表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電書12/25コミックシーモア配信開始《連載版》ドアマット幼女は屋根裏部屋から虐待を叫ぶ  作者: はなまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/27

12/25電書配信開始! 御礼クリスマスSS 中編

『屋根裏のエルシャ第1巻 ドアマット幼女は屋根裏部屋から虐待を叫ぶ』がついに明日、12/25日に、コミックシーモアさんで先行配信開始です!・:*+.\(( °ω° ))/.:+


というわけで、浮かれた作者が『クリスマスSS』書きました! いつものエルシャよりも、ファンタジー盛り盛り、ちょっとコメディ寄りでお届けです。前後編で終わらなかったので三本立てです笑


皆さんに、素敵なクリスマスが訪れますように。


電子書籍の予約ページへのリンクは、活動報告に貼っておきますね。作者の名前はなまるをポチッとする→活動報告をポチッとして下さいませ!

 皆さま、メリークリスマス!


 ちびっ子サンタこと、エルシャ・グリーンウッド、六歳です。


 ギックリ腰のサンタさんの代理で、プレゼントの配達をすることになりました。不思議サンタ服を着て、準備万端です。

 あとは、配達の注意点などを聞きながら、子供トナカイさんの到着を待つばかりです。



   * * *


「プレゼントは、そこの袋の中じゃ。子供の枕元で袋に手を入れれば、その子のプレゼントが出てくるぞい」


「袋も不思議仕様なんですねぇ」


「すごいじゃろう!」


 サンタさんが、得意気にそっくり返りました。あっ、そんな体勢は……。


「いっ! うううっ! 痛たたた……」


「ほら、爺さん。無理しないで寝てなよ」


 ピートくんが背中に手を添えてあげて、ようやく大人しく横になってくれました。


「サンタさん。わたしは何軒くらい、配達すればいいんですか?」


「この近辺は回ってもらいたいのう」


「えっ、それでいいんですか? 世界中の子供たちが待っていますよ?」


「うむ……。それはじゃな……」


 もしかして……サンタさん、何人もいるんですか? 気になりますね……。


「わしは、分身の魔法が使えるんじゃよ!」


「喋っちゃったよ!」

「いいんですか!?」


 サンタクロースの秘密を知ったわたしたちは……ピートくんと顔を見合わせて、ゴクリと生つばを呑み込みました。


「それは……推理小説の読み過ぎじゃな」


 バレましたか。最近、わたしとピートくんはミステリーにハマっているのです。


「王都の西区で、300人くらいかのう。まあ、兄弟姉妹もおるから、軒数でいうとその半分くらいじゃ……おお、来たようじゃ!」


 窓の外から、シャンシャンと鈴の音が聞こえて来ました。


 小さなソリが詰所の中庭へ滑り込んできます。まだ角も生えていない、あどけない顔の子供トナカイさんです。首元の鈴が、元気よく揺れています。


「本当に小さい……かわいい……!」


「やっぱり鼻は赤いんだ……。なんか僕、感動しちゃうなー」


 トナカイさんは「どうも!」と言わんばかりに、前あしをカッと地面で鳴らしています。クールです!


「嬢ちゃん、ソリに乗りなさい」


「はい!」


 わたしは赤い上着のベルトをキュッと留めました。星も凍えるような冴え冴えとした夜ですが、不思議と全然寒くありません。


「トナカイさん、よろしくお願いします!」


「配達の家にはトナカイが案内する。あとは嬢ちゃんが煙突から入れば子供の枕元へ直通じゃ。では、頼んだぞ!」


「はい! 行ってきます!」


 子供トナカイさんが、ぐっと前足に力を込め、空へと駆け上がりました。詰所がぐんぐんと遠ざかり、街並みが明かりの滲む夜景へと変わります。


「わぁーっ! きれいです! 街全体が、クリスマスツリーみたい!」


 王都の上空は、星も冴え冴えと凍る寒さなのでしょう。トナカイさんとわたしの息が、白く流れていきます。でも全然寒くありません。



    * * *


 最初のソリの行き先は、詰所からほど近い、かわいらしい三角屋根のお家でした。


 子供トナカイさんが、ふわりと屋根に降り立ちます。


「ここですか?」


「プルル!」


 トナカイさんが、得意気に鼻を鳴らしました。


 煙突からするすると降りていくと――そこには、眠っていない子供がいました。


「……まだかなぁ」


 小さな男の子が、ベッドで毛布にくるまって、ぱっちり目を開けています。枕元には、クッキーとホットミルク。それから、サンタさんへのカードが置いてあります。


『サンタさんに、どうしても会いたいです』


 わ、わかります。その気持ち、よくわかります……!


 でも、これではプレゼントが置けません。困りましたね。


「こんばんは、メリークリスマス」


「わあっ、びっくりしたー! だぁれ?」


 男の子が、飛び起きました。声が大きいです……。あと、わたしもびっくりしました。


「しーっ。ちびっ子サンタです」


「おじいさんサンタはどうしたの?」


「おじいさんサンタさんは、起きてる子のところには来られないんですよ。寝たふりくらいはしてくれないと、わたしも帰ります」


「えっ、……じゃあ、ね、寝たふりする……!」


 男の子は、慌てて毛布を頭までかぶりました。毛布の中で、バタバタと落ち着かない足が動いています。

 わたしは上着のポケットから、サンタさんに渡された鈴を取り出しました。


 もこもこ動いている毛布の上で、シャンシャンと振ると、静かな寝息が聞こえてきました。


 袋に手を入れて、プレゼントを取り出します。


「メリークリスマス、良い夢を。来年はもっと上手に寝たふりして下さいね!」


 そっと枕元にプレゼントを置いて、わたしは煙突を上がりました。


 そのあとも、起きている子供は意外に多くて鈴の出番が続きました。

 子守唄の歌詞の多くが『早く寝て、お願い寝て……』という内容なのは、こういうことなんですね。


 サンタさんの事情と、大人の事情の両方がわかってしまったクリスマスイブ……エルシャ六歳、複雑な気分です。


 でも、地道に『サンタさんは、起きている子供のところには来られない説』を伝えたので、今年以降は子供たちの間で拡散されるはずです。


「さて、次のお家の子供は、寝ていてくれますかね?」


「プルル!」


 子供トナカイさんは「知らんがな」といった顔で、鼻を鳴らしました。クールです。


 煙突を降りると……。



   * * *


「サンタクロースなんて、いるわけないだろう? 世界中の子供に、ひと晩でどうやってプレゼントを配るんだよ」


 お兄ちゃんが、腕組みをして言っています。妹さんらしき女の子が、口を尖らせています。


「去年だってプレゼントくれた! 今年もサンタさんは来てくれるもん!」


「ふん。僕はだまされないぞ。きっと何か、カラクリがあるはずだ!」


 うーん、これはなかなか手ごわいですね。


「こんばんは、メリークリスマス」


 とりあえず挨拶から入りましょう。


「煙突から来た! サンタ……さん?」


 妹さんが目をキラキラさせて言いました。


「違うよ! サンタクロースはおじいさんだ! おまえは誰だ!」


「ちびっ子サンタですよ」


「サンタのおじいさん、どうしたの?」


「サンタさん、屋根から落ちてギックリ腰です。わたしは代理を頼まれたんです」


「サンタさん、かわいそう……」


「湿布を貼って寝ていますから、三日くらいで歩けるようになりますよ」


 ハドソン先生の湿布は効きますからね。


「さて、お兄さんに、残念なお知らせがあります」


「な、なに?」


「サンタクロースは信じない子供のところには、来られない決まりがあります。来年はお兄さんのところには、来ないかも知れませんね」


「お兄ちゃん、かわいそう……」


 妹さんが、気の毒そうに言いました。


「し、信じる! 信じるよ! サンタさんはいるに決まってる! ギックリ腰、お大事にって伝えて!」


「わかりました。それでは、二人ともベッドに入って下さい」


「はい!」

「はーい!」


 二人はパタパタと、ふたつ並んだ子供用ベッドに入って目を閉じました。サンタさんの鈴をシャンシャンと鳴らします。

 袋から取り出したプレゼントをふたつ、それぞれの枕元の靴下の中に入れます。……よく伸びる靴下ですね。


「メリークリスマス、良い夢を」


 やり切った気持ちで煙突を上がると、トナカイさんがポリポリとニンジンを食べていました。

 サンタさんへの差し入れで、クッキーとホットミルクは定番ですが、時々トナカイさんへニンジンを置いてくれる家もあるのです。


 わたしもポケットからクッキーを取り出して、屋根の上で並んで食べました。ホットミルクはさすがに持って帰れないので、ひとくちだけ頂いています。上着のポケットは、クッキーでパンパンに膨らんでいます。


「さて、トナカイさん。行きましょうか!」


 月がそろそろ真上に差しかかります。仕事を終わらせなければいけません。


「プルル!」


 子供トナカイさんは、鼻を鳴らして空へと駆け上がりました。最高にクールです。


 口元に、小さなニンジンの欠片が付いていますけど。



つづく


読んで頂きありがとうございます。すみません(つД`)ノ前後編で終わらなかったです。三本立ての最後は明日(12/25)お昼頃に投稿しますね。


電子書籍でも応援して下さると、作者のモチベが上がります笑


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
異世界的に考えると、サンタさんの行動はいろいろと納得のいく部分が多いですね。 サンタへの作者様の視点がとても好きです。
 眠りに促す鈴、不眠症とかにも効きそうですが、見張りに使用しての盗難などが怖いので、クリスマス期間限定の方が良さそうですね。  そして、夜景の綺麗さに対し無邪気に目を輝かせたり、運ぶ合間にクッキーな…
あぁ……子どもサンタさん、来てくれとは言わん。一目でいいから見たい。神絵師さんの降臨はまだですか?(他人任せ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ