第十章「深淵の箱庭奪還の巻作戦」
イツキ「イントネーションコーナーなんだけどさ。」
まぐろ「はい。」
イツキ「青のやつらとかやる?」
まぐろ「一応やっておいた方がいいんじゃないですか?」
イツキ「分かった。じゃあ、次からここも青に乗っ取られるのか……。」
まぐろ「は、箱庭は取り戻しましょう!」
深淵の箱庭奪還編
第十章「深淵の箱庭奪還の巻作戦」
「来たか。」
深淵の箱庭。
緑の国傭兵育成機関の名称である。
その深淵の箱庭は、今、青の国が占拠していた。
窓から顔を覗かせ、外を見るのは八頭という男だ。
青の国傭兵育成機関『海底の古城』の幹部組織、青十文字の一人。
キザったらしい男だ。
「きちんと来てくれたようですよ、ガウラさん、スギネさん。」
「……イツキ。」
「イツキ君ならね……。」
部屋の隅で椅子に座らされ、縛られているのはガウラとスギネ。
ガウラは深淵の箱庭長をしている少女で、一言で言うと白い。
髪、服、肌が透き通ったように綺麗なのだ。
一方スギネは、黒の国傭兵育成機関『闇夜の一星』長で、落ち着いた雰囲気の大人の男性といった感じだ。
「流石、反抗組織のリーダーといったところですね。約束通り一人のようだ。」
「…………霧雨イツキは。そんな人。」
ガウラが言うと、八頭は鼻で笑った。
「ふっ……かなりの信頼を寄せているようですね。」
八頭がガウラへと歩み寄る。
「……先程から気になっているのですが、そのぬいぐるみはなんなのですか?」
「ワンワンダーラビット。」
ガウラの手には、長い耳が垂れ下がった兎がいた。
目のまわりが黒く、パンダのようにも見えるが……ラビットということは兎なのだろう。
「片時も放しませんよね。汚いぬいぐるみですが、大切な物なんですか?」
「おともだち。」
「へぇ……ちょっとよく見せてくれません?」
「やだ。」
「いいじゃないですか。」
八頭はワンワンダーラビットを引っ張った。
「やだ。」
握りしめて放そうとしないガウラ。
「やだ。」
「やめてあげなよ。」
言葉で制するスギネ。
「見た目通りまだ小さい女の子なんだ。こんな状況で不安がってるのに、大切な友達を奪うのはやめなよ。」
「……はい?貴方、自分が置かれている状況分かってます?」
「寧ろ分かってないのはお前だよ。親切に教えてやってるんだ。……友達を奪うのはやめなよ。じゃなきゃ……死ぬよ。」
冷めた眼をするスギネ。
ハッタリだろう。だが、その眼は真実を言っているようで……。
八頭は奪うことをやめた。
・・・・・・・・・
「霧雨イツキだな。一人か。」
「一人で来いって言ったのはそっちだろ。」
深淵の箱庭校門。
イツキは二人の見張りに挟まれていた。
イツキは両手を挙げて、無抵抗の意を示した。
「持ち物も確認していい。八頭って話をする。それだけだからな。」
「…………よし、調べろ。」
「はっ!」
見張りの一人が、イツキの身体検査を始めた。
これが女性だったら少しは嬉しいのに。
イツキはそう思いながら、身体検査が終わるのを待っていた。
「武器はどうした?」
「仲間に預けた。」
「……よし、来い。」
見張りの一人がイツキの前に立ち、イツキは中へと入った。
早くこんな立場ではなく、ただの生徒として歩きたいものだ。
……さて、とりあえず中には入った。靴箱を通りすぎ、左へと曲がった。
少し歩くと右と前に分かれ道があり、左は職員室。
そこを右に曲がると長い廊下がある。
「あ……。」
「なんだ。」
「いや、何でもない。」
「それなら黙ってついてこい。」
「……ああ。」
その長い廊下には一年生の教室が連なっている。
あの教室でまぐろと出会い、この廊下で襲撃に遭った。
今でもハッキリと思い出せる。
側の階段を上りながら、イツキは一つ溜め息を吐いた。
……。
……上手くやってるかな、あいつら……。
・・・・・・・・・
「こちら日光。神崎、応答願う。」
『何回確認してるんですか。楽しいのは分かりましたから。』
深淵の箱庭下の下水道では、隠密部隊のハツガ、日光、ヒラメ、ミノリの4人がスタンバイしていた。
「通信機を使うなんて作戦らしいからな。そりゃ胸ドキだぜ。」
『胸ドキってなんですか。そろそろお願いします。』
「了解だ。」
イツキが約束通りに箱庭へ入っている間、見つからないように箱庭に侵入。
八頭を倒すのが隠密部隊の役目だ。
胸ドキな日光を抑制するまぐろ。
イツキが言っていた、ボケキャラを通信部隊に入れないという作戦は早速効いたようだ。
「0900。隠密部隊、出る。」
『了解。命運を祈ります。』
通信が切られる。
ハツガを筆頭に、隠密部隊はマンホールから侵入した。
・・・・・・・・・
「ふぅ……。」
「油断するな神崎。次。」
「あ、はい!」
通信部隊は、まぐろ、犬槇、ツユ、茶々猫の4人だ。
機械に弱い茶々猫や経験不足のまぐろを上手くまとめる犬槇。
流石は長の補佐をしていただけのことはある。
0900(マルキューマルマル)深淵の箱庭奪還の巻作戦が始まった。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
始まりました、深淵の箱庭奪還の巻作戦。
イツキは諦めてヒラメの案を受け入れました。
深淵の箱庭奪還の巻作戦なんて言いにくいだろ。と一蹴したつもりが、ヒラメが夜な夜な耳元で囁き続けた結果です。
ホテルのドアの鍵すら突破するヒラメ、すごい!
最後に後書きまで読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




