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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
深淵の箱庭編
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第九章「キャスケット 後に大柄 時々着物」

どうも。

個性をつけるには、様々な方法がありますね。

小説では「話し方」が一番分かりやすいと思います。

…………大変だけどね。

あっ、今回も挿絵入れてます。ハツガ、カラス、レイ、そして新キャラであるおじさんの4人です。可愛がってあげてください。

挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)

 第九章「キャスケット 後に大柄 時々着物」




「お互い様。」

「なっ…………?」


 場所はシンリン村。


「顔と……右手。フリーダム。」


 盗賊の女性ハツガは、口元まで覆い隠すスカーフからダガーナイフを取りだし、黒衣に身を包んだ男カラスに、投げ刺していた。


「ぐっ……あぁ!!!」

「特製の毒。」


 即効性なのだろう。直後、脚が痺れて立っていられず、カラスはその場に崩れた。


「くそっ……!!まさか僕が……あぁぁぁ!!!」


 ハツガの脇腹に刺さっていた氷刀も、いつの間にか溶けて無くなっていた。


「魔力の制御が出来なくなっている。……合ってる?」

「……うるさいっ……なぁ……!!」


 地に伏しながらもハツガを睨み付けるカラス。その目は殺気に満ちていた。

 と、それに気付いたのか、青の小隊がこちらに向かってきていた。


「大丈夫ですか!?」


 駆けながら一人が言った。


 小隊がカラスのもとへ着くと、状況を確認したのか各々の行動を起こした。

 連絡をとる者やカラスの身を案じる者がいる。

 その中でも、ハツガの様子を見た青は怪訝な顔をしていた。


「スカーフの中には不思議がいっぱい……♪今日の不思議はダガーナイフ……♪」


 彼女は唄っていた。

 右手で傷口を押さえながら天を見上げ。


「ふざけやがって……!始末しろ!!この女を!!!早く!!!」


 カラスが叫ぶ。

 気圧されつつも、隊員の一人が了解して剣を引き抜いた……のだが。

 その剣が突如、飛んできた刃物や金属音と共に宙を舞った。


「あ、危なかったッスね……。」

「さすが我が兄だ。」


 小隊はざわつき、今しがた刃物が飛んできた方向を見やる。

 そこには一組の男女がいた。


「外見の特徴が一致する。あの人が、イツキが言っていたハツガさんだろう。」

「じゃあ、あの人とまぐろさんを救出すればいいんッスね。カサ。」

「そ、そそそういうことだ、サゴお兄ちゃん。」


 不敵な笑みを浮かべる二人。内、一人は脚が震えていたが。


「敵か……!?」

「迎撃体制!」


 向かってくる男女を迎え撃つため、小隊は陣形を組んだ。

 しかしそこで、カラスが怒号をあげる。


「馬鹿野郎!!僕を連れて早く逃げろ!!!撤退だ!!」

「え?」

「あれは二重薔薇の奴らだ!!お前達には敵わない相手だ!!」

「わ、分かりましたっ!」


 陣形を崩して撤退しようとする青。

 そんな青を見て、カサとサゴは、


「あれ?逃げるんスか?」

「そのようだ。」


 と、減速しつつ呟いた。


「追う必要は無さそうッスね。」

「イツキも追う必要は無いと言っていた。優先するべきは救出だ。」


 二人は再び足取りの間隔を早めた。

 一方、撤退する青に抱えられたカラスは、憎しみを募らせながらこう言った。


「覚えてろ。次に会ったときが最期だ。」




挿絵(By みてみん)

 緑の国傭兵育成機関「深淵の箱庭」。青の国傭兵育成機関「海底の古城」に襲撃をされた学校である。

 襲撃から一日経った今も、箱庭は戦場と化していた。


「むっ、ようやく見つけたのだよ。」


 深淵の箱庭は、全寮制という特徴を有している。

 校舎の隣に建てられた寮で、第24期生に属する海岐華みぎか レイが部屋を漁っていた。

 漁っていたと言っても、他人の部屋ではなく自分の部屋をだ。

 レイが見つけたのは帽子だ。三角帽子の、魔女が被るような帽子と言えば分かりやすいだろう。


「あとはお金と……。」


 帽子を被ったレイが呟いていると、足元に写真が落ちていることに気付く。レイはそれをひょいと拾いあげた。


「ふふ、写真も持っていこうかね。」


 それは2年前の写真だった。

 写っていたのは、入学したばかりのイツキ。そして、その左隣でピースサインを作っている自分。


「んん?これは……ああ、イツキ君の……。」

「誰もいないねー?」

「何を言ってるのかね?ここにいるではないか!」


 部屋の外で声がしたので、反射的に反応してしまったレイだった。


「……これは失敬。突然ごめんね。」


 目の前に躍り出たレイに驚く、小さな少女。

 身長を見るに10代前半だろうか?だぼっとした洋服で腕に対して袖の長いこと長いこと。金髪にキャスケットを被っており、可愛らしい顔だった。


「どうしたのかね?女の子。こんな所にいては危ないのだよ。」


 口を尖らせるレイ。

 すると、少女はにへへと笑いこう言った。


「お姉さんこそ、こんな所にいたら危ないよ。」

「はっはっはっ!私は大丈夫なのだよ。何故なら私は、この学校のナンバー2だからね!」

「お姉さん強いんだね!」

「お姉さん強いんだよ!」


 鼻高々にふんぞり返るレイは、ふふんと鼻を鳴らした。


「女の子、君の名前は?」

「ヒナだよ!11歳!」

「ヒナちゃんか。レディーに年齢を聞くのは失礼だからね。言ってくれて助かったのだよ。」

「ヒナね、ヒナね、強い人が大好きなんだ!だって弱いと、すぐにやられちゃってさ。」

「うむ、分かるよ。手応えが欲しいよね。でもだからこそ弱い人達を助けるのは、強い人の役目なのだよ。」

「……難しい話はよく分かんないよ。」


 少女ヒナの言葉が少し詰まる。やはり年相応の女の子のようだ。

 レイは謝ると、拳をつくった。


「よし、それじゃあ私に付いてくるといい。無事に外まで送り届けようではないか。」

「ヤだよ!お姉さんには付いていけないんだ!」

「なっ……なんだってー!?」


 と、少しオーバー気味にリアクションをとる。


「そ、それは何故なのだ?」

「お姉さんが今から行くのは地獄か天国じゃん。ヒナね、ヒナね、まだ死ねないもん。」

「当たり前だろう。まだ小さいのに。でも私も死ぬつもりはないのだけど。」

「今までもそうだったんだけどね。エトが皆倒していくんだ。」

「エト?」


 誰のことだろうと首を傾げる。するとヒナがレイの後ろに指をさした。


「ほら、今来たのがエトだよ。本名はエト……。」

「言うな。」


 被せるように言った声は、低い声だった。

 どうやら、エトというのは男の人らしい。

 レイが振り向くと……そこには濃い青の軍服を着た男が立っていた。

 20代後半くらいの、肩幅の広い大柄な男である。


「すまないな。うちのもんが。」

「いえいえ、とても楽しかったです。可愛らしい子ですが……娘さんですか?」


 エトに駆け寄るヒナを見て、レイは聞いた。


「いや違ェよ。血の繋がりは無い。」

「では、保護者ではない?」

「保護者だな。」


 即答だった。


「うちのもんがって言っただろ?……お前とは敵になると思うが。」

「そのようで。」

「戦う気はあるのか?無ければ見逃してほしいんだが……。」

「願ったり叶ったりですよ。にしても何故?」

「ヒナを捜してたからな。どうやら楽しませてくれたようだから、礼として。」

「そうでしたか。私は構いませんよ。」


 ニコニコと笑みを絶やさないレイ。

 そんなレイを見てどう感じたのか分からないが、エトは背を向け、ヒナと共に歩いていった。


「じゃあねお姉さん!次に会うときは、存分に戦おうね!」


 手を振るヒナに対して、手を振り返してあげると、ヒナは屈託の無い笑みを浮かべた。


「はっはっはっ……。」


 見えなくなったのを確認すると、レイは再び自分の部屋へと戻っていった。

 手頃に座れそうな瓦礫に座ると、下を向く。


「ふぅ……。」


 あ、あ、あ……危なかったぁぁぁぁ!!!!!ヤバいヤバいヤバいあれはヤバい!!

 私でも気付けなかった、後ろに立たれたのに気付けなかった!!!腕が落ちたかあの人が強いかどちらかだけど!!!!!

 ヒナちゃんって言ったよなあの娘あの娘も危険だ危険な目をしてたあわわわわ……。

 これは早く脱出しよう。

 残念だが箱庭奪還は諦めるしかないようだ。


「イツキ君~……助けてよぉ~……。」


 沈思黙考していたレイが、口を開き言い終わると同時、轟音が聞こえてくる。

 これは何かが崩れる音だ。


「忙しいなぁ……。一体何が起きているのか。」


 慎重に顔を出してみるレイ。

 ……特別、変わったことは無さそうだが……。

 ……いや待て。何かが聞こえる……これは、刃音……?


「ついてきてるか……?」


 すると一人の男が姿を現した。短い髪に無精髭をたくわえた、いわばおじさんである。しかしレイには、そのおじさんに見覚えがあった。


「日光先生ではないですかー!」


 日光ひびかり 群彰ぐんしょう。深淵の箱庭で教諭をしているおじさんだ。

挿絵(By みてみん)


「ああ?って、海岐華!?お前何処に行ってたんだよ!」

「何処かに行ったのは日光先生でしょ?」

「まあそうだが……おっと。すまない、客人だ。」


 日光を追ってきたと思われる客人が、二人の前に現れる。褐色味のある黒の中に白い斑点が散りばめられた着物を着ている女だ。

 結ってある髪は、綺麗な紺色をしている。


「ここにいましたか、日光群彰。手間取らせないでください。」

「呼ばれたのさ、風に。」

「わあ、格好いい御言葉。」


 レイが感心していると、ばつが悪そうに女が言う。


「ああもう、さっきからなんなのですか!風だの封印した闇が暴れるだの。」

「別に、本当のことだ。この刀だって絶刀・周章狼狽しゅうしょうろうばいと言って、斬れない物は無いと言われている。」

「うがーー!!もういいです!お覚悟を!!」


 刀を構える女。それを見てやれやれといった感じで、周章狼狽を構える日光。


「戦うんですか?手伝いますよ。」


 レイが日光に向けて言うと、日光は頷いた。


雨燕あまつばめ、いきます!!」

「待て。」


 自身を雨燕と称した女を止める、一つの声。

 それはレイには聞き覚えのある声で……。


「なんだよ、別の声がすると思って来てみたら……。」

「あっ、さっきのお姉さんだ!」

「……。」


 …………久々に顔がひきつるレイだった。

こんにちは、そしてはじめまして。

アフロ月です。

萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。

さあ、第九章!

九章までやってきました。

日光先生。そしてエト、ヒナ、雨燕。

新キャラが続々と出てきますが、ついてきてますか?

まだ分からない!という方もいるでしょうし、もう少し読みやすくしたいと思います。

続く第十章では、乱戦が起こりますよ。

最後に!後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう!

Thank You!!

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