第五章「一先ずはあの村へ」
風花「……んだよ、ここどこだよ!おい出せよ!!」
イツキ「いやキレるなよ。よっ、俺に憑いてきた風花ちゃん。ここはイントネーションコーナー。名前のイントネーションを頼むよ。」
風花「説明的だな。まっ、いいけどよ。俺の名前のイントネーションは、パラボラアンテナの『パラボラ』と同じイントネーションだぜ。」
イツキ「じゃあお前今日からパラボラな。」
パラボラ「はあ!?」
深淵の箱庭奪還編
第五章「一先ずはあの村へ」
「さあ、ここから緑の国だ!皆!もうすぐ箱庭だぜ!!」
「…………。」
「おー。」
乗ってくれたのはまぐろだけだった。
良い子だ。
「顔上げろって。そんなだと、作戦を成功させることなんて出来ないぞ。」
「逆に、霧雨君は気楽そうね。」
「事の重大さが分かってないの?」
「そ、そんなことないですよ、ツユ先生、紅さん。」
馬が引く広い荷台の中で、イツキとは裏腹に不安げな顔するのはツユ先生。
深淵の箱庭教諭のツユは、灰色の髪をした女性。
一行の中では大人しく、最近は2丁拳銃にハマっているらしい。
「今まで以上に失敗は許されない。それなのに……。」
「確かに失敗は出来ません。ただ、だからといって下向いちゃ、上手くいかなくなりますよ。」
イツキが笑顔で言うものだから、ツユはそれ以上何も言えなくなってしまった。
その代わりか、その横にいた紅が言葉を口にした。
「じゃあじゃあ、イツキ君も不安なの?」
「それはないです。今回の作戦は仲間を信じるのみ。ですから。気楽にはいけませんけど、不安じゃないです。」
「……ふーん……。」
それでも心配そうにイツキを見つめるのは、紅。
赤い髪をツインテールに纏めた女性で、酒好きだ。
「ならいいけど。でもそれじゃあ、私達にプレッシャーがかかるよ。だから皆、下向いちゃってるの。」
「……そうですか…………すみません。」
「分かってくれたらいいの。共有するだけでも、負担は減るからね。」
「はい。紅さんも不安ですか?」
「当たり前よ。私達が失敗したら、イツキ君は死ぬんだから。」
「その可能性は高いですね。もっとも、あっちが何をするかが分かりませんから何とも言えませんけど。」
深淵の箱庭に向かう理由。
それは今緑の国を支配している青が、イツキと話がしたいと言ってきたからだ。
指定された場所が深淵の箱庭なのである。
イツキは箱庭所属の生徒であるのを分かって言ってきているとすれば……。
……挑発的な性格をしていると言えるだろう。
「今日は一先ず、夕立の住む村に向かいます。準備をするために。」
「夕立か!マジか夕立に会えんのかよ~……!」
反応したのは親父だった。
夕立というのは、イツキの妹である。
14歳の妹は、しっかりしているがどこか抜けている性格で、イツキの心を安らげてくれる存在だ。
「でもイツキ。」
「なんだよクソ親父。」
「だからクソって言うなよ。お前、夕立との約束を忘れたのか?」
「……約束?」
「忘れてるんだな……。お前、次に帰ってくるときは世界を救って帰ってくるって言ってたぞ。」
「………………あ。」
「あと彼女も連れてくるって。」
「……………………ああ。」
…………忘れていた。
そうだ、夕立と別れる時にそういった約束をした覚えがある。覚えがあるというか思い出した。
イツキは端の方で膝を抱えて座った。
「あいつ……細かいところ気にするからな……どうしよう……。」
「イツキ。私でよければ協力しよう。」
「カサ……。」
イツキに声をかけたのはカサだった。
「そ、その、きょ、きょいびちょ役にゃら、わ、わ、私にみゃかせてぐれ。」
「なんて?」
「だ、だから……!!……きゅう……。」
プシューと煙を出しながら、カサは倒れてしまった。
「うお!?カサ、大丈夫か!?」
カサの顔を見ると、彼女は幸せそうな顔をしていた。
「何がなにやら……。」
苦笑するイツキ。
……夕立の村までは、あと数時間程だろうか。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
着々と進む人物紹介に、着々と進まない挿し絵。
おいおいって感じですね。
読んでくださってありがとうございます!
次も是非お願いします!
Thank You。




