第七十二章「少女二人」
まぐろ「何だか胸がざわつく……。」
黒い雪原編
第七十二章「少女二人」
『さあ!黒の闘技大会も盛り上がってきたぜ!!』
『いや……もう決勝戦だよ?盛り上がるのが遅くないかい?』
『冗談だぜスギネさん!決勝戦はバトルロイヤルで優勝を決めるんだぜぇ!!』
『ここまで残った8人が、特設フィールドの町で戦う……はずだったけどね。乱入枠を入れた方が楽しいだろうという勝手な提案で、24人になったよね。』
『このこの~!!人が悪いぜスギネさ~ん!!』
『はっはっは、なんだこいつ。それで、今残っているのは何人かな?』
『12人ですぜ!!』
『へぇ、最初の8人は残ってるのかな?』
『いや、2人がやられてるから6人!!つまり、勝ち残りが6人、乱入枠6人ってことですぜ!!!』
『へえ、中々いい数字じゃないか。』
『ですね!!』
『それにしても、今回はやけに説明的だね。』
『お仕事ですからねぇ!!』
『成程。』
・・・・・・・・・
「なんだ、あの二人……。」
霧雨イツキは苦笑した。
特設フィールドの町は広い。動きまわり体力を消費するのは得策ではない。……ので、少し休憩がてら座っている。
「……?」
路地裏で休んでいたイツキだったが、どこからか足音が聞こえた。
「……右。」
呟いて、右へと振り向いてみた。
「はぁ……誰もいない……って、いたぁぁぁぁぁ!!!???」
「……は?」
オーバーリアクションの女の子が、イツキを見て驚いていた。
「何だ、お前。」
「お前とはなんだよぉ!!って、お前はぁぁ!!」
「……お前もお前って言ってるじゃないか。」
「駄目なのかよ!」
「いや……駄目ってわけじゃないけど……。」
「じゃあいいじゃん!」
「ぐっ……マジで何なんだよ……。」
その女の子は背の低い茶髪の女の子で、ポニーテールに纏めていた。
口調通り生意気そうな子だ……が、ここに居るということは実力者なのだろう。
「戦いに来たんだよな?」
イツキが尋ねると、その女の子は顔を歪ませた。
「はぁぁ?そんな訳無いじゃん!」
そんな訳無い……?
「だったら何でこんなところに居るんだ。」
「連れてこられたんだよ!乱入枠だとか言われてさ!」
「……あれ、本当にランダムなんだな。じゃあ終わるまで待ってるしかないんじゃないか?」
「バッカでぇ~!優勝者が決まるまで終わらないじゃん!」
「ああ。だから俺が優勝するからさ、ここはお前の負けってことにしようぜ。」
「優勝?出来るわけないじゃん、お前みたいなやつが。」
…………やはり生意気だった。
「そんなの分からないだろ?」
「分かるよ、霧雨イツキ!お前は優勝出来ない!」
「俺の名前を知ってるのか?」
「結構騒がれてたからね。女装してるって。」
「ぐはっ!!」
忘れていた……いや、忘れようとしていたのかもしれない。
そういえば、一回戦はメイド服を着て戦っていた。
「写真あるけど、欲しい?」
「写真!?いらねぇよ、んなもん!!」
「じゃあ売るか。値が張りそうだし。」
「待て、くれ!!それをくれ!!!」
「いらないんじゃないの?」
「欲しいです!ください!!お願いしますぅ!!」
「……。じゃあさ、負けてよ。」
「はあ!?」
「写真と勝敗が、交換条件。どう?」
……この女……出来る……。
見たところ10代前半だ。
この歳で交渉してくるとは……ああ、世間って怖い。
「…………。」
イツキは俯いた。
「あれ?迷ってるのー?」
迷う?……そんなわけがない。
「迷うわけな「おいおい、言われてるじゃねえか。」
イツキが言葉を発したときだった。誰かが被せるように別の言葉を放った。
「……へ?」
すっとんきょうな声が出てしまった。
「な、なによ?」
「いや……今の声……。」
「声?ここには私とお前しかいないんだから、声なんてしないよ。」
「そのはずだよな……?」
「でも居るんだよ。」
「うわっ!!!」
目の前に突然現れたのは、また別の少女だった。
橙色の髪をした…………。
しかしこの少女、どこかで……。
「……か、風花?」
こんにちは、アフロ月です。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
読んでくださってありがとうございます。
Thank You。




