのまわりにはハツガのものと思わしき服が散乱しており、イツキ思わず吐血した。

 ど、どどどどどどれだけのふ、ふ、ふ、不祥事を起こしてしまったのか。

 シーツに赤い染みを作り見た目が危ないことになる。

 元々危ない見た目だったのがさらに危うくなる。

 ……一周回ってセーフとはいきそうにない事態だった。

 許容しきれない一先ず部屋から抜け出そうそうしようそうするしかない。

 まずは足からだ。つま先から床につけて下りるイツキ。そのときだった。


「うぅ……ん。」


 レイが唸ったのだ。このままでは目覚めてしまう。

 まずいと思ったイツキは必死に祈った。起きるな、と。

 暫くすると、レイは再び寝息を立て始めた。どうやら気付かなかったらしいが……これは心臓に悪い。

 イツキは両方の足を下ろすことに成功した。次は体重をかけている手だ。ここで油断すると、体重によって軋んだベッドが音を出して起こしてしまう危険性がある。

 音を鳴らさないようこれでもかと慎重に手を離していくイツキ。床に下り立つことに成功したイツキは泣きたくなった。尤も、すでに泣きたい事案が発生しているので目頭は熱くなっているが。

 あとはドアだ。確かドアノブを回して引くタイプだったはず。抜き足差し足忍び足とは正にこの事だろう。ゆっくりと足音を立てずに歩いていく。ドアの前に立ち、ドアノブに手をかける。これで外に出れば俺の勝ちだと思ったのだが……。イツキは己が服を着ていないことを思いだした。


「えっと……服は……。」


 声には出さず口だけ動かすイツキ。

 辺りを見回すも自分の服が見当たらない。頭をかいて困っていると先程まで寝ていたベッドの枕元に、シャツが脱ぎ捨ててある事に気付いた。

 …………どうやら戻らなければいけないらしい。

 顔をひきつかせて、イツキはもと来た道(?)を通ることにした。


「……んん……。」


 突然の声にビクッと肩が震える。誰だ今の声は。

 いや、聞いたことある声だが今の声は……。

 イツキはベッドのシーツをめくり下を覗いてみた。

 …………カサガイタヨ。モチロンイッシマトワヌスガタデネ♪

 ……体勢を戻したイツキは遠い目をする。

 …………4人か。


 ガチャ。


「おはようございます。朝ですよイツキ様、まぐろ様、ハツガ様、レイ様、カサ様。」


 突如聞こえたドアの音。そしてミノリの声。まるで機械のように、イツキの首がゆっくり回った。視線の先にはいつもと変わらない表情のミノリが立っていた。

 終わった。そう思ったのだが……。ミノリはハツガ、レイ、まぐろの順で目配せして最後にイツキを見るとグッと親指を立てた。


「どういう意味だ。」


 と、思わずツッコんでしまった。


「声を出したら起きますよ。」


「!!」


 なら、ミノリさんも声を出さないでください!!

 口を動かして抗議する。

 ミノリは再び親指を立ててきた。

 っていうか、よく順応してるよなこの人。けしかけたのミノリさんじゃないのか?

 イツキが考えていると、ミノリが何かを指しているのに気付いた。

 何が言いたいんだろう。

 ミノリが指さした方向に振り返ってみると、そこには体を起こしてこちらを見るハツガの姿があった。


「……。」


 嫌な汗がどっと噴き出す。


「…………や、やあ……おはようハツガ。」


 イツキの格好、そして自分の格好を見て察したのか。

 ハツガは何も答えずに頬を赤く染めた。


「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 そのときのイツキの絶叫は、城を突き抜ける程の勢いだった。



 ・・・・・・・・・



「……それで?どういうことですの?」


 城の一角にある6畳くらいの部屋に入れられて、イツキは今取り調べを受けていた。

 椅子に座らされ、まわりにはレイ、まぐろ、ハツガ、カサ。そして正面にはヒラメが仁王立ちしている。

 イツキは恐れ多くも発言した。


「いや本当、何も覚えてないんです……。」

「ふざけないで!!!」


 今の怒号はカサだ。

 カサは、わなわなと脚を震えさせてさらにこう言った。


「何も覚えてない……?だったらなんで私はその……は……はだ……ふ、服を着てなかったの!?」

「いえ、僕は何も知りません。」


 イツキは今、非常に危うい立場に立たされていた。

 容疑を否認するも、疑いの眼を絶えず向けられる。


「大丈夫。」

「え?」


 張り詰めた空気のなか、その言葉を発したのはハツガだった。自分も被害を受けているかもしれないのに、イツキを庇ってくれるのだろうか。


「大丈夫みんな。こんなに容疑を否認してる。それならイツキも、ちゃんとしてくれたはず。避に」

「こんなときにそんなジョークいらねぇ!!!」


 ……どうやら庇ってくれたわけじゃないらしい。

 再び空気が重く張り詰めた。刻々と時間だけが過ぎていく。どうにかこの状況を打破したいイツキは、ある賭けにでた。


「で、でも、まだ決まったわけじゃないですよね。」


 視線が集まる。怯みそうになるも、イツキは負けじとこう続けた。


「それなら、みんなが……皆様が覚えていらっしゃる記憶を、照らし合わせてみてはどうでしょう?」

「なるほど……誰か一人でもお前の言動を覚えていれば、お前を吊し上げられるということですわね。」

「お前呼ばわりかよ!っていうか俺を犯人に決めつけてるし!!」

「さあ、それでは早速始めていきましょう。」

「無視かよ……。」


 ヒラメは部屋の外にいるミノリを呼ぶと、適当に紙とペンを用意させた。

 数分後には、別室で待機していた日光とサゴが部屋に入ってきたことにより、昨夜あの場にいた全ての人物が揃った。

 斯くして、霧雨イツキの社会的地位を確立出来るか否かの戦いが始まった。



 ・・・・・・・・・



「それでは、昨夜のことからまとめていきますわよ。」

「じゃあ俺がッス。」


 名乗り出たのはサゴだ。


「サゴ……。」

「大丈夫ッスよイツキさん。すぐに解放してあげるッス!」


 するとサゴは、皆の中心に移動してイツキを指さしこう言った。


「こいつは黒ッス。」

「ってオイ!!!」


 サゴがとったまさかの言動にツッコミをいれるイツキ。


「だってカサを泣かしたじゃないッスか!!我が妹を汚しやがって許さねッス!!!」


「シスコンかお前!っていうか何もしてねぇよ!!それを証明するためにみんなに話を聞くんだ!!いいな!?」

「ッスゥゥ……!!」


 観念したのか、サゴは口を尖らせながら昨夜の事を話しはじめた。


「俺が昨日、晩御飯を食べているときのことッス。確か、イツキさんが酔っぱらっているレイさんを介抱しているのを見たッス!」


 イツキは頷いた。


「ああ、それは本当だ。レイさんの酒癖が悪くて苦労したよ。」

「部屋に寝かせにいくと言って、イツキさんはレイさんに肩を貸して歩いていったッス。」


 と、それを聞いたヒラメが割って入ってきた。


「まぐろさんもそれを手伝っていましたわね。それで、帰ってきたのはイツキだけでしたっけ。」


 ヒラメの言葉に何人かがイツキの方を向く。

 やばい疑惑が深まった。


「いやだから何もしてないって!サゴ、続き!」

「あ、その後は俺、部屋に帰ったからよく分からないッス。で、起きたらこんな事になっていたッス。」

「なるほど……。サゴから得られる情報はそのくらいですわね。」


 ヒラメがペンで、紙に情報を書いていく。

 書き終わったのか、ペンを置いてまわりを見回した。


「さて次は……。」

「私。」


 声を出したのはハツガだった。何故だろう、正直嫌な予感しかしない。


「イツキとまぐろ、酔ってた。」

「え。」


 ハツガの発言にすっとんきょうな声を出すイツキ。

 イツキとまぐろは未成年なのだ、酒を飲むわけがない。イツキが思案していると、日光が口を開く。


「酒に溺れた哀れなる野菜があったろ。あれじゃね?」

「……奈良漬けのことッスか?」

「奈良漬け……?あっ、あのお酒の匂いがしたやつか。」


 酒を使った漬け物、奈良漬け。イツキ達の世界では古くから伝わる珍しい食べ物だ。


「あれで酔う奴もいるって言うし……黒だな。」

「白ですよ!?」


 叫び否定する。ナチュラルに犯人にされかけた。何この人。


「イツキ、酔ってたのは本当なのかしら?」


「うーん……よく覚えてないけど、高揚してなかったわけじゃないと思う。ハツガ、他に酔ってたやつは覚えてるか?」


 ハツガが頷く。


「レイ。イツキ。まぐろ。カサ。日光。私の6人。」

「ハツガも奈良漬け食べたのか。」


 苦笑するイツキ。しかしハツガは首を横に振った。


「お酒飲んだ。」

「なんで!?」

「? 飲めるから。」


 不思議そうな顔をするハツガ。一方のイツキは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。


「……え、ハツガって二十歳以上?」


 こくんと頷くハツガ。


「えええええええ!?見えなかった!!!俺、同い年くらいって勘違いしてたよ!?」

「年上。」

「すみません。ずっとタメ口でした……。」

「構わない。」

「え、でも。」

「今まで通りで構わない。」

「そっか、ありがとうハツガ。」

「でも今日から、今まで通りじゃいけない。あなた。」

「そうだった……。いや誰が旦那だ。」


 頭を抱えてうなだれるイツキだった。












「え?これ続くの?」

こんにちは。そしてはじめまして。

アフロ月です。

萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。

白桃編第二章ですが…………イツキ……あんたってやつは……。

このまま修羅場エンドでいいのではないか?

事実だろうが事実ではなかろうが、女4人と一緒に寝るって……両手に花では済まされないですね。

続く第三章ですが…………この事態が収束すればよいですね。早く本編に戻ってほしいものです。

……まあ、戻すか否か決めるのは私ですが。

さ、最後に!後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。

Thank You!!

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