表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
深淵の箱庭奪還編
145/607

第二十一章「ナイスホールディング!」

レイ「あああああああ!!働きたくねぇ!!」

 深淵の箱庭奪還編

 第二十一章「ナイスホールディング!」




 その後も散々だった。

 いくつもの罠を潜り抜け、霧雨一行は心身ともに傷付きながらも、最後の罠へとやって来たのだった。


「単純で、これが一番難しい。……って言われたことがある。」


 イツキがそう言った。

 最後の罠は綱渡り。

 距離は25メートル程だ。


「余裕ですね。」

「余裕。」

「簡単だねぇ~。」


 イツキの後方にいた、ミノリ、ハツガ、モチの三人が発言をした。

 ……と思った矢先、イツキの脇を通り過ぎ、走って綱を渡り始めた。


「うおっ!?」

「……何を考えていますの……。」


 相当な無茶だ。

 ……それで無事に渡りきるのもおかしいと思うが……。


「早くしましょうよ。」


 ミノリが煽ってくる。

 ……この状況では不必要だと思う。


「分かってると思うけど、皆はあんな風に渡らなくていいからな。」

「勿論ですわ……。」


 素直に忠告を聞き入れてくれたようだった。…………ヒラメは。


「上等だごらぁ!!」

「おい犬槇いぬまき。」

「瞬きで渡りきってやるよ……!!」

日光ひびかり先生ー?」

「あまりなめないことです!!」

雨燕あまつばめまで?」

「やってやるぜ……!」

「ヒバリさんもかー……。」


 一斉に駆け出す四人。

 綱が千切れなければよいのだが。


「……。」

「「うおおおおお!!!」」

「…………。」

「「どうだぁぁぁ!!!」」

「渡っちゃったよ!!」


 いつもなら、こんな時は落ちるのだが……。


「お前ら凄いな……。」

「あとは霧雨と妃懦莉ひだりだけだな!」


 向こう側に渡った日光が叫んだ。

 確かに、あとはイツキとヒラメの二人だけだった。


「……行こうかヒラメ。鉄棒の豚の丸焼きみたいに渡っていいからな。」

「そ、そんなのやったことありませんわ!」

「え、嘘……ヒラメは鉄棒をやったことないのか?」

「いえ、豚の丸焼きをです。」

「そっちか。じゃあ俺が先に行くから見ててくれ。」


 ヒラメが首肯して、イツキは綱を渡り始めた。

 体が重力で持っていかれないよう、両手両足でしっかりと縄をホールドした。


「ナイスホールディング!」


 日光が褒めて……くれたのだろうが。


「別に嬉しくねぇ。」


 とだけ呟いておいた。

 順調に渡るイツキ。

 あとは後続のヒラメがきちんと渡れていれば……。

 イツキはヒラメを一瞥してみた。


「…………ヒラメ?」

「な、なんですの!?」

「進んでなくね?」

「ば、馬鹿言わないでくださいまし!」


 ……しかしどう見ても、ヒラメは進んでいなかった。

 豚の丸焼きは出来ているのだが……。


「早くしないと、腕がもたなくなるぞ。」

「……ええい、分かりましたわ!!!」


 覚悟を決めたようだ。


「…………はあっ……はあっ……!」

「何でそんなに息が荒れてるんだ!?」

「五月蝿いですわよ!さっさと進みなさい!」

「はいはい……。」


 安定感はある。

 油断さえしなければ大丈夫だ。

 イツキは無事によじ進み、皆が待つ足場へと渡った。


「ふぅ……あとはヒラメだけか……。」

「お嬢様、ファイトです!」


 ミノリの声援にヒラメは応えられるのだろうか。

 ……否、応えなければならない。

 時間が惜しいのだ。

 ここに入り、4時間程経過している。時折、無線を使いまぐろに時間を聞いているので、それは分かるのだ。

 ということは、今は13時過ぎ。

 上では何が起きているのか……。


「はあ……はあ……やりましたわ……!」


 イツキが考えこんでいると、いつの間にかヒラメが渡ってきていた。


「頑張ったな、ヒラメ。」


 ヒラメの肩に手を置くと、ヒラメは笑顔をおくった。


「ふふふ……。」


 ……前言撤回。

 笑っているが良い笑顔ではなかった。

 ともかく、これで罠は全て突破した。

 この先の出口に向かえば深淵の箱庭1階に出られる。


「さて……じゃあ行こうか。」


 イツキの言葉に皆は首肯した。

 約一名、少し寂しげな顔をしていた。ヒバリだ。

 ヒバリは青の幹部。

 今は脱出のために休戦中だったが本来ならイツキ達の敵なのだ。

 ここを出た瞬間、敵同士となる。


「俺は迷わないけどな。」


 犬槇がそう言った。

 見すかされているようだ。


「こいつは俺達の機関を襲撃した。ここでは仕方無かったけど、外に出たら俺は迷わずお前を敵とみなす。」

「構わねぇよ。アタシだって、お前なんかぶっ潰してやるからよ。」


 売り言葉に買い言葉。

 本当にどうにもならないのだろうか。


「……今はいい。進むぞ。」

「……了解。」


 その後すぐに見えた、光が射し込む出口に向かう。

 頑丈そうな扉で、開けるのにイツキ一人では無理そうだった。


「男でやるぞ。」


 日光と犬槇が加勢してくれた。

 思いきり力を込めて、押す。


「ぐっ……!!!」


 押したが駄目だった。

 びくともしない頑丈な扉はとても重く、仕方無いので人数を増やした。

 ヒバリとミノリ、ハツガが加勢するも……やはりびくともしない。


「重っ!!何これ本当に開くの!?」


 疑うも、だからといって開くわけではない。

 まさかこんなところに伏兵がいたとは……。


「押しても駄目なら引いてみな。」

 と呟いて、イツキは扉を引いてみた。取っ手があるからまさかとは思ったが……。

「…………。」

「……イツキ様。」

「……開きません。」

「……イツキ様、横は。」

「……。」


 開いた。

 まさか横だとは思わなかった。


「開いたよ……開いたけど……。」


 さらなる問題が立ちふさがった。


「動くなよ。」


 銃を構えた青の兵達に待ち伏せされていたのだ。

萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

やるときゃやる霧雨一行です。

落とすか、と思いましたがだれそうなのでやめました。

次もお楽しみにー。

Thank You。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ