第八十二章「幼さを武器に」
まぐろ「今回のイントネーションは……?」
カサ「私だ。」
まぐろ「おひさしぶりです、カサさん!」
カサ「うむ。早速だが、私の名前のイントネーションを発表するぞ。『傘』と同じだ。」
まぐろ「成程……ありがとうございました!」
黒い雪原編
第八十二章「幼さを武器に」
「うう……霧雨先輩いぃぃ……。」
まぐろがイツキに泣きついて、かれこれ10分。
大人の魅力が無かったのがそんなに悔しかったのか、まぐろは落胆していた。
「……ま、まぐろ……。そろそろ……。」
「ダメですぅ……霧雨先輩はそうやっていつもいつも、私から離れていくんですからぁぁ……。たまには甘えてもいいじゃないですかぁぁ
……!!」
「寂しくさせてごめんな……でも、今言われても困るっていうか……。」
「うぅぅー……。」
胸元を掴むまぐろを、力任せに離した。
「大変だな。」
「ああ……。って、風花!?お前何やってんだよ!?」
いつの間にかイツキの真横にいたのは、橙色の髪の少女、風花。
彼女は音もなく忍び寄ってきていた。
「心臓に悪いからやめてくれ……。」
「んなこと言われてもなぁ……俺だって好きで脅かしているわけじゃねえし。音が無いのは仕方無いだろ。」
「まあ……。」
仕方無いというのは、実は彼女は幽霊なのだ。
足音や気配すら消えているので、突然背後に立たれても気づかないし、気づいたとしても本当に驚いてしまう。
「き、霧雨先輩……?どなたと話しているんですか?」
「ああ、気にするなまぐろ。俺以外には見えないんだ。」
「は、はあ……。」
困惑するまぐろだった。
・・・・・・・・・
「……そこのやつ、出てこいよ。」
「あわわわわわ……。」
一方、中央広場では……。
イツキとまぐろを逃がしてしまった日光が、誰かに感付いていた。
陰で怯える少女、名は南鞠。
茶髪をポニーテールに纏めた幼い少女だ。
現在行われている黒の闘技大会に、不本意ながら参加することになったのだが……決勝戦トップスコアを出している日光を見つけるという、とてつもないピンチをむかえていた。
「あいつには勝てないよ……。」
がくがくぶるぶると聞こえてきそうなくらい怯えている南鞠。
そもそも、ここで待っていろと言ったイツキが悪いのだ。
ここまで連れてきたイツキが悪いのだ。
そうだ!
全部イツキが悪いのだ!!
「おい。出てこいよ。」
「ひゃわああぁぁぁぁ!!??」
自己完結させ終わった瞬間に日光が声を出した。
「……女か?」
「お、女ですとも!しかも子ども!」
バレたのなら仕方無い。
そう思い、南鞠は姿を現した。
「こんな可愛い幼女に攻撃なんて、おじさんのアンタにできるの!?」
「出来るが。」
「…………。なんで!?」
「敵だろ?」
「そうだけど……じゃなくて!味方!私もイツキと知り合いなの!」
「霧雨と?」
「そう!折角だし手を組まない?」
「は?」
「ほ、ほら!さっきも1対2なんて卑怯だったじゃん!手を組んだ方が2対2になって有利だと思うよ!」
オーバーか身ぶり手振りで説明する南鞠。
「……確かに少しは面倒じゃなくなるな……。OK。いくぞ、幼女。」
「ガッテンでい!」
……南鞠よ、それでいいのか。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
後書きまで読んでくださってとても嬉しいです。
Thank You。




