第八章「やっとこさ本題」
まぐろ「zzz……」
イツキ「……あれ?今回のコーナーは?え?無いの?」
深淵の箱庭奪還編
第八話「やっとこさ本題」
「じゃあ、本題に入るか。」
白猫の罪、軍資金、晩御飯のメニュー、そしておつまみの話題が終わり、作戦会議が始まった。
ちなみにおつまみは柿の種とピーナッツに決まった。
「大事に食べろよ。おつまみにはブラックカードが使えなかったんだからな。」
イツキが注意を促すと、皆は「はーい」と手を挙げた。
「じゃあ、深淵の箱庭奪還作戦を話し合っていくぞ。俺は今回、思うように動けないだろうから、俺主軸の作戦はやめておいたほうがいいかもな。」
「はい!」
と、高らかに手を挙げたのはヒラメだった。
「お、なんだヒラメ。」
「深淵の箱庭奪還作戦なんて長ったらしい名前は、やめた方がいいですわ!」
「早速内容に関係無いことを言い出したな。」
「イツキ様。私もそう思います。」
「私もです。」
ヒラメに賛同したのは、ミノリと雨燕だった。
「……いやいや、作戦名なんてどうでもいいでしょ。」
「ダメです。霧雨イツキ。貴方は本当にそれでいいと思ってるの?」
「いいと思ってるよ。」
「ええー!?」
食い下がる雨燕。
ここまで雨燕が主張するのは珍しいかもしれない。
「……はぁ……。まあ、モチベーションを高めるにはいいかも。じゃあ雨燕さん。何かいい作戦名はありますか?」
「うーん……。」
唸る雨燕。
「ヒラメとミノリさんも一緒に考えておいてください。こっちはこっちで進めておきます。」
「はいはーい!」
「……はい。雨燕さん。」
「作戦名『SHD』でどうですか!?」
「『深』淵の『箱』庭『奪』還の、ローマ字表記の頭文字ですか。ベタですね。
」
「な、何で分かったんですか!?」
「ベタだからだよ!!予想出来る範囲の作戦名なの!!」
「それなら私の出番ですわ!」
「……はい。ヒラメ。」
「柿の種の割合論争!」
「作戦じゃなくなってる!!大喜利やってるわけじゃないんだからな!?」
「では私ですね。」
「……聞きたくないけど、はい。ミノリさん。」
「7:3で柿の種が多い方に一票!」
「誰が論争しろっつったよ!柿の種多い!せめて6:4!っていうか作戦名は後でいいから!!」
肩で息をするイツキ。
久しぶりのマシンガンツッコミだ。
「……やりますわね。」
「もういいよ……作戦名は後できちんと考えるから、今はやめてくれ……。」
「やりましたわ!」
「はい!それじゃあ具体的な作戦を考えていくぞ!」
「ん。」
次に手を挙げたのは紅だった。
「はい、紅さん。」
「空から攻めたらどうかな?」
「…………はい?」
一応考えた。考えたが、イメージがまったく頭に浮かんでこなかった。
「それは一体どういう内容ですか?」
「文字通りよ。」
「無理です。空を飛ぶ乗り物はありませんし、例えばヘリコプターを使っても、そこまで上には上がれません。すぐにバレます。」
「うーん……。なら、イツキの理想は?」
「俺の理想ですか……。バレないように頭を潰す。ああ、勿論文字通りの意味じゃなく、リーダーを倒すって意味です。さすがに一切バレずにっていうのは難しいでしょうから、次点で短期決戦が好ましいですかね。」
「ふーん……。」
「はい。」
イツキと紅の会話に、手を挙げて割ってはいるのはまぐろだった。
「はい、まぐろ。」
「空がダメなら地下はどうですか?」
「地下?」
「はい。私たちが箱庭を脱出する際に使った下水道からなら、入ることも可能ですよね?」
「……おお……!確かにあそこなら、見つからずに箱庭に接近出来る……!流石だな、まぐろ!お前がボケキャラじゃなくて本当に良かったよ!!」
「えっ?あ、はい……。しかし……皆さんは分かっていないようですけど……。」
イツキは周りを見回した。
確かに皆、首を傾げたり目を合わせたりしている。
「あっ、すまん。深淵の箱庭の周りには、下水道が通ってるんだ。地下だし広いけど、俺なら箱庭の下まで案内出来る 。」
皆が「おおー」と納得しているなか、日光が呟いた。
「下水道……ああ、思い出した。海岐華が言っていたな。お前らを逃がしたって。」
「レイさんが?」
「ああ。お前らを逃がした後すぐ、俺と海岐華は出くわしたんだ。その時に事情も聞いてな。下水道の事も言っていた。」
「私。案内できる。」
「ハツガ。」
天井裏から姿を現したのはハツガ。灰色の髪、口元を隠すスカーフをした盗賊の女性である。
「ハツガに出会ったのも下水道だったよな。……そうか、確かあの時、仕事で深淵の箱庭に向かってたって言ってたな。」
「場所は分かる。侵入する際は、私は必要。」
「ああ。じゃあ、隠密部隊にはハツガを加入させる。」
「うん。……イツキ、私が最近喋らなかった理由、聞きたい?」
「いや、いい。折角会議らしくなっていたのに、ぶち壊しになりそうだから。」
「理由は。」
ハツガは床へと下りた。
「喋るんかい。」
「イツキの為にツッコミの練習をしてた。」
「……そうか。ありがたいけど後にしてくれ。今は大事なとこなんだから。」
「どこがやねん。」
「ツッコミいれる場面じゃねえだろ!しかもどこがやねんって寧ろボケになってるよ!!」
「イツキのせい。」
「なんで!?」
「イツキがツッコミだから。」
「ああ……そう……じゃあ皆に言ってみな。」
「うん。」
ハツガはスタスタと皆の輪に入った。
「…………。」
「「…………。」」
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「な、なんでやねん。」
そこには泣きそうになっているハツガがいた。
「誰かボケてやれよ!あのハツガが泣きそうになってるじゃん!分かったハツガ、俺がツッコミで頑張るから!だからお前はボケでいい!ボケを突っ走れ!!」
「パンティー。」
「来たよ意味不明なボケ!!どうやってつっこめばいいのかさっぱり分からねぇ!!」
「こうやって突っ込む。」
と、ハツガは前に腰を振った。
「そういう突っ込むじゃなくて!って言うか今、女の子が一番やっちゃいけないことやっちゃったよ!!」
「こうですか?」
と、ミノリが見よう見まねで腰を振った。
「アンタも何やってんだよ!組むなよ!二人が組んだら手がつけられないからさ!!もういい、ミノリさんも隠密部隊決定!だからちょっと輪から離れてて!!」
…………夜はまだまだ続きそうだ。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
久々のツッコミ祭。圧倒的にボケキャラが多い霧雨一行で、イツキは苦労しています。
これに快感を覚えてきたら終わりであろう。
後書きまで読んでくださってありがとうございます!
次回もお楽しみに!
Thank You。




