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電書第2巻 2/25コミックシーモア配信《連載再開しました》ドアマット幼女は屋根裏部屋から虐待を叫ぶ  作者: はなまる


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第20話 ドアマット幼女、再び港町へ

本日は二本投稿しています。未読の方は19話へ戻ってお読み下さい。目印はダグラスさん視点です( ´∀`)


連載再開できて、ご機嫌な作者です。明日も複数回投稿しちゃいますよ!




 皆さま、こんにちは。


 エルシャ・グリーンウッド六歳です。


 やっつけた誘拐組織の残党を連れて、港町へと戻ることになりました。もちろん悪者は縄でぐるぐる巻きです。


 肩を撃たれた御者さんの代わりに、乗客のおじい様が御者席に座ってくれています。御者さんはかすり傷ですが、銃で撃たれた傷は浅くても熱が出たりするそうですよ。大事にして下さいね。


「いやぁ、隊長さんはさすがだね。まさかあんなに手際よく片づけちまうとはなぁ!」


「そうねぇ。お嬢ちゃんにも驚いたわ。調味料をあんな風に使うなんて」


 旅芸人のご夫婦が言いました。お二人は、路上や広場で楽器を演奏しながら旅をしているそうです。旦那さんがユージンさん、奥さまがアリーシャさんです。


「肝が冷えました。馬車で大人しくしていて欲しかったですよ」


 ため息をつきながら、ダグラスさんが言いました。


「二人とも大活躍だったよ。俺の命の恩人だ。ほんと……生きた心地がしなかった……」


 わかります。御者さんはまだ顔色が悪いです。


「エルシャ……もう、ああいうのは勘弁してくれ。心臓が止まるかと思った。せめて相談して欲しい」


 チリパウダー、事前に準備していたことですかね? 何か起きそう……と思ったこと。確かに相談するべきでした。


「はい……。ごめんなさい」


 叱られたけれど、しょんぼりにはなりませんでした。だって心配してくれたの、わかります。相談したら止められた気がするけど、二人で作戦を練ったりも出来たかも知れない。


 それって……なんだか、『仲間』とか、……か、か、か、『家族』……みたいだと思いませんか?


 ニヤニヤが止まらないわたしを、ダグラスさんがジロリと睨みました。わたしにはそれすらも、『めっ!』ってされたみたいに感じました。


「ふふっ!」


 つい、声に出して笑ってしまったわたしに、ダグラスさんがコツンとゲンコツを落としました。全然痛くないやつです。


「まぁ、今回は……正直、助かった。だが、あまり心配させるな」


「はぁーい……」


『は』と『い』の間を伸ばすお返事は、相手があまり怒っていないと確信した時に使うのです。エミリーが時々使っていました。ようやくわたしも、使える日が来ましたよ!


 そうしてニヤニヤなわたしと襲撃犯人を乗せて、馬車は港町へと戻ったのです。



   * * *



 港町の警ら隊本部に犯人たちを引き渡して、馬車に乗っている全員が取り調べ官の聞き取りがありました。王都の警ら隊で言うと、エバンスさんです。


 こちらの取り調べ官の方は、かなりお年を召したおじい様でした。白いおヒゲがキュートです。


「ほほう。その時、嬢ちゃんはどこに居たんじゃ?」


 わたしの話に、合いの手などを入れてくれます。終始、和やかな取り調べでした。


 聞き取りが終わっても、ダグラスさんはまだ帰れないので、わたしは先に港の近くの宿屋へ向かうことになりました。今日はきっと、またお泊まりですね。


 宿屋では夕食の用意をしてくれていました。部屋ではなくて、食堂で食べました。悪い人はみんな逮捕されたので、もう警戒しなくて良いのです。


 夕食は、うさぎのシチューとスコッチエッグです。スコッチエッグは子供が大好きなメニューです。わたしのために作ってくれたと聞いて、なんだかくすぐったいです。


 テーブルに、わたしのためのお皿が並んでいるのは、とても幸せな光景です。もちろん、ほっぺが落ちるほど美味しかったです。


 食後のお茶を飲んでいると、窓の外から楽器の音が聞こえて来ました。見ると、警ら隊の本部で別れた旅芸人のお二人でした。どうやら、路上で演奏会をはじめるようです。


 ユージンさんの小さな蛇腹楽器が、軽快なリズムを奏ではじめました。『コンサーティナー』というそうです。ボタンを押すたびに違う音が出る、不思議な楽器です。


 アリーシャさんが三日月型のタンブリンを、腰や肩でシャンと打ち鳴らして回ります。スカートが翻ってお花のように広がります。


 あの蛇腹楽器すごいです……! あんなに小さいのに、たくさんの人で演奏しているみたい。明るい曲調なのに、どこか哀愁を感じさせる、深い音色です。


 わっ、アリーシャさん、足のかかとでタンブリンを打ちました!


 大胆なポーズなのに少しも下品じゃないです。ゆるい三つ編みにした髪がポンポンと揺れています。


 アリーシャさんはタンブリンを高く投げ上げると、ポケットから銀色の小さなハーモニカを取り出しました。


 落ちて来たタンブリンを受け取り、ダンッと地面を踏み鳴らします。ハーモニカと蛇腹楽器の相性は抜群で、連弾のように互いの旋律を引き立てています。


 少しずつ集まっていた聴衆から歓声が上がり、アリーシャさんの足を踏み鳴らす音に合わせて手拍子がはじまりました。


 わたしの目も耳も釘付けです! 素晴らしいパフォーマンスです! いつの間にかわたしも、窓から身を乗り出して手拍子を打っていました。


 すると後ろから、ふっと抱き上げられました。


「エルシャ、そんなに身を乗り出したら危ない」


 ダグラスさんです。戻って来たの、全然気が付きませんでした。


「お帰りなさい……。でも、あんまり素敵な演奏だったから……」


 つい、言い訳してしまいました。


「ただいま。……ああ、確かに一見の価値があるな」


 そうでしょう、そうでしょうと頷いてしまいました。ダグラスさんも視線を釘付けにして、うんうんと頷いています。


「見に行くか?」

「はい!」


 時間にしたらほんの15分ほどの、短い演奏会でした。わたしはダグラスさんの腕の中という一等席で、最後まで楽しい時間を過ごしたのです。


 こうして港町の、“平和な夜”が更けてゆきました。





読んで頂きありがとうございます。連載再開を待って下さった皆さま、感無量でございます。

ご新規の皆さま、どうかよろしくお願いします。ブクマや☆での評価・応援、お待ちしております(*゜∀゜*)


本作はコミックシーモア様他で電子書籍として配信しております。コミックシーモア様には、なかなか出来の良い特典SSがありますのでお勧めです。活動報告にリンクが貼ってありますのでポチッとしちゃって下さいませ。そちらでもレビューと☆評価を頂けますとありがたいです。

明日も複数回投稿しますので、ぜひ覗いてみて下さいませ!


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― 新着の感想 ―
連載再開ありがとうございます、嬉しいです。 家族、を言い淀むとか、めっ、コツンとか喜ぶエルシャがかわいい。はぁ〜い、のあとには、八分音符付いてそうですね。 スコッチエッグの夕食に、わくわくするほどの…
 銃での襲撃の恐怖も、ダメ家族によるトラウマも一旦忘れさせてくれそうなほどに巧みなタンブリン等による演奏会と、それに心踊らせるエルシャの描写、よかったです。
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