【プロローグ】
一期一会、なんて言葉がこの世にはある。
元々は茶道の心得を説いたもので、
『どの茶会にも一生涯に一度限りの茶会と心得て、誠意を尽くすべきである』
という意味を持っている。このことから転じて、一生に一度限りのことだと思ってそのことに専念すること、という意味で使われることが多い。
私も、後者の意味でよく使わせてもらっている。
一度起こったことがもう一度起こるとは限らない、なんていうのは転校続きの私にとって日常茶飯事なのである。
それからもう一つ、袖振り合うも多生の縁、ということわざも私は好きだ。
『道行く知らない人と袖が触れ合うことさえ宿世の因縁によること。つまり、この世での運命であるということ』
という意味だ。
何もかも決められているのが前提、というのは少し嫌いだが、何事も運命だ、と思えば諦めがつくし、どこかロマンチックな気分になれる。
この、袖振り合うも多生の縁、と、一期一会、の二つが、私の座右の銘だ。
今を自分で変えられないのならば、完璧にして、やり遂げて、楽しんでしまえ。そう思うのだ。
さてさて。今日もまた、転校初日だ。
今度の学校には、クラスには、どんな人間たちがいるのだろう。
一つ、大きな深呼吸をして私は教室のドアを開けた。
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