第二十四章「黒!!黒!!……黒!!」
ユキ「モチー!カムバーーック!!」
深淵の箱庭奪還編
第二十四章「黒!!黒!!……黒!!」
「ごふっ!!!」
壁に打ち付けられたイツキは変な声を出した。
深淵の箱庭長の部屋で、黒いオーラと黒い腕を何度も何度も衝突させるのは、箱庭長であるガウラと、白の国助っ人のモチ。
笑顔で打ち合う二人は怖かった。
「なんなんだよ、これ……。」
やっと出たイツキの言葉がそれだった。
「霧雨!大丈夫か!?」
「日光先生……。」
イツキに駆け寄る日光。
さらに日光の肩には、ワンワンダーラビットが乗っていた。
「イツキ君、大丈夫なのん?」
「……止めろよ……!」
「無理だよ~!あの中に入るなんて。」
「馬鹿言ってんじゃねえ!!お前がいないからガウラさん暴れてるんだろ!?」
「そうだよん。」
「モチさんが死んでしまう可能性だってある!!いけよ!!」
「ストーップ!よく考えてほしいんだけどさ、もしラビちゃんが巻き込まれたらどうすんの?それこそあの娘は止められないよ。」
「なら俺と来い!!俺が守ってやる!!」
「大胆だね、嫌いじゃないよ、むしろ好き❤」
「交渉成立だな……!」
ワンワンダーラビットは、日光の肩から降りてイツキのもとへ駆け寄った。
イツキがワンワンダーラビットを掴むと、狂うガウラへと歩を進める。
「ガウラさん……!!」
「あははははははははははははははは!!!!!」
聞く耳を持たないようだ。
そのすぐに黒いオーラが頬を掠めた。
「……。」
「頭は吹っ飛んでないん?」
「大丈夫だ。」
「いいねいいね~!流石イツキ君!」
さらに歩を進めて、徐々に近付いていく。
「イツキくん、危ないよぉ~。」
ガウラの向かい側にいるモチがそう言った。
「止めますから、少し待ってください。」
モチに返事をして、さらに歩を進める。
イツキはガウラの真横へ来た。
「ワンワンダーラビット。」
「はいさ~。ガウラ!ガウラ!」
「あははははははははは……………………。」
声が消えていく。
オーラも薄くなり、顔も普段の無表情に戻っていく。
「……霧雨イツキ……。」
「はい。おともだちです。」
「あ…………あ……やっ……うっ……うん……あ……り……がとう……。」
興奮しているのか、上手く言葉に出来ないようだったが……きちんとお礼を言ってくれた。
ワンワンダーラビットを渡すと、ぎゅっと握りしめ、ガウラはワンワンダーラビットの手を繋いでぶら下げた。
因みにワンワンダーラビットは、動かなくなっている。
「きてくれたの……うれし……い。」
「当たり前でしょ。貴女の生徒ですから。」
どうやらこれでひと安心……のはずなのだが。
「すぎね……。」
「すぎね……?……って、スギネさんのことですか!?」
「うん。」
「そう言えば、スギネさんはどこなんですか!?一緒に居るはずじゃ……。」
「あそこ。」
ガウラが指をさした方を見やる。
そこには大きなピアノがあった。
「あのなか。」
「………………え?」
「あのなか。」
「確かに閉まってますが……。えっと、屋根だったか……?これ。」
イツキは閉まっていた屋根を上げてみた。
「……あれ!?イツキ君!?」
「スギネさん……何やってるんですか……。」
「あはは……。」
・・・・・・・・・
青の幹部で、ガウラにボロボロにされた八頭はロープで縛っておいた。ちなみに亀甲縛り。
「スギネさん、お怪我はありませんか?」
イツキが尋ねる。
「ああ、心配かけてしまったね。大丈夫だよ。」
「それなら良いのですが……。」
「イツキ君。……キミもやはり知っているんだね。ガウラのあの様子を。」
「すみません。彼女の前ではやめてください。」
「ああ……ごめん。」
当の本人は分かっていないようだ。
だがそれは後でいい。
今は彼女よりもう一人の彼女の方が大事だ。
「モチさん。」
「なぁにぃ~?」
笑顔で言うモチ。だがその笑顔も、今は寒気を感じる。
「説明してください。あの黒い腕は何なんですか?」
「……。」
「したくないんですか?」
「うん。」
「すみません。……今の俺には無理です。ガウラさんに似たものを感じましたから。」
「…………そうだねぇ~……それはユキ君に聞いてねぇ~!」
「また白の国に行けってか。」
「私を送り届けてもらわないとぉ~。」
「……分かりました。」
あしらうモチは諦めて、ユキに聞こう。
そう思い溜め息を吐くイツキだった。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




