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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
黒い雪原編
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第八十六章「犬と傘と雨が揃っているから、あとは不良だけ」

まぐろ「次の方はこちらです!」


茶々猫「本当にここで魚が食べられるのか?」


イツキ「なんか騙されてる!!えっと、茶々猫さん。ここは名前のイントネーションを教えてもらうというコーナーでして……。」


茶々猫「なに!?……むぅ、まさか妾が騙されるとはのぅ……。仕方無い、ここに来たのも何かの縁。教えてやろう。」


イツキ「お願いします。」


茶々猫「茶々猫の読みは『ちゃちゃねこ』でよいぞ。イントネーションは、『シャム猫』と同じだな。」


イツキ「成程……ありがとうございます。」


茶々猫「今度食わせろよ。」


イツキ「…………はい。」

 黒い雪原編

 第八十六章「犬と傘と雨が揃っているから、あとは不良だけ」




「…………。」

「ガハハ!!……来いよ、なんて滑稽なことを言いおるわ。」

「笑ってられるのも……いや、いい。今は御託を並べる暇はないからな。」


 犬槇いぬまきは接近し、シンゲンに剣を振り下ろした。

 シンゲンは背中にある鞘から抜刀。

 犬槇の剣を止めた。


「刀を使うのか、おっさん。」

「悪いか?」

「別に。」


 犬槇は距離をとった。


「悪いが神崎。出来るだけ時間を稼ぐから、イツキと日光ひびかりさんと南鞠なまりを離れたところに運んでやってくれ。」

「わ、分かりました!」

「おう。聞き分けがよくて助かる。」

「……時間稼ぎだと?」


 シンゲンは顔を歪ませた。


「まさかワシを知らないわけじゃあるまい?」

「いや。知らねぇけど。」

「ガハハ!そういやぁ黒出身じゃないんだったな。それでも知らないたぁ、ワシもまだまだじゃのう。」

「俺はアンタと話をしたいわけじゃない。時間稼ぎに、欲を言えば、アンタを倒せたらなお良い。」

「出来るものならやってみろ。」

「ああ。言われなくてもな!!」



 ・・・・・・・・・



「本当にこっちなのか?」

「…………。」


 街中を駆ける二人の女が居た。


「返事をしてくれないか。」

「…………こっち。」

「本当だな?信じるからな?」

「…………。」


 石畳の地面なので、カツカツと音が鳴る。

 先頭を走るのは、灰色の髪の女性。名はハツガ。

 後ろについていくのは、黒髪の少女。名はカサ。


「それにしても、勝手に入っても大丈夫なのだろうか……?」


 ここは特設フィールド『町』。

 黒の闘技大会決勝が行われている場所である。

 そう、こことはまた別の街中で、犬槇は戦っているのだ。


「もし私達が見つかると、イツキ達が失格になってしまうかもしれないぞ。」

「平気。カメラの死角を通ってる。」

「うーん……。なら良いのか……。」


 本当は何も良くない。のだが、カサの頭脳ではそれが理解出来なかったようだ。


「しかし待ってくれハツガ。疲れてしまった。」

「……30秒。」


 そう言って、ハツガは立ち止まってくれた。

 カサは息を切らして汗を滝のように流していた。


「……。ナイアガラ。」

「む、失礼だな。」


 口を尖らせるカサ。その間も、滝は流れている。


「しかし喉が渇いたな。ハツガ、スカーフから飲み物は出せないのか?」

「自分の汗でも飲んで。」

「で、出来るわけないだろ。」

「量は問題無い。あとは手ですくうだけ。さあ。」

「さあじゃない。どこの世界に自分の汗をごくごくっと飲むメインヒロインがいるのだ。」


 はぁ……、と一つの溜め息を吐くカサ。

 するとハツガは首を傾げた。


「……何を言ってるの?メインヒロインは私。」

「ハツガこそ何を言っているのだ。メインヒロインは私だ。あんなに堂々とイツキと戦いたい宣言をして、メインヒロインになりえないはずがない。」

「イツキと戦うのも、メインヒロインとして十分に有り得ること。……私。」

「私だ。」

「私。」

「私だ!くぅ……こうなったら勝負だ!勝った方がメインヒロインに相応しいということでどうだ!」

「……構わない。」

「うおおおお!!」

「……!!」

「あれー?」


 ピタッと二人の動きが止まった。

 二人以外の声がしたからだ。

 その声の主を確認するために顔を向けると、そこには茶髪の女性に金髪の少女が立っていた。


「白猫嬢!?……と、ヒラメ様!?」


 カサが口にした白猫とヒラメは、同じ霧雨一行の仲間である。

 特にヒラメとは主従関係にある。


「二人して何をやってるのー?観客席で待ってるはずなのに。」


 白猫が歩み寄ってくる。


「しどろもどろ……。」


 カサは慌てた。

 しどろもどろと呟いてしまうほど。

 そう。二人は本当は、ここに居てはいけないのだ。

 決勝まで残れなかったのだから。


「カサ、答えてくださいまし。」


 ヒラメも歩み寄り、訳を聞こうとする。


「う、うむ……。しかしいくらヒラメ様でも、これは答えられないというか……。」

「あら、そうなの?じゃあそれは今じゃなきゃダメなのかしら?」

「はい。イツキのもとに、少し文句を言いにいかなければならないので。」

「…………答えてしまいましたわね。」


 …………しまった。


「つい口車に乗せられて……。」

「乗せた覚えはありませんわよ。これでよく隊長の任に就いてましたわね。」

「面目ない……。」

「まあいいですわ。でもイツキの邪魔はしてはいけませんわよ。一緒に会場の方へ帰りましょう。」

「はあ……すみません。…………あれ?」

「どうしましたの……って、あっ!ハツガは!?」


 忽然と姿を消したハツガ。

 ……どうやら逃げたな。


「仕方無いですわね……。私達では無理ですから、放っておきますわよ。」


 いいのかなぁと思いながら、カサはヒラメや白猫と行動を共にすることにした。

 それを脇目から見られてるとも知らずに。


「……カサ……メインヒロイン候補から脱落……っと。」


 フフフと笑うハツガだった。

萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

本格的に始まった、犬槇VSシンゲン。

どうなるのでしょうかね。

後書きまで読んでくださってありがとうございます。

よければまたお会いしましょう。

Thank You。

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