お手柄
俺達は冒険者二名を救助すべく、現場に急行することになった。
だが、わずかな距離しか進まないうちに致命的な事態が発覚する。
「さ、さきに、い、いって、おれ!!」
駆け足を始めたら、たちまちアステルが息も絶え絶えになったのだ。
おそらく三〇メートルにも満たないだろう。壊滅的な心肺能力である。
「わ、わたしに、か、かまわず、いくのだ!」
「そうはいかんだろが」
アステルが悲痛な表情で無茶苦茶なことを訴える。
俺は彼女の後ろにまわると、抗議する間も与えず彼女を腕に抱きかかえた。
「クリス、フィーを頼む」
「……はい」
「ちょ、ちょっと!」
抗議するフィーを、無造作に肩に担ぐクリス。
あの格好が楽なのだが、監察官を荷物のように扱えない。
食料や小道具などを収めたリュックサックが邪魔なので、背負うのは難しい。
「お、降ろせ!」
案の定、アステルが膝をばたつかせて抵抗する。
「暴れるな! 体力を消耗する」
主に俺の体力が。ちょっと厳しく叱ると、彼女はギュッと身を縮めた。
「腕が疲れるから、首にしがみついてくれ」
さらに指示すると、彼女はおずおずと首に腕をまわしてきた。
多少楽にはなったが、やっぱり重い。もちろん口には出さないけど。
あとで戦闘が予想されるのだ。
なるべく重労働を避け、体力を温存しておきたいのだが仕方ない。
俺とクリスは、同時に無剣流を発動した。
ちょっと前に、クリスにも無剣流を伝授したが、あっさり習得してしまった。
彼女はひどく驚いていた。こんな剣術スキルの応用など聞いたことがないと。
それは俺も、常々疑問に思っていた点だ。無剣流の着想は誰にでも思いつくはずなのだ。
なのに、噂にも聞いたことがないのが不思議だった。
身動きが制限された俺達に代わり、ベリト君が先頭を走る。
剣術スキルで強化された脚力にも、負けない速さだった。
森の中を疾走しながら、俺は探査で現場の状況を把握する。
冒険者と魔物十一体が接触したようだ。
魔物達は冒険者を包囲し、持久戦に持ち込むつもりのようだ。
時間稼ぎになるのはありがたいが、魔物の連携に厄介さを感じる。
二人の冒険者は、相当にタチの悪い魔物に遭遇したようだ。
それにしても、腑に落ちない。
冒険者達二名のいる場所は魔物の数が少なくて、人気のない狩場だ。
その点を差し引いても、パーティーの人数が少なすぎる。
安全性を考慮すれば、もっと人数を揃えるべきだ。
十一体もの魔物の群れと遭遇することは事故レベルの偶然だが、ありえない話ではないのだ。
もしその戦力差を覆す腕前の持ち主というのなら、人気のない狩場にいる理由が分からない。
釈然としない気持ちを抱えながら、俺達は森を走った。
俺達が現場を臨める位置に到着すると、茂みに隠れて様子をうかがう。
魔物達に囲まれた二人の冒険者が、包囲する魔物達を剣で牽制している。
一本の木を背に戦う冒険者達もそれなりの腕のようだ。
しかし敵の数が多く、壁としては背後の木は頼りない。
ほぼ前後左右から襲い掛かられ、次第に追い詰められている。
名称:双脚獣/旋角科
年齢:二年
種族スキル:嗅覚強化
看破の結果に、俺は慌てて唾で湿らせた指を立てる。
良かった、風下だ。こちらの匂いは届いていない。
なんというか、歪な形をした蜥蜴のような魔物だ。
たくましい二本の脚を備え、翼の名残のような突起物が背中に生えている。
長い首と太い尻尾で前後のバランスを取っているらしい。
地面からの高さは俺の胸元より下、頭から尻尾の先端までは成人男性ぐらいか。
らせん状の角は先端が鋭く、剣の長さぐらいあるだろう。
その動きは俊敏で、額から生えたらせん状の角で攻撃をしている。
冒険者が振るう剣を角で払い、突き立てては後ろに下がるという戦法らしい。
単体ではそれほど強力な魔物には見えないが、やはり連携されると手を焼きそうな感じがする。
ヨシと、小さく呟く。
「最初に俺が潜行する」
作戦をクリスとフィーに伝える。
「タイミングを見計らってフィーは全力射撃だ。狙いは気にせず、乱射してくれ」
フィーが頷くと、クリスに顔を向ける。
「俺が囮となって群れを分断する。包囲が崩れたら、アステルを護衛しながらあの二人と合流だ。後はフィーが防御を引き継いで、こちらに加勢してくれ」
二人が頷くのを確認してから、アステルへと視線を向ける。
「君は――――」
「ま、待ってくれ!?」
アステルは顔面を蒼白にしている。
「ひ、一人で突っ込むのか! それは危険すぎる!」
彼女はどうやら、怖じ気ついてしまったようだ。一般人では無理もないと、同情する。
彼女は冒険者の救助が可能かどうか、俺に確認した。俺も救助自体は困難だとは思わなかった。
ただアステルの安全が保証できないから、明言を避けて反対したのだ。
危険を承知で戦う冒険者と、一般人で雇い主であるアステル。
どちらを優先するか、分かりきったことだったから。
だけど俺の葛藤を見破ったアステルは、救助を依頼した。
しかし実際に魔物を目にして、自分の判断を後悔しているのかもしれない。
「大丈夫だ。魔物はすぐに殲滅する」
だから、断言した。安心させるつもりもあるが、気休めではない。
「この二人が背後にいれば、絶対に負けない」
クリスとフィーを見れば、彼女達はしっかりと頷いてくれた。
「任せてください」「全力でいくよ!」
彼女達の援護があれば、あの程度の敵など、問題ではない。
武術大会までの修行の成果を発揮する、ある意味絶好の機会だ。
アステルは押し黙った。やがてぽつりと呟く。
「…………分かった、そなた達を信頼しよう」
ベリト君が身じろぎした。なんだと思えば、目を丸くしてアステルを見詰めている。
ふたたび戦いの場に目を向けると、戦闘開始の合図を告げる。
「行くぞ!」
剣術と隠蔽を並列起動し、一気に駆ける。
すぐに包囲網の外側に到達し、剣を振るう。
完全な奇襲に、一体の双脚獣の首が跳ぶ。
そのまま双脚獣の群れの中を、剣をひらめかせながら走る。
血煙が上がり、魔物達の絶叫が森に響き渡る。
双脚獣の群れの中を駆け、次々になで斬りにする。
なるべく混乱をかきたてる、無理に致命傷は狙わない。
それでも三体は倒した。群れを駆け抜けると、双脚獣達がこちらに注目していた。
隠蔽が破られたのだ、
スキルで強化された嗅覚で、こちらの存在を知覚されたらしい。
俺は隠蔽を解除すると回避に切り替え、魔物達に向かって吠えた。
新たな敵の出現に、残りの双脚獣は二手に分かれる。
三体が冒険者達を牽制し、五体が俺に襲い掛かる。
彼らの知能が高いようだ、まず一人の敵を潰す算段らしい。
最初の一体がこちらに到達する寸前だった。
火の弾丸が次々と、俺と魔物達目掛けて降り注いできた。
発射速度毎分百発あまり、フィーが発動する魔術スキルの援護射撃だ。
双脚獣達が慌てふためき、火の弾丸を避けようと右往左往する。
彼らは知らないが、火の弾丸は直撃してもちょっと火傷になるぐらいの威力だ。
これを無視して戦える俺にとって、圧倒的に有利な状況となる。顔面への直撃だけは注意する。
恐慌状態の隙を突き、再度の突撃を掛ける。
二つの群れを引き離すように誘導し、連携を分断する。
そこにクリスが突進してきた。
冒険者達を牽制していた双脚獣が、迎撃しようとする。
だが、冒険者とクリスに挟撃されては、敵うはずもない。
一体が冒険者に、二体がクリスに倒される。
冒険者達と合流した後、クリスは彼らから離脱する。
その瞬間、フィーが炎幕を展開する。
オーロラのようにたなびく炎の壁がアステル達を守るように立ちはだかる。
この炎幕が虚仮脅しだとは、初見で気付くのは難しい。
そして五体の双脚獣を引きつけていた俺に、クリスの援護が入る。
援護と言うか、一方的な殺戮だ。
剣術と回避の両スキルを駆使して、次々と双脚獣を屠る。
クリスの鬼気迫る猛攻に、双脚獣は壊乱状態となる。
このままでは、俺の出番が無くなる。
慌てた俺は、剣を振りかざして眼前の双脚獣に立ち向かった。
◆
「無事か、タヂカ!」
戦闘が終わり、炎幕が解除されると、アステルが駆け寄ってきた。
「危ないから、あっちに戻ってくれ」
まだ倒れた双脚獣に止めを刺している最中だったので彼女を制止する。
「怪我は無いか! 血が付いている!!」
「返り血だから」
聞く耳を持たずに取り乱すアステルを、懸命になだめる。
そんな俺達を尻目に、黙々と魔物に止めを刺してまわるクリス。
ちらりと、こちらを見る彼女の目は冷たい。
申し訳なかったが、後始末は彼女に任せる。
俺はアステルの手を握る。だいぶ緊張した様子で、汗まみれだ。
不快感はなかった、それだけ心配されていたのだと直感した。
彼女の手を引っ張り、元凶となった冒険者達の元へと赴いた
なにか、異常な雰囲気になっていた。
二人の冒険者と、ベリト君達が睨みあっている。
ベリト君は剣を鞘に戻していない。なにやら剣呑な感じだ。
「どうしたんだ、ふたりとも」
俺の問いに、冒険者達から視線を外さずにベリト君が答える。
「いえね、この二人が挨拶もなしに逃げようとするもんですから」
「逃げるわけじゃねえよ」
片方の冒険者が吐き捨てた。
握ったアステルの手から、緊張が伝わる。
だが彼女は何も言わず、その赤い瞳を炯々とひからせて冒険者達を見詰める。
「助けてもらっておいて、礼の一言も無いのよ?」
「こっちが頼んだわけじゃねえ」
「なんですって!」
フィーが柳眉を逆立てるが、いまは大した問題じゃない。
「またお前らか」
先日、アステルに絡んでいた二人組だった。
こいつらの冒険者としての腕前は、まあ並だ。
通常なら二人組でこの森に入ったとしても、無用心だが納得は出来る。
「今回はえらい災難だったな」
ただ今回のように、多数の魔物の群れをしのげるほどではない。
俺が気軽に声を掛けると、二人とも不機嫌そうに顔を背ける。
助けられた者の態度とは言えないが、特に気にはしていない。
冒険者の中には面子にこだわり、礼も謝罪もできない連中はごまんといる。
「後始末は俺達がしておくから、今日はもう帰りな」
「あ、ああ、そうさせてもらうぜ」
「ちょっとタツ!」
「いいんだ、フィー」
一度は見捨てたのだし、勝手に助けたといえばその通りだ。
ただ、知らないので仕方はないが、救助を主張したアステルに一言もないのが不愉快ではあった。
二人の冒険者は、足元の大きな背負い袋を担いで、立ち去ろうとした。
その時、なにか違和感を覚えた。
「待て、そなた達」
アステルが二人を呼び止める。
「ずいぶんと大荷物ではないか」
そう、魔物討伐にこれほどの荷物を担いでくるのはおかしいのだ。
ぎくりと足を止める二人組。
「まるで夜逃げではないか」
「き、今日は野営をするつもりだったから」
再びアステルの掌から緊張が伝わる。まるで合図のようだ。
それにしても、野営? 森の中で二人だけで? 自殺行為だ。
アステルの緊張の意味が分かった。こいつらは嘘をついている。
「なるほど、わたしはてっきり、旅支度かと思ったが」
「そんなわけないだろ」
嘘だ、でもどういう意味だ? アステルがぼそりと呟く。
「…………密輸か」
「な、何言っているんだ! ちがうぞ!」
嘘だ、でもなんだ、密輸って?
「モノはなんだ、といっても冒険者の密輸と言えば一つしかないか」
アステルは肩をすくめる。
「霊礫、だな」
彼女の言葉を聞いた途端、二人組は背を向けて逃げ出した。
「ベリトッ!!」
彼女が叫ぶと、ベリト君は剣を投げ捨てた。
タン、と地面を蹴る音が響いた次の瞬間には、逃げる二人に追いついた。
一瞬のことで、何が起きているのか分からなかった。
ベリト君が二人組の間を駆け抜けた、見て取れたのはそれだけだ。
宙に浮かんだ二人組が、仰向けに落下したのはその直後だ。
たぶん、投げ技かなにかだろう。だが、尋常ではない早業だ。
二人組は落下の衝撃と、背負った荷物のせいで立ち上がれないようだ。
「さて、霊礫はどこに隠してある? その背中の荷物か?」
俺の手を離し、倒れた二人に近寄ったアステルが、冷ややかに尋ねる。
「ねえよ、そんなもの!」
「なるほど、定番だと靴底の隠しなんだが」
荷物の中にないと判断したアステルが、ベリト君に指示する。
彼は懐から細い紐を取り出し、手際よく二人を拘束する。
そして無言のまま、暴れる二人を無視して順々に点検する。
「ありました」
二人の靴底をずらすと、水晶のように透明な粒が零れ落ちる。
魔物の心臓付近から採取できる霊礫だ。
アステルが、大きく息を吐いた。まるで喉のつかえを搾り出すように。
「そなた達は、嘘をついた」
そして足を振り上げると、容赦なく冒険者の腹に踵を落す。
「ぐえ!」
「そなた達の愚行のせいで!」
「グフ!?」
アステルは次の犠牲者を踏みにじる。
「タヂカがどれほど苦しんだと思っている!」
わき腹を足蹴にして叫ぶアステル。
「浅ましい欲望に塗れたそなた達でさえ!」
蹴る、蹴る、蹴る、蹴る
「見捨てるのに苦渋の想いだった! タヂカの無念がいかほどであったか!」
「ちょ、ちょっと待て! もういいから! やめろ!」
アステルを後ろから羽交い絞めにして、二人組から引き離す。
アステルが、ひどく興奮している。フーフーと鼻息が荒い。
ああ、そうか。
任務のために、俺は二人組の命を見捨てた。
その重荷を取り除くために、彼女は救助を主張したのだ。
自らの危険をかえりみることさえなく。
彼女が救いたかったのは、この二人の命だけでなく。
俺の心だったのか。
◆
霊礫は、魔物の素材の中でもっとも重要である。
精製すると霊薬になるその物質は、取引に重要な制限が設けられている。
この街の領域で採取された霊礫を売却する場合、必ず冒険者ギルドに持ち込まなくてはならない。
採取したらすぐ売却する必要はない。霊礫には相場があり、いつ売却するかは基本的に自由だ。
だが、この街の外に持ち出すことは禁止されている。
しかし魔物領域から遠い地域ほど、霊礫は高値で取引されているのだ。
あの二人組は、溜め込んだ霊礫を他所で売りさばこうと企んだ。
以前から森の中に少しずつ旅の物資を隠し、他の都市へ移動する準備を整えていた。
そして今日、討伐を装って出立し、森で荷物を回収してから街を脱出するつもりだったようだ。
しかし魔物の群れと遭遇し、さらに監察官と出くわしてしまった。
ここまで運が悪いと、かえって気の毒なぐらいだ。
さて、犯人を引き連れたアステルは、街に意気揚々と凱旋した。
冒険者ギルドに事の詳細を報告して犯人を引き渡すと、ジントスさんとの面会を申し込んだ。
すぐさま執務室に案内された。
それはそうだろう、ギルドの所属員が犯罪の告発を受けたのだ。しかも監察官の手によってだ。
ジントスさんには、頭の痛い問題に違いない。
アステルが、ソファーにふんぞり返っている。
クリスとフィーは一階で待ってもらい、俺とベリト君が両脇に座っている。
正面に座るジントスさんは、初めて見るぐらい神妙な顔をしている。
「このたびは、監察官殿のお手をわずらわせることになってしまい、申し訳ありませんでした」
ジントスさんが頭を下げてびっくりしたが、よく考えれば当然か。
若い娘さんとはいえ、アステルは本部から権限を与えられた監察官なのだ。
この状況に限って言えば立場的には同等か、それ以上なのだろう。
「いえ、監察官として街の治安に貢献するのは当然のこと」
言葉は謙虚だが、実に得意げな顔だ。何と言うか、ちょっと傲慢なほどだ。
確かに金星だし、お手柄だ。だけどもう少し、控え目な態度でもいいと思う。
「協力者達のおかげで、重大な犯罪を未然に摘発できたのは重畳でした」
自慢げな物言いで、こちらに話題を振るアステル。
やめて、ジントスさんの無表情な顔が恐いから。
「そうか…………よくやった」
「は! 恐縮であります!」
俺は背筋をピンと伸ばして返礼する。
ところが、ジントスさんの言葉が、気に食わなかったらしい。
アステルが不機嫌そうにジントスさんを睨む。
「それだけ、ですか?」
「なんのことでしょうか?」
ジントスさんは抑揚のない声で応答する。
キリキリと胃が痛んできた。
「昨日、わたしに言われたこと、覚えておいでか?」
ジントスさんはフンと鼻を鳴らした。
「ああ、修羅場を知らない嬢ちゃんだと見くびっていたのは、あやまるさ」
ああジントスさん、もうよそ行きの態度はやめたのね。
それにしてもアステルさん、よほど根に持っていたのね、そのこと。
「なんのことですか、いったい」
そう思ったのだが、彼女はキョトンとした顔で首を傾げる。
「ぷ…………しつれい」
吹き出したベリト君が、ジントスさんに睨まれて謝罪する。
「タヂカをはじめとして、クリサリス嬢、フィフィア嬢」
アステルが俺達の名前をあげる。
「彼らは新人であるにも関わらず、魔物の群れをわたしの身に一指も触れさせず、これをほぼ殲滅。そのおかげで霊礫の密輸摘発に至ることができました」
彼女は腕を組み、ジントスさんを見据える。
「彼らは、完璧に護衛任務を成し遂げました」
俺とジントスさんは、あんぐりと口をあけた。
ベリト君が口に手を当て、笑いを堪えている。
確か、ジントスさんは俺達が護衛として未熟だとアステルに忠告したと、言っていた。
もしかして、彼女が意地になって森の視察に赴いた理由とは。
護衛としての俺やクリス達の能力を、ジントスさんが疑問視したせい?
くくくと、ジントスさんが忍び笑いをもらす。
「ああ、すまんすまん、確かにこいつの実力を見誤っていた」
「謝罪なら、この者に」
そう言って俺に目線を送るアステル。
「悪かったな、さすがカティアが見込んだだけのことはある」
驚いた、ジントスさんに誉められたのは初めてかもしれない。
「監察官殿。彼を選んだあなたの目は確かでしたな」
再びあらたまった物言いのジントスさんに、アステルは当然とばかりに頷く。
「この街で得た、最高の協力者です」
アステルは、晴れやかな笑みを浮かべた。




