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電書第2巻 2/25コミックシーモア配信《連載再開しました》ドアマット幼女は屋根裏部屋から虐待を叫ぶ  作者: はなまる


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第35話 ドアマット幼女、初めての雪遊び

気がついたら、10万文字を超えていました。

10万文字突破記念SSだと思って読んで頂きたいです!

 皆さま、こんにちは。


 エルシャ・グリーンウッド六歳です。


 雪が止みました。なんと四日も降り続いていたのです。昨夜遅くに止んで、ヘンリーが言うには、今日は午後から晴れるそうです。


 四日の間に、捻挫した足はずいぶんと良くなりました。トーマスおじ様がくれた湿布が効いています。走らなければもう、痛くありません。


 そして本日、雪遊びデビューです!


 冬の遊びを、おばあ様にたくさん教えてもらったのです。


 まずはスノーマンですかね!


 実はわたし、スノーマンは絵本でしか見たことがないのです。昨年は母様の具合がよくありませんでしたし、その前のことはよく覚えていません。


 おばあ様の部屋の前で作ります。窓から見ていてくれるのです。ふふ! おばあ様、起き上がって手を振ってくれています。


 おばあ様は風邪を引く前より、少し元気な気がします。これもニンジン飴のおかげですかね! 


 えーっと、まずは雪玉を作って、コロコロ転がすんですよね? ヘンリーがわたしの周りを駆け回って、はしゃいでいます。


「うんしょ、うんしょ」


 おお、すぐに大きくなりますね。


 雪はたくさんありますし、どうせならとびきり大きなスノーマンを作りたいです。


 ヘンリー、そこ、地面まで掘らないで下さい! 雪が汚れちゃいます!


 わたしとヘンリーだけなので、『わうっ、わふ』と犬語で話します。


「わふっ!」


 ヘンリーは『わかった! あっちを掘るね!』と言って、少し離れた場所を夢中で掘りはじめました。地獄を掘り当てないで下さいね。


「うんしょ、うんしょ」


 スノーマンを作るには、雪玉が三つ必要です。『大、中、小』と違う大きさのものを三つ。頭、身体……足?


「ふう、三つ出来ました。あとは重ねて……あっ!」


 やってしまいました……。きれいな雪を求めて雪玉を転がしているうちに、三つの雪玉がそれぞれが遠く離れた場所になってしまいました。


「困りました。これを持ち上げて運ぶのは、わたしにはちょっと……」


 一応、挑戦してみましたが、一番小さい頭パーツの雪玉でやっとでした。何とか、一番大きな雪玉の近くまで運びます。


「これ……重ねるの……無理……」


 肩で息をしていると、ベックさんが手押し車を持って、駆けつけてくれました。


「エルシャお嬢様。助っ人が必要ですかな?」


「失敗です……欲張って、大きいのを作りすぎました」


「はは! みんな通る道です。わしも子供の頃は毎年、同じ失敗をしましたよ」


 雪国あるあるなんですね。わたしだけじゃなくて良かった!


 そこからは、ベックさんと共同作業です。手押し車で身体パーツの雪玉を運び、三つ重ねて、スコップで形を整えます。


 ヘンリーは……。遠くの方で雪煙が上がっていますね。雪に鼻先を突っ込んでは、撒き散らしているようです。楽しそうで何よりです。


「あとは、顔を作って、帽子とマフラーですね!」


 帽子はベックさんのお古を、マフラーはソフィアさんが貸してくれました。手にはキッチンミトンを使います。


「顔はどうしますか?」


「目は炭で、鼻は松ぼっくり。口は小枝ではどうですか?」


「いいですね! 炭を持ってきます。松ぼっくりは……」


「ヘンリーに頼みましょうか……ヘンリー!」


 呼ぶと、全身を雪まみれにしたヘンリーが、すぐに駆けて来ました。


「松ぼっくりを探して来てもらえますか?」


 そう言ってから、『わう』と犬語でお願いします。


 ヘンリーはすぐに『わふっ!』と吠えて走って行きました。“任せて!”と言っていました。


「おやおや。お嬢様はすっかりヘンリーと仲良しですな!」


 ベックさんは、わたしたちのやり取りを笑って見ていましたが、ヘンリーが松ぼっくりを咥えて戻って来たのを見て驚いていました。


 でも、たぶん大丈夫だと思います。普通の大人は犬と幼女が会話するなんて、言ったところで信じませんから。


 顔を作って、小石をボタンにしたら完成です。ニコニコ顔の、とても立派なスノーマンです!


 しばらく惚れ惚れと眺めていると、ソフィアさんが呼びに来ました。


「そろそろ中に入って下さいな。お茶の時間ですよ」


「はーい!」


 お茶は、おばあ様のお部屋で頂きました。冷えた手が急にあたたまって、かゆいです。


「エルシャ、手を引っ掻いてはダメよ」


 そう言って、保湿の軟膏を塗ってくれました。わたしが港町で買って来た、貝細工の軟膏入れです。ちゃんと使ってくれてるの、とても嬉しい。


 午後からは、ヘンリーとソリ遊びをしようと思っていたのですが、お昼寝から起きたら太陽が出ていて、雪はすっかり溶けていました。


 ヘンリーの天気予報が大当たりで、スノーマンも崩れてしまいました。しょんぼりです。


「また、降りますよ。今年は雪深くなりそうですから」


 ソフィアさんの口調はため息混じりです。どうやら雪が降るのを楽しみにしているのは、わたしとヘンリーだけみたい。


 そうですよね……。幼女と犬は浮かれていれば良いですが、大人はそうはいきません。


 キッチンは冷え込みますし、雪掻きも大変ですから。わたしはソフィアさん用に、脛当てを編むことにしました。おばあ様に教えてもらって、かぎ針編みをマスターしたのです。


 ベックさんには帽子、おばあ様には肩掛けも編みます。


「クゥーン」


「ヘンリーは、モコモコなので必要ないでしょう?」


「わう……」


 欲しいそうです。仕方ないですね! ケープでも編みましょうか?


「わうっ!」


 尻尾をブンブン振っています。汚したらダメですよ!



 石炭ストーブの上で、ヤカンがシュンシュンと音を立てています。辺境の季節は静かに進んでゆきます。



読んで頂きありがとうございます。


物語は、ちょうど折り返したあたりです。楽しく読んで頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
雪深い場所での生活が、エルシャの目を通して語られていて素敵でした。私は、温かさでかゆくなった手に軟膏を塗る様子に激しく共感しました。 かぎ針編みもできるなんて、エルシャ器用ですね。
折り返したあたりですかぁアイロン掛けておきますね。折り目は伸ばさないと
 雪遊びではしゃいだり、ローザさんが手を振る様子を嬉しそうにみたり、ベックさんやヘンリー(犬)と協力してスノーマンを仕上げたり、お世話になってる方々へ渡すための編み物したりと、日常を満喫してますね、エ…
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