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【連載版】犬のように従順な私をお望みのようですが、あなたへの愛は終わりました。  作者: あまNatu


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12/16

巡り合う運命なのだろうか?

 そして課外学習の日になった。

 キアラとシノは少しだけ早く美術館に着いたため、他の生徒および教師を待っていた。


「終わったらスウィーティーに行かない? あそこのケーキ美味しいのよね」


「行ってみたかったところです!」


 スウィーティーとは街で人気のカフェのことだ。

 愛しい人、可愛い人を意味するその名前のとおり、恋人と行くことがある意味ステータスとなっているカフェ。

 もちろん女同士で行ってもおかしくはないが、年頃の女性たちは皆、恋人との甘いひと時をそこで過ごしたいと思うのだ。

 それはもちろん過去のキアラも。

 エドヴァルドに共に行きたいと願ったこともあるが、残念ながら一度も行けたことがない。

 なのでキアラにとってははじめての、流行りのカフェだ。


「とっても楽しみです……!」


「あそこはチョコケーキがオススメだから食べてみて。――あ、でもニキビできちゃうかもね?」


 にやりとシノが揶揄うように笑う。

 昔のキアラなら食べなかっただろうチョコケーキ。

 しかし今はもちろん違う。


「…………ロキ様はニキビがあっても許してくださると思います」


 キアラがむっつりと唇を尖らせつつ言えば、シノのニヤニヤはさらに強まる。


「んっふふー! まあ、うちのお兄なら気にしないと思うけど……。なるほどなるほど。気にするのはお兄なのね?」


「――! シノ!」


 かあっと顔を赤くしたキアラに、シノは頷きながら肩を組んでくる。


「いいじゃない。キアラがお兄を気に入ってくれて嬉しいわ。だってもしお兄とキアラが結婚したら、私たち家族になるのよ? それって最高じゃない?」


「…………なったら……いいけれど……」


 そうなってくれたらキアラとしても嬉しい。

 けれどこればかりはどうなるかわからないので、あまり期待はしないでほしいと思う。

 しかしシノはまるで決定事項のように、両手の指を組んで妄想を走らせた。


「私、キアラとお兄の子どもなら本当に可愛がれる自信あるわ」


「――こっ!?」


 子どもなんてまだ早い。

 だってまだ婚約すらしていないのだ。

 顔を真っ赤にしたキアラを前に、シノは止まることはなかった。


「キアラは女の子男の子どっちがいいの? 私としては女の子だと嬉しいなぁ。可愛い洋服着せてあげたいのよね」


「な、なんの話をして――!?」


 大暴走中のシノを止めようと、キアラがあたふたしたその時だ。

 できれば聞きたくはない声が耳に届いた。


「おい、エドヴァルド! お前の犬がいるぞ。――ストーカーでもされたんじゃないのか?」


「…………」


 ふわふわした気分は一瞬で落ちた。

 キアラもシノも真顔になると、ゆっくりと声のした方を見る。

 そこには例に漏れず、エドヴァルドとその友人がいた。

 彼らもまたキアラを見つけ、指差してくる。


「本当だ! いっつもエドヴァルドの行く先にいるよな」


「気持ち悪ーい」


 くすくすと蔑む笑い声が響く。

 どうしていつもこうなるのだろうかと、キアラはため息をこぼす。

 ここにエドヴァルドたちがくるのはわかっていた。

 けれどあの事件があったから、キアラに近づいてこないかと思ったのに。

 またひどい言葉を使われるかと、キアラはシノを背に庇う。

 すると今度はシノがキアラを背に庇った。


「しつっこいわね。同じ場所なのは仕方ないとして、お互い関わらなければいいんじゃないの? なに、そういうことすら考えつかないわけ?」


「お前たちが俺らの行くところにいるんだろ!?」


 エドヴァルドの友人の一人が噛み付いてくる。

 この間キアラの腕を強く掴んだ人だ。

 小柄で見た目も女の子のように可愛いが、生意気なのが顔に出ている。

 まるで小型犬のようにキャンキャン言う男は、眉を吊り上げながらシノの前に立つ。


「結局まだエドヴァルドのこと好きなんだろ? なら今から土下座しろよ。土下座。そうしたらエドヴァルドも考えてやってもいいってさ。なあ?」


 小柄な男子がエドヴァルドに同意を求めた。

 しかしエドヴァルドは黙ってキアラを見つめるだけで、うんともすんとも言わない。

 それがシノの逆鱗に触れたようだ。

 彼女は力一杯一歩踏み込むと、小柄な男子と真正面から睨み合う。


「キアラがあいつのこと好きなんてありえないわ! 今はうちのお兄といい感じなんだから! 邪魔しないでよね」


「は! ほらやっぱり。エドヴァルド、この犬浮気してたんだぜ。そうじゃなきゃ、こんなに早く他の相手なんてできるわけない!」


 小柄な男子の言葉に、シノが大声を出す。


「ふざっけんな! キアラはちゃんとそいつを愛してたわよ! 一途なキアラの気持ちにあぐらかいてたのはそっちでしょう!?」


 負けじと小柄な男子も声を荒げる。


「犬は犬らしくご主人様の言うこと聞いてればいいんだよ! それを生意気に反抗なんてしやがって!」


 さすがに周りの目がある。

 ヒートアップしすぎている気がして、キアラが止めようと一歩前に出た時だ。

 シノが噛み締めていた唇を離し、小柄な男子に言い放った。


「犬犬って……っ! あんたたちの方がエドヴァルドの犬じゃない! キャンキャン吠えて……! いいえ、犬に失礼だわ。あんたたちなんて、金魚のフンよ! このクソ野郎!」

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― 新着の感想 ―
それだー!まさしく金魚のフンだよ! エドヴァルドはお友達(笑)の前では黙り継続なのもクソダサいわ。 人に言わせて自分は言わないとか、恥ずかしい照れてるとかじゃないですね。自分が悪者になりたくないだけの…
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