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視線の先には・・・

前書きで書くことなんてあんま無いな~

さて、初仕事も早々に終わらせ里の中を散策するでもなくどこをほっつき歩いているかというと、霧の湖と呼ばれているところに来たのだ。

どうしてかと言うと、なんとなくである。

なんとなく、水辺に行けば何かがあると思ったから来たわけだが・・・


「いきなり攻撃されるとは思わなかったなぁ・・・」


只今絶賛回避中である。

何をって? 人の腕ほどの氷柱が雨の如く降り注いでくるのである。

というか、そのサイズならもはや凶器である。


「ご主人様、追っ払ってきてもよろしいですか?」


「いや、なんか面白そうだからとりあえず保留だな」


氷柱の発生源は、上空に居る少女だ。

着ているのはワンピースのような青い服、髪の色も爽やかな青色で大きな青いリボンを頭に付けている。背中には氷の羽?見たいなものが西日に照らされてオレンジ色にキラキラ輝いてとても綺麗だ。

全てが青で統一されており容姿も見目麗しい少女がいきなり氷柱を放ってきたのだ。

こちらは何もしていないというのに・・・


「どうしてこんなことをするんだー?」


ダメ元で話しかけてみると、意外にも返事が返ってきた。


「あんたがアタイの縄張りに勝手に入ってきたからよ!」


はて、ここはあの少女の縄張りだったのか?

見たところ妖精みたいだから自分で言っているだけかもしれないが。いや、おそらくそうなのだろう。

別にどうでもいいが


「勝手に君の縄張りに入ったことは謝るから攻撃しないでくれないかな?」


「しょうがないわねぇ、今のアタイは気分がいいから特別に許してあげるわ」


おぉ、意外にも話が通じた!?

普通の妖精は大小様々ではあるが、基本的に人の話を聞かないからな。 頭も弱いし。

でも彼女は他の妖精と比べても破格の力を持っているみたいだし、そこら辺が起因しているのかな?

そんなことを考えていると、先ほどの妖精少女が降りてきた。

なんだか周囲が急に冷えたな。


「アタイの弾幕をかわすなんてアンタなかなか見所があるわね」


「えっ? ああ、うんありがと」


前述に回避中と語ったが実は自分は一歩も動いていなかった。

なんて事は無い、全てあさっての方向か近くても1,2メートル離れた地点に着弾していたので動く必要が無かっただけだ。


「で、アンタだれよ?」


「俺は暁、こっちはフィリアだ。 つい最近ここに来たんだ」


「ふ~ん、まぁいいわ。 アタイはチルノ、なんかしてあそぼ!」


「なんかって・・・、まぁ特にすることも無いし別にいいけど」


俺がそう答えるとチルノはやったーとはしゃぎ、フワッと浮かんで肩によじ登ってきた。


「わっ、チルノは冷やっこいな」


「当然よ、アタイは氷の妖精だもん!」


氷の妖精・・・まぁ弾幕とやらが氷柱な時点でなんとなく察しはついていたが。


「そうなのか、夏は涼しくていいな」


「ふふん、当然よアタイってやっぱサイキョーね」


誇らしげに言うチルノに苦笑しているとなにやら視線を感じた。


「ん?」


視線を感じた方を振り向くと、何かが木の背に隠れた。

しかし、緑色の何かがぴょこんと出ていてあんまり隠れた意味が無い。

さらには、なんか羽が見えていることから妖精だろうか?

そっちに意識を向けていると急にチルノが大声を上げた。


「あっ、あのカエル! 今度こそ氷付けにしてやるわ!!」


そう言って、俺の肩から離れて行った。

チルノが向かった先には、


「うわっ、でけぇ・・・」


巨大なカエルがいた。

世界最大と言われるゴライアスガエルの比ではない。

あれは大きくても30センチそこそこだがあれは・・・


「大きいですね、軽く60センチはあるんじゃないでしょうか?」


確かに、それくらいはある。 だがあくまで縦の長さがそれくらいであって、数値よりずっと大きく見える。

下手したらチルノ食われるんじゃないだろうか?


「なんか心配だな、やばそうだったら適当に仲裁しておいてくれないか?」


「かしこまりました、ご主人様は?」


「さっきから感じる視線の主に会ってくるよ、害は無さそうだし」


そう言って、フィリアはカエルとバトっているチルノの元へ、俺は木の陰に隠れている妖精?の所へ行き、話しかけてみた。


「こんにちわ」


すると、木の裏の方でビクッと何かが動いた。

そして、おそるおそるといった様子で木陰から姿を現した。


「こ、こんにちわ・・・」


視線の主はやはり妖精だった。

白いブラウスに青色のワンピースを着ていて、首元には黄色のリボンをしている。

緑の髪を左側にサイドテールでまとめており、黄色のリボンを付けていた。

ビクビクとまるで小動物を彷彿とさせる姿はちょっと可愛らしい。

可愛らしいのだが、一点だけどうにも不自然な箇所があった。

外見的には10~12歳くらいで手や足を見る限りスレンダーな印象を受けるのだが、それが逆にその不自然さを際立たせていた。


「(体型に不釣合いなくらい大きいな)」


そう、大きいのである。 どこがって、胸が。

その双丘は内側から服を圧迫しており、自身の存在を強烈に主張している。

小学3,4年くらいの背丈にしてはありえないサイズだ。

しかし、ある特定の性癖を持つ人が見たら間違いなく襲われてしまうだろうな。

ちょっと心配である。

まぁ、だからなんだという話なのだが・・・

取りあえず今は挨拶する方が優先かな。


「俺は暁、よろしく」


そう言って手を差し出す。


「あ、私は大妖精です。 皆からは大ちゃんって呼ばれているのでそう呼んでください」


控えめながらも大ちゃんの小さな手はしっかりと俺の手を握り返してきた。


「大ちゃんね、もしよかったら一緒に遊ばない? っと言っても何をやるかまだ決めてないんだけどね」


あはは~、と困ったように笑う俺に釣られたのか大ちゃんもクスッと笑い、


「うん!」


しっかりと頷いてチルノとフィリアがいる場所まで歩き出した。










「くっそー、次はケチョンケチョンにしてやるー」


「その前にもっと力の使い方を覚えた方がいいですよ」


どうやら、チルノはさっきの大ガマに負けたようで悔しそうに地団太を踏んでいる。

フィリアはそれを呆れつつもどこか楽しそうに見ていた。


「なんだ、やっぱり負けたのか?」


「あっ、ご主人様・・・と、そちらは?」


「私は大妖精です、大ちゃんと呼んでください」


「大ちゃんですね、私はフィリアと申します。 ご主人様のメイドをしている者です」


よろしくお願いします、と頭を下げるフィリアに慌てて習い頭を下げた。


「ふふ、そんなに堅くならなくてもいいですよ」


そう言ってフィリアは大ちゃんの頭を撫でる。


「で、チルノは負けたわけか」


「むきー! 次は絶対負けないんだからー」


そう言うチルノの顔は、所々薄汚れている。

それなりに激しい(笑)闘いだったんだろう。


「チルノ、動かないで」


「え? わぷっ!」


俺はポケットからハンカチを取り出して、チルノの顔を拭いてやる。

拭きやすいようにチルノの後頭部に手をまわし、固定して泥やら深く考えたくない粘液やらを綺麗に拭き取っていく。

よし、綺麗になったな。


「っぷは、なにすんのよ!」


「チルノは女の子だろ? だから、いつも綺麗でいなくちゃな。 それに、その方が俺も嬉しいし」


その言葉の理解が追いつかなかったのか、キョトンとしていたが何かに納得したようにポンと手を打って、


「そっか、わかったわ!」


何が分かったのか分からないが、深く考えないようにしよう。


「ハァ、そういうこと言うから変な虫が集るんですよ~、まったく・・・」


フィリアがなにやらブツブツ言っているが特に気にする必要も無いだろう。

そういう時もあるさ。

そして大ちゃんだが、ほんの少しだけ不機嫌になったような? 気のせいか?

まぁ、それは置いといて、


「さて、そろそろ日も暮れてきたし、晩飯の用意をしないとな」


太陽は既に山の向こう側へと消え、空にはちらほらと星が瞬いていた。


「え~、もう帰っちゃうの?」


「帰っちゃうんですか・・・?」


チルノと大ちゃんがすごく残念そうな顔をする。

参ったな、そんな目をされると弱いんだよな~。


「それでしたら、夕飯をご一緒しませんか?」


「「え!?」」


フィリアの言葉に二人の驚きに満ちた声が重なる。

流石フィリア、俺の言いたい事が分かってるな。


「流石俺のメイドだな、言いたいことがよく分かってる」


そう言って、フィリアの頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めた。

やはり猫だな。


「で、どうだ二人とも?」


「「行く!!」」


またしても二人の声が重なる。


「ククッ、いい返事だな。 それじゃ、帰るか」


「「「はーい」」」


チルノは右の肩によじ登り、大ちゃんは俺の右手と手を繋ぐ。

左側にフィリアが付き従い、楽しそうに会話しながら家路へ着く。

その途中、俺は立ち止まり湖のある方角を見つめる。

しかし、周りが暗く霧が立ち込めているためその先になにがあるのかわからない。

急に立ち止まった俺を不思議そうに見つめる視線が3つあるが構わず俺はその方角を見続ける。


「暁ーどうしたの?」


「いや、なんでもないよ。 行こうか」


そう言って俺は再び歩き出す。 三人もそれ以上追及はせず他愛の無い話をしながら人里へ歩を進めるのだった。
















その頃、とある一室にて...

部屋の中のベッドでは、一人の少女が眠っていた。

その容姿は非常に整っており、どこか暁に似ている少女であった。

その少女の瞳がゆっくりとだが開き、体をゆっくりと起こす。

寝起きの為か、表情はボーっとしているが少女の双眸はある方角を見つめていた。

しかし、少女の視線の先には壁しかない。

だが、少女の瞳は壁ではないもっと別のものに焦点を合わせているようだった。

そして、少女は口を開く。


「・・・・・・おにいさま?」


それだけを呟いて、少女は糸が切れた人形のように横になりまた寝息をたて始めた。









偶然か、必然か、暁とその少女の視線が奇妙にも交わっていたことは誰も知らない・・・

伏線~、近いうちに回収します。


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