第八十一章「夫婦漫才?」
まぐろ「まったく……何故こんなギリギリに投稿するのか……。」
黒い雪原編
第八十一章「夫婦漫才?」
「シャドウウルフ……ほんの少しでいい。俺に力を貸してくれ。金はやる。」
「さ、最後が格好悪くないか!?」
黒の闘技大会決勝。
バトルロイヤルというルールのなか、激闘が繰り広げられていた。
そして、ここでも……。
イツキ&まぐろVS日光。
イツキの挑発に、日光は左腕に宿りしシャドウウルフの力を憑依させると言った。
……普段から中二病全開の日光が、そんなことを出来るはずがない。
シャドウウルフなんてただの妄想で存在しないのだ。
「な……なあ、まぐろ。」
「はい……。」
「日光先生、本当に力を持ってたりしないよな?」
「私より霧雨先輩の方が詳しいと思いますよ……。」
「持ってねぇよ、あの人ただの中二病だもん……。」
その時。
日光の体が揺らいだ。
まさかこれは……。
「…………。」
イツキの真横に、文字通り衝撃が走る。
「……争離……!?」
それもとてつもなく速く、鋭い。
争離は日光の得意とする居合いの中でも、斬撃を飛翔させる唯一の遠距離攻撃。
「うおおおお!?さっきまで、毒のせいで見切れるスピードだったのに……!?」
「驚いている場合じゃないです!!次が来ます!」
「っ!」
日光の体が揺らめく。
来ると認識したときには、もう遅い。
直感や本能で動かなければ当たる。
「……なんだ、動かないのか?」
日光がそう言った。
正しくは、動かないのではなく動けなかったのだ。
「い、いやー……シャドウウルフって凄いっすねー……。」
半ば話をそらすように、イツキはシャドウウルフを褒めてみた。
「フッ……信じるか?」
「はい!毒で動きが制限されていたのに、こんなに動けるようになるんですもん!」
「そうか、そうだろう!HAHAHAHA!」
見事におだてられた。
「この力で、お前を倒すぜ霧雨!!」
……と思ったが、どうやら士気を高めてしまったらしい。
「……何やってるんですか、霧雨先輩。」
「さ、作戦タイム!!」
「いいだろう!」
イツキとまぐろは、日光に背を向けると、声のボリュームを落として作戦会議を始めた。
「霧雨先輩!逆に不利になってきていますよ!?」
「おかしいなぁ……戦いを狂わせたら、日光先生はやる気を無くすと思ったのに……。」
「間違ってますよ、日光先生は戦闘狂みたいなところがありますから。」
「まぐろも賛成してたよな?戦闘狂っていうか、ただ純粋に一番になりたいだけだと思うけど……。」
「何かあるんですかね……。」
「聞いてみるか?」
「まずはこっちに集中しましょう。霧雨先輩の方が日光先生に詳しいはずですけど、明確な弱点はないのですか?」
「現実をつきつけるのはダメだったし……。これと言ってないような…………強いて言えば、女かな?」
「はい?」
「日光先生って、妙に紳士的なところがあるだろ。」
「確かに……私の服ではなく霧雨先輩の服しか斬りませんでしたよね。」
「ああ……それに、前に覗きを企んでいたことがあったからな。」
「なっ……!?女の敵ではないですか!」
「そうだろ!?女の敵だろ!?俺は止めたんだがな……。」
因みに……本当にイツキは止めたのだが、覗きには加担しているので、実質仲間を売っていた。
「許せないです!霧雨先輩、こうなったら私も一肌脱ぎますよ!!」
まぐろが日光に向き直った。
「ほう……作戦会議は終わったのか?」
「……。」
「おい神崎。黙ってないで、何か言ったら……って何してるんだ!?」
まぐろは羽織っていたジャージを脱いだ。
スカートをたくしあげて、絶対領域なるものを晒し始めたのだ。
「日光先生……。」
「おい、神崎。風邪ひくぞ。」
「…………。」
「色仕掛けなら無駄だ。俺は大人のお姉さんの方がいい。」
「うわぁぁぁぁぁん!!」
まぐろは一目散に駆け出した。
「俺は幼さが残っているのも好きだぞまぐろぉぉぉ!!!」
イツキもまぐろを追って駆け出した。
「…………夫婦漫才……?」
日光が呟くも、一人残されたことに気付くのはもう少し後の事だ。
・・・・・・・・・
「まぐろ、どこまで行くんだ!?」
「止めないでくださいぃぃ!!」
「いや止まってくれ!!さすがに疲れてきたから!!」
「うう……。」
まぐろは徐々にスピードを落として、立ち止まってしまった。
すぐに膝を突き、四つん這いになる。
やっと止まってくれた。
その数秒後にイツキはまぐろに追い付いたのだった。
「はぁ……はぁ……何だ、まぐろ。お尻を叩いてほしいのか。」
「まぐろのたたきになってしまいます!じゃなくて、落ち込んでるんです!!」
「いやまあ……人には好みのタイプがあるからさ……今回は仕方無いってことで……。」
「うう……誰かに、誰かに大人の魅力を教えてもらいたいぃ……!!」
「そうか……。とりあえず涙を拭けよ……な?」
「うううぅぅ……ぎりざめぜんばぁぁい……。」
まぐろはイツキに抱きついた。
「鼻水、鼻水ついてる…………まあいいか。」
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