第七十五章「先生と生徒」
まぐろ「はい!では、第二回!あの人のイントネーションは!?のコーナーです!」
イツキ「あ、本当にコーナー化してる……。次はまぐろのイントネーションだったな。」
まぐろ「はい!私、『神崎 まぐろ』のイントネーションです!『神崎』は卵白。まぐろはナルトと同じイントネーションですよ。」
イツキ「成程。じゃあ卵白ナルトでも通じるんだな。」
まぐろ「はい!春雨先輩!」
イツキ「ぐっ……まぐろお前……。」
黒い雪原編
第七十五章「先生と生徒」
「…………お、お久しぶりです、日光先生……。」
精一杯の笑顔で、まぐろはそう言った。
「おう。」
対する日光は無愛想に返した。
「…………あはは、いい天気ですね!」
「戦い日和だな。」
「戦い日和って、なんですか……。」
会話……しているが、恐らく日光は警戒している。
まぐろも警戒している。
日光は、かなりの実力者だ。警戒『しなければならない』存在。
一方のまぐろもそうだ。今までの戦いかたを見ていれば、何か罠を仕掛けていることも安易に考えられる。
警戒『しなければならない』存在ではないかもしれない。だが、彼女は充分に脅威になりつつあるのだ。
「神崎。」
「は、はい!」
ふと苗字を呼ばれて、ドキッとしたまぐろ。
日光は構わずにこう言った。
「全部使え。」
「はい?」
「今まで学んだもん、全部使って戦ってみろ。そして俺を楽しませてくれ。」
「……毎回持っている知識全部使ってますし、必死なんですよ?それに……。」
まぐろはブロードソードを抜いた。
「その言い振り。まるで日光先生が勝つ前提で話してるみたいで、気に入らないです。」
「自信があるからな。」
日光の体が少し揺らいだ。
まぐろの前の地面に傷が付く。
「……え……!?」
またも揺らぐ。
左右の地面にも、傷が付いた。
「なっ……何を……!?」
「言ったら、俺は楽しめるのか?」
「対処法が思いつけば……。」
「争離。居合いで、離れた場所から見えない斬撃を放っている。」
「早っ!?」
容易く教えてくれるとは思わなかった。
……しかし、この技は相当厄介だ。7,8メートルは離れているはずだが、斬撃がこちらまで届くのが早い。一瞬と言っても過言ではないだろう。
そんな争離の対処法……対処法……。
「こ、これ……対処出来るの……?」
ああ、自信が無くなってきた。
この争離を攻略した者は、いないのか?
いるならばどうやって攻略した?
「……神崎。」
「……はい。」
まぐろの頬を、ひとすじの汗が流れた。
「神崎、俺に勝てないようじゃあお前が優勝したい理由も、まだまだ叶えられねぇってことだ。」
「……言いましたっけ、私が優勝したい理由。」
「霧雨の隣で戦いたい。だろ?」
「はい。」
「……フッ。プロブレムしか無いね。争離も攻略出来ないようじゃお前には無理だ!!」
日光の体が揺らいだ。
来る……!!
すると。
キィンという金属音と共に、まぐろのブロードソードが弾け飛んだ。
「っ……!!」
地面へと落ちるブロードソード。
「大人として忠告だ。……まだ、早いんだよ。」
「………………。」
まぐろは焦った。
これは本当に危険だ。
このままでは優勝を逃すことは確実。そうなっては同盟を組むなんて……!
……そうだ……同盟……!
「日光先生!私達は黒と同盟を組むために参加したのが、本来の目的のはずです!それなら争わないで、協力するべきです!」
「……お前、本当に神崎か?」
「……え……?」
「二回戦で見せてくれたあの神崎はどこに行ったんだよ。気迫熱意共に充分だったあの神崎が……そんな事を言うはずが無ェ!!」
「……っ……。」
「焦りか?もう泣きたいか?負けるのがそんなに嫌なのか?」
「ま、負けたくはないです……。」
「だろ?なら、最後まで抗えよ。俺が認めるほど優しいお前なら、最後まで諦めたりしない。」
「…………。」
……ハッとした。
そうか……私は何をやっているのだろう。
逃げようとしていた。
勝てないと思って、どうにか回避しようと考えていた。
…………逃げて、勝てるはずがない。
勝つには……戦うしかないのだ。
「……すみません、日光先生。」
まぐろは、ブロードソードを拾いに向かった。
日光はまぐろを止めない。
楽しむためだ。
そうに違いない。……楽しむ?
「そういえば……日光先生が参加した理由って、なんなんですか?」
「一番になる為だ。それ以外無い。」
「……一番に…………。」
「約束だからな。」
「約束ですか?」
まぐろはブロードソードを拾いあげた。
そして、何度か縦や横に剣を振り、構えた。
「ん?その剣……少し変わったか?……まあいい。大会が終わったら、ゆっくり聞かせてやるよ。」
「はい。…………いきます。」
「来い。」
日光も構えをとった。
得意の居合いの構えだ。
…………いきますと言ったものの、どうする?
揺らぐと争離が飛んでくる。
……何も思いついていないが…………突っ込むか?
いや、突っ込むのは愚策だ。
それなら……。
「……。」
「…………何だ、神崎、来ないのか?」
「…………さあ?」
「迷う時間は、いらねぇ。」
揺らいだ。
しかも……!
「二回……!!!」
そう認識したときには、既に一撃目が体に触れていた。
右の太股が傷付いた。
「いっ……!!」
すぐに左の太股も傷付く。
「ああっ……!!あああ!!」
痛みで立っていられない。
まぐろは思わず倒れこんでしまった。
「ぐっ……あああ!……はぁ……はぁ……!!」
うつ伏せになったまぐろ。
キッと日光を睨みつける。
「嫌らしいこと……しますね……!」
「ただの、争離を見抜けるかのテストだ。……やはり早かったようだがな。」
「そう……ですね……私にはまだ、争離は見抜けなかった……みたいです……。」
息を荒くしながらも、まぐろは答えた。
日光の動きが止まっているのを見ると……追撃はしてこないようだ。
「……追撃は……?」
「……仲間だし、あまり傷付けたくない。ムサシの、勝敗が決まったーみたいな実況が流れねぇかなと思って。」
「優しいんですね。」
「お前程じゃねえさ。」
「あっ……否定はしないんですね……。」
あはは……と、苦笑いをするまぐろ。
「……実況、流れねぇな。仕方無い、首もとに刃を向けさせてもらうぜ。」
日光はまぐろに歩み寄った。
「THE ENDだ。」
あと数歩でまぐろの側に来る。
……その時だった。
プツンと。
何かが途切れるような音がした。
瞬間左腕に痛みが走った。
「亀裂……!?」
左腕の表面に亀裂が入り、そこから血が噴き出した。
「なっ……!?」
慌てて後退する。
一体何が起こったのか……。
「いやー……まさか、引っ掛かってくれるとは思いませんでした。」
まぐろは苦しそうにしながらも笑った。
「……これは……?」
「新兵器です。私の。」
「選抜発表の時、カサが言ってたあれのことか?」
「はい。」
日光とまぐろの間には何かがあった。『何か』から血が滴るのを見ると、どうやら亀裂を入れたのは細い糸のようだ。
「…………!?」
日光の視界が揺れた。
まともに立っていられなくなる。
「なっ……んだ、こりゃ……!?」
「毒です。ですが、命を取る程強力ではないのでご安心を。」
「遠慮無ェな……!!その糸と関係あるのかよ……!!」
「これに毒が塗ってあります。いや本当……どう近付かせるかが苦労しました。」
「フッ……そうか……。剣を振ったのは……これを仕掛けるためか……!!」
日光が両手を突いた。
刀を握りしめたまま、その手を震わせている。
「だが……な……。」
「はい?」
「命を取る程強力じゃないってことは!逆にその程度だって事なんだよなぁ!!!」
日光が刀を振り抜くと、糸は容易く切れてしまった。
「!?動けるんですか!?」
「当たり前だろ……俺は日光群彰だ……!」
思わぬピンチに、動揺を隠せないまぐろ。
……今度こそどうする……?
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




