12/25電書配信開始! 御礼クリスマスSS 後編
『屋根裏のエルシャ第1巻 ドアマット幼女は屋根裏部屋から虐待を叫ぶ』がついに本日、12/25日に、コミックシーモアさんで先行配信開始です!
しつこくてすみません笑
サンタさんの代理配達もそろそろ終盤です。真夜中を過ぎたあたりから、起きている子供はほとんどいなくなり、プレゼントの袋はどんどん軽くなりました。
鈴をシャンシャンするのも、ちびっ子サンタを名乗るのも、なかなか楽しかったんですけどね。
途中で、グリーンウッド邸の屋根を……子供トナカイさんは通り過ぎました。エミリーは今夜も、あの屋敷で眠っているはずなのに。
「トナカイさん、悪い子はプレゼントをもらえないって、本当ですか?」
エミリーは、確かにわたしにとって良い義姉ではありませんでした。なので、エミリーにちびっ子サンタとして、プレゼントを渡して来いと言われたら、それは嫌なのですが……。
だからと言って、エミリーがプレゼントをもらえなくて“ざまぁみろ”とは思いたくない……気がするのです。
子供トナカイさんは、わたしの質問に“プルル!”と元気よく鼻を鳴らして答えてくれましたが、なんて言っているのか、さっぱりわかりませんでした。
自分でも、よくわかりませんね。六歳の幼女には難しいです。
ソリは軽快に空を駆け、ちびっ子サンタはスルスルと煙突を降り、最後のプレゼントを双子の赤ちゃんの枕元に置きました。
「メリークリスマス、良い夢を」
終わってみれば、あっという間でした。どの子にとってもクリスマスは特別の日で、サンタさんは特別な人なのです。それは、わたしにとっても、です。
たとえ、ギックリ腰であろうとも……。
* * *
「ただいまー!」
子供トナカイさんの引くソリが、ふわりと詰所の中庭へと降り立ちます。すぐにピートくんが飛び出して来ました。
「エルシャ、おかえり! 遅いから心配したよ」
「大仕事でした! サンタさんは?」
「うん、なんか大きな馬車が来て、担架で運ばれて行ったよ。里の病院に入院するみたい」
「ギックリ腰、はやく治るといいですね」
それにしてもサンタの里……気になりますね!
「あと、エルシャに渡してって、コレ預かった」
ポンと渡されたのは、二つのプレゼントの箱と、クリスマスカードでした。
ちびっ子サンタ エルシャ・グリーンウッド殿
プレゼントの配達、ご苦労じゃったな。引き受けてくれて助かったぞい! 嬢ちゃんのことは、サンタの里の名誉住人に推薦しておくからの! いつか遊びに来るといい。
それと、去年は嬢ちゃんにプレゼントを届けられなくて、すまんかった。何度も枕元にプレゼントを置いたんじゃが……。
そのことがずっと気になっていてな……。今年は一番最初に届けようと張り切ったら、屋根から落ちてしもうたわい。
だが、煙突から覗いた今年の嬢ちゃんは、笑っておったからの。それだけは良かったと、思うとるよ。
ではな! また来年! メリークリスマス!
去年のプレゼントがどこに消えたのか。わかった気がします。エミリーは去年、山のようにプレゼントを抱えていたのです。サンタさんが言葉を濁したのは、全ての子供の味方だからでしょうね。わたしは、怒るより呆れてしまいました。
手紙を読み終わると、途端に眠くなりました。赤いサンタ服の上着がスーッと消えて、クリスマスイブの魔法が、終わろうとしています。
子供トナカイさんが、カッと足を踏み鳴らしました。
「プルルルル!」
大きく鼻を鳴らして、空へと駆け上がります。シャンシャンと鈴の音が響き、どんどん眠くなります。
「さよ……なら、トナカイさん。また来年……」
* * *
ピートくんにおんぶしてもらって、背中でうつらうつらしながら仮眠室へと向かいます。
すると……ベッドの脇でゴソゴソとしている赤い服の人が……。
「あれ? サンタの爺さんは帰ったし……もしかして、今度こそ泥棒?!」
「声が大きい」
低い声が落ちて、わたしの眠気が半分飛びました。
「……エルシャは?」
「えっ、隊長?」
赤い上着の男性が立ち上がります。サンタさんより細身で足が長い……!
「エルシャは僕の背中に……。あっ、起きちゃった?」
「今夜はクリスマスイブだ。……届け物がある」
ダグラスさんです。夜勤明けなのに、わたしのためにサンタさんになってくれたんですね!
「こっそり、枕元に置こうと思っていたが……仕方ないな。エルシャ、メリークリスマス」
革手袋を外して、ちょっと恭しく渡してくれました。
「隊長、ズルいなぁ。サンタ服でも格好いいとか、反則でしょう!」
「格好良くはないだろう……見つかってしまったし……」
そう言いながら、ダグラスさんが赤い帽子をかぶり直して、照れ臭そうに咳払いをひとつしました。
……なんとなく、わたしも照れてしまいます。
わたしは三つのプレゼントを抱えて、ありがとうと呟きました。
遠くから、かすかに鈴の音が聞こえます。今夜のことを話したら、ダグラスさんは信じてくれるでしょうか。
わたしの特別なクリスマスイブは、こうして更けていきました。
もう、目を開いていられません。これにて、ちびっ子サンタのクリスマス、終了です……。
おしまい
クリスマスSS、最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
翌朝エルシャが目を覚ましたら、きっとたくさんのプレゼントが置かれていると思います。皆さんも、素敵なクリスマスをお過ごし下さいませ。……作者は夜勤明けで、おそらく爆睡しています……。メリークリスマス!
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しつこくてすみません笑




