君の名は
続く三日間は、どこかうつろな時間を過ごした。
鎧蟻の死骸の処理、怪我人の治療など、やるべき仕事は無数にある。
なのに遠い出来事の映像を見るように、現実感が乏しいのだ。
報告を受けて指示を出すのも、力仕事も、惰性で行っている感じだ。
どうにか本調子に戻ったのは、陣地の後片付けが終わった頃である。
明日は街に帰還するので、戦勝を祝うことになった。
街から酒や食料を持ち込んでの大宴会だ。
おそらく街では祝い事などできないだろう。
詳しい事情は不明だが、街はいま沈滞した雰囲気らしい。
期待されていた鎧蟻の素材が、ほとんど駄目になったからだ。
街を守った英雄の凱旋とはいかないようだ。
まあその辺の難しい問題はあとのことだ。俺には関係のない話だし。
最後の晩を大いに楽しむことになった。
陣地の中央で大きなかがり火を焚き、その周りで大勢が飲み食い騒いだ。
アレクサンドル、フレデリック、ライオネス、グレンフォード。
彼らは森の中で鎧蟻から逃げ回る様子を脚色して披露し、喝采を浴びていた。
街からギルド職員も駆けつけた。受付の綺麗どころが酌をしてまわっている。
ジントスさんが討伐隊の連中をねぎらい、酒を酌み交わしている。
クリサリスとフィフィアはセレスと額を寄せ合い、話し込んでいる。
誰もが酒に酔い、楽しげに騒いでいる。
そんな周囲とは、ちょっと異なる雰囲気をかもし出している一画がある。
カティアと八高弟達だ。
上座は丸太にどっかりと座り込んだカティア。
ラウロス、ベイル、ラヴィ、ガーブ、グラス、フル、ガレス、マリウス達が居並び、酒を酌み交わしている。
師匠を前にした八高弟達は、実に神妙だった。
カティアが静かに杯を傾けている様子を、緊張した面持ちで見守っている。
そのくせカティアが声を掛けると、とても嬉しそうな顔をするのだ。
「よお、飲んでいるか?」
その兄弟子達のかしこまった様子が微笑ましくて、つい声をかけた。
「ヨシタツか、お前もこっちにきて飲め」
まあ、俺も弟子の端くれだ。ここはひとつ、兄弟子達に酌のひとつでもしてやらねば。
そう思ってマリウスの隣に座ろうとしたら、にこやかな顔で隣を追われた。
ならばとガレスの隣に行けば、むすっとした顔つきでさらに追いやられる。
そうして様々な表情で流されて、とうとうカティアの隣に押し込まれた。
「ちょっと席が高くないか?」
「お前が一番の功労者だ。遠慮するな」
……功労者って。
そんな大したことはしていない。
功績どころか、俺の読み誤りのために何度も危機的な状況に陥った。
下手をすると大きな損害か、将来への禍根を残すことになっただろう。
それを思えば、素直には頷けない。
「背筋を伸ばせ」
暗くなった俺の顔を見て、ラウロスが言った。
「お前が胸を張らねば、他の連中は何を誇ればいいのだ」
そう言われて、辺りを見回した。一緒に同じ戦いを潜りぬけた連中だ。
彼らは生死の境を生き延び、こうして街を守ったのだ。
自分の仕事を評価しないのは、手伝ってくれた彼らも貶めること。
そう思うことにしよう。
「……ところで、ヨシタツのことだが」
静かに酒を含んでいたガーブが呟いた。
「我らの末席に加えても良いのではないか?」
「どういうこった?」
「九番目の高弟に入れようってことさ」
首を傾げるベイルに、ラヴィが答える。
思わず口にしていた酒を噴き出した。
「ふむ、そうじゃのう」「ふひひ」
グラスが顎をさすり、フルが笑う。
ガレスは黙々と酒瓶をあおる。
「いや、ちょっと待て!」
「二つ名をどうするか」
ラウロスが腕を組んで悩むが、ほんと待って。
「別に反対じゃないんですけど」
マリウスが焼肉をほお張りながら喋る。
「九高弟って語呂が悪くないですか」
「言われてみりゃ」
「我らの内の誰かを倒し、成り代わるのじゃ」
グラスが物騒なことをそそのかしやがる。
「試験をやらない?」「全員で一騎打ちとか?」「うむ、こき使われた恨みを」「ひひひ!」
「いや待ってください、ねえ止めてよ!」
カティアに泣きつくが、苦笑して首を振られた。
「あいつら八高弟なんて勝手に粋がっているけど、わたしはあずかり知らん」
「非公認なんだ!?」
自称ファンクラブっぽいノリなのか? なんかグレードが一気に下がった感じだ。
兄弟子達の話し合いはますますヒートアップする。
酒の勢いもあり、誰が一番に手合わせするかなどと紛糾する。
しまいには順番を決めるための試合をやろうなどと盛り上がる。
聞きつけた周囲の連中までも集まり、収拾がつかなくなった。
その騒ぎに紛れ、俺はそっと退散した。
酒宴の賑わいはさらに拍車が掛かる。
肉屋が魔物の解体ショーを始め、その臭気にブーイングが巻き起こる。
フィリップが脱ぎだした。おとなしい人間ほど、悪い酒のヤツが多い。
いつの間にかフレデリックが受付嬢のお姉様方にからかわれている。
セレスを酔い潰そうとして、返り討ちにあった連中が死屍累々と転がっている。
どんちゃん騒ぎがエスカレートするほどに、どこか違和感がつのる。
この光景には、何かが足りない。あるべきピースが欠けている。
考え込むと目の奥が痛んだ。痛みは増し、やがて頭痛まで引き起こす。
「どうかしましたか?」
違和感の正体を探していると、クリサリスに声を掛けられた。
「彼女がいないんだ」
反射的に答えたせいで、するっと納得した。
ああ、そうだ、アイツがいないんだと。
「そう言えば。どこにいったんでしょう?」
クリサリスも訝しげだ。だが、妙な引っかかりを覚える。
「ちょっと探してくるよ」
「そうしてください、女の子一人だと危ないですから」
俺は立ち去ろうとして、ふいに問いかける。
「彼女、なんて名前だ?」
「なにかの冗談ですか?」
クリサリスは呆れたように笑った。
「名前は―――――」
言葉が途切れ、笑顔が強張った。
看破が発動した。
あの娘を中心とした歪みを、スキルが暴く。
意図的に植え付けられた錯覚、操作された認識、欠落した固有名詞
クリサリスが唇をわななかせ、動揺している。
虚構から醒め、精神が不安定になったようだ。
俺は彼女の肩を抱き、耳元にそっとささやいた。
「大丈夫、大丈夫だよ」
何も心配はいらないと告げると、彼女の緊張がすっと解ける。
「戻ったら一緒に飲みましょうね?」
再び幻惑にとらわれたクリサリスは、平然と言葉を続けた。
「ああ、すぐに帰るよ」
俺は陣地から離れ、彼女を探し始めた。
「栄枯盛衰の夢のあとなのです」
鎧蟻の巣の前に、彼女はいた。
「いくらなんでも遠いんだよ! どんだけ歩かせる気だよ!」
俺が抗議すると、彼女は振り返った。
周囲の闇に溶け込み、その表情はうかがえない。
闇を切り取ったように立つ姿は、まるで影法師のようだ。
「来るのが遅いのです!」
「どうして俺が文句を言われるの!?」
もっと近くで待っていればいいじゃないか。
どうせ俺が来るのは分かっていたんだろう?
「聞きたいことがあるんだ」
「なんなのです?」
俺は彼女の隣まで歩き、かつて鎧蟻の巣があった場所を見下ろす。
暗くてよく見えないが、大きな穴が掘り起こされている。
女王達が出た跡なのだろう。修復する生き残りは一匹もいない。
「なんであの時、出てきたんだ」
全ての記憶は先ほどよみがえった。
そしてまず最初に疑問に思ったのは、彼女の不可解な行動の動機だ。
女王との対決のとき、怖気づいた俺を励ますため、彼女は姿を現した。
だが、それならばなぜ、最初から援助してくれなかった。
彼女の能力があれば、もっと事態は簡単に解決したはずなのに。
だけど、そんなことは口には出せない。あれは大人が果たすべき責任だ。
年端もいかぬ少女に手伝わせるなぞもってのほかだ。
それぐらいの矜持は俺にもある。
「あのままだと、ひどい大怪我をしたのです」
天啓がもたらした情報なのだろうか。
わざわざ言及するからには、相当悲惨なことになったはずだ。
「あなたは鎧蟻に敗れ、復讐の女神が決着をつけるはずだったのです」
カティアなら一人で女王を退治しただろうな、間違いなく。
なるほど。彼女の天啓スキルは俺の犠牲を計上していたのか。
「ならどうして?」
天啓スキルが導くままに見捨てなかったのか。
『……さあ?』
「そうか……」
彼女の頭に手を置き、感謝の気持ちをこめてぽんぽんと叩く。
手の位置が低い。本当にちっちゃい女の子だ。
「君の最後の一言で、戦う勇気が出たんだ」
「そうなのですか?」
「よりにもよって君なんぞに軽蔑されるなんて」
俺は天を仰ぐ。月が細い雲に隠れ、わずかに透けている。
「人間として恥ずかしすぎる。それが心底嫌だったから立ち向かえたんだ」
そうでなければ、本当に先ほどの彼女の言葉通りになっていた。
「ありがとうな」
「…………なにかおかしいのです!」
両手を振りかざして怒り出した。
「とっても馬鹿にされている気がするのです!」
「そうか? けっこういいセリフじゃないか」
「絶対にからかっているのです!」
「いや本気なんだが」
「余計に悪いのです!」
まあまあと彼女をなだめ、核心に迫る。
「あとひとつだけ、聞きたいことがあるんだが?」
「……答えてやってもいいのです」
「君の名前は?」
スッと俺の手を振りほどき、彼女はステップを踏みながら離れる。
「好きに呼ぶのです」
薄っぺらな影法師がくるくると回る。
厚みのない影絵が回転し、消えては現われるような錯覚。
「お姉ちゃんでもお前でもチビスケでもハムでも美少女受付嬢でも」
名称:?¶???・?¢
年齢:十六歳
「どんな記号でも問題ないのです」
看破が透視できないのではない。
壊れているのだ、彼女を定義する言霊が。
この世界で名前がどんな意味を持つのか。
個体識別情報の喪失、そんな感じなのか。
「でもそれはちょっと不便だなあ」
何気ない風を装って話しかける。
合理的な解釈はどうでもいい。
こんなのはおかしい。絶対に間違っている。
「なんなら俺が名前をつけようか?」
内側から突き上げる衝動のままに言葉にする。
くるくると回る影法師が、ぴたりと静止する。
笑みの形に歪んだ唇だけが、赤く映えた。
「好きにするのです」
絶望さえも果てた虚無をのぞいた。
これほど自分に無関心な人間を、俺は知らない。
彼女はあっさりと、自分を投げ捨ててしまった。
一片の価値も見出さず、全てを委ねてしまった。
それが檻の鍵を開く条件だと知らずに。
俺の中に潜む固有スキルが、歓喜の咆哮をあげた。
白紙委任状 発動
「君の名前は――――」
だが、俺の言葉は途中でかき消される。
言葉を構成する要素が目標を失い、霧散する。
白紙委任状の観測から彼女を隠し、干渉を遮る物の正体。
認識阻害
これではっきりした。
そう、いくら強力なスキルとはいえ、納得がいかなかった。
一人の存在を完璧にくらますなど、スキルとはいえ非常識すぎる。
生身の人間が名前を意識されず、社会に溶け込むなどありえない。
もしそんな存在がいるとすれば、それは人間ではない。亡霊だ。
認識を阻害するために必要だったのか。
あるいは認識を阻害した結果なのか。
副作用だか仕様だか知らないが。
リスクか代償か判断できないが。
こいつが彼女の名前を壊したのだ。
認識阻害は己の機能を全うするため、彼女の人間性を否定したのだ。
周囲を洗脳し、名前のない彼女を社会に潜ませた。
実際には誰も、彼女という個人を識別していなかったのではないか。
だから名前を問われ、クリサリスは動揺したのではないか。
もはやその影響力は、スキルの範疇を大きく逸脱していた。
だが、それを言うなら。
白紙委任状もまた埒外なスキルだ。
白紙委任状はいま、認識阻害の防御網を食い破ろうとしていた。
白紙委任状の発動条件が、今の俺には分かる。
このケースでは彼女の言葉と自我の放棄が原因だ。
一切の束縛なく、俺に自分自身の全てを委ねた。
全権を無条件で与えられたとき、対象を恣意的に改変する能力。
ゆえに白紙委任状。
認識阻害と白紙委任状
どちらも異常で、かつ唾棄すべき能力だ。
二頭のおぞましい怪物が、互いの存在意義をかけて死闘を繰り広げる。
時間にして、数秒にも満たない時間。
そのわずかな間に幾千幾万の応手が繰り返された。
二匹の蛇が互いの尾を飲み込もうとするような果てのない争い。
やがて人知を超えた戦いが千日手に陥りかけた瞬間
並列起動―看破
殴られたような衝撃が脳髄を襲った。
二つの強大なスキルが俺の肉体を資源に活性化する。
看破が認識阻害を解析、防御網の構造を吟味し、弱点を模索する。
俺の肉体がその負荷に耐え切れず、木っ端微塵に砕けようとする寸前
彼女を覆う漆黒の闇を
幾重にも折り曲がり、無数に分岐した銀線が貫き、
彼女に次々と突き刺さる光景を幻視した。
「君の名前は」
直感的に浮かんだその名を告げる。
「コザクラだ」
偶然、雲に隠れていた月が顔をのぞかせた。
月明かりに照らされた彼女の表情は、ひどくあどけない。
そんな無防備な彼女の顔を見るのは、初めてな気がする。
「…………コザクラ?」
「ああ、そうだ」
ふたたび雲が流れ、彼女の姿を隠す。
だが、そこにいるのはもはや影法師ではない。
確かな血肉を持ち、生命が躍動する少女の影だ。
「コザクラ、コザクラ」
彼女は繰り返し呟く。
いとおしげに、確かめるように、何度も舌に転がし唇で奏でる。
そんな彼女を眺めながら、俺は冷や汗を流した。
名称:コザクラ
年齢:十六歳
スキル:天啓、・ァ倥∈縺ョ吶€・、スキル感知、****、****、……
…………やべえ、なんかえらいことになっている。
ガラクタになっているよ認識阻害のやつ。
難点はあったが、こいつは彼女の安全を保証すると言う意味では完璧だった。
本人の了承を得ずにスキルを壊しちゃったのはまずかったかもしれん。
どうしようかこれ。直らないかな無理だろうな。
彼女を鳥かごから解き放ったが、同時に危険な世の中に放り出してしまった。
短絡的に判断して行動すべきではなかったかも。
天啓、仕事しろよ! こういう危険を彼女に教えてやらんで…………
いま、嫌な想像が頭に浮かんだ。
もしかして彼女の天啓スキルは、この事態を予想していたのでは。
天啓が有益な未来への指針を啓示するスキルなら、誰にとっての利益だ?
もちろん、所持者である彼女だ。
その彼女の不利益をもたらす人間は誰だ?
現状を省みれば、認識阻害を破壊した俺だ。
だから天啓は、鎧蟻の件を解決する手段として俺を指名した。
俺を彼女の前から排除するために。
そして彼女には事態に関与させない。
嘘をついたりはしないだろう。それは天啓の機能と矛盾するからだ。
だが真実を隠すことで誘導することは可能だ。
大局的には、天啓の存在意義とも合致する。
もし彼女が最後の瞬間、天啓を無視して俺を助けなければ………
頭を振って妄想を払う。
まさかね?
「ひどいネーミングセンスなのです!」
「やかましい!!」
いきなりのクレームに、思わず怒鳴り返した。
「なんか安直な臭いがぷんぷんするのです!」
「悪かったな! 嫌なら返せ!」
「ダメなのです! 返さないのです!!」
彼女は両腕で自分を抱きしめた。
「貰ったからにはあたしのものなのです!」
彼女、コザクラの声は涙に湿っていた。
「二度と手離さないのです!!」
宴会は、人外魔境の乱痴気騒ぎになっていた。
まず目に付くのは八高弟の山だ。
彼らの身体が積み重ねられ、その頂上にはカティアがふんぞり返っていた。
実に不機嫌そうな顔で酒をあおっている。
俺は何も見なかった。
ジントスさんが若い冒険者になにやら説教している。
斧を振りまわすと危ないよ?
酔っ払った肉屋の前で、冒険者達が白目を剥いて気絶している。
何があったんだ?
素っ裸のフィリップが下劣な腰つきで踊っている。
あれは翌日、後悔するタイプだ。
フレデリックが受付嬢達に女装させられていた。
お嬢さん達、衣装はわざわざ街から持ってきたの?
ライオネスとグレンフォードは我関せずと黙々と呑んでいる。
本当に友達か、お前ら。
セレスに撃沈された冒険者の数が増えている。
うわばみですか貴女は。
「おそいりゃないれすか」
酔っ払いが肩を組んでやってきた。フィフィアはすでに泥酔状態だ。
「どこにしけこんでいたんですか」
声はしっかりしているが、クリサリスの目もすわっている。
「相手は誰ですかまさか、えーと?」
俺の隣を不審げな顔で見る。
「あれ、ちょっと待って、あれ、え?」
「コザクラ、なのです!」
「…………そうそうコザクラちゃん、ごめんね、なんか度忘れして」
「もうボケたか?」
「ヨシタツさんじゃあるまいし、そんな年じゃありません!」
………………
「ああ、嘘ですから! 冗談ですよ冗談!」
「コリャキュラ?」
「コザクラ、なのです!」
フィフィアが頭がゆらゆら揺れる。
「ろこかれひいらにゃまえら」
「コザクラ、なのです!」
「ひょうにぇこらきゅらにぇ!」
謎の会話が展開する。もういいから寝ろ。
「コザクラ、なのです!」
彼女は宴会場に駆け出す。
目に付く酔っ払いを捕まえては名前を吹聴した。
かちり、かちりと歯車がはまり、回転を始める。
誰もがさも当然のように彼女の名を受けいれる。
認識阻害の影響が解けた隙間に、新たな名が埋め込まれる。
パズルが出来上がるように、人間関係が再構築されていく。
その様子を眺めつつ、あの昔話を思い出す。
子供達が遊んでいると、ひとり人数が多いことに気が付く。
だが、誰がそのひとりなのか分からない。
誰もが顔見知りで、知らない子はいない。
その童子は家に憑き、家を栄えさせ、災いから家を守るという。
かがり火に照らされ、楽しげに駆けまわる黒いおかっぱ頭の少女。
人間になった彼女は、果たしてこれからどんな人生を送るのだろう。
彼女を見守りながら、俺はそんなことを考えた。