12/25電書配信開始! 御礼クリスマスSS 中編
『屋根裏のエルシャ第1巻 ドアマット幼女は屋根裏部屋から虐待を叫ぶ』がついに明日、12/25日に、コミックシーモアさんで先行配信開始です!・:*+.\(( °ω° ))/.:+
というわけで、浮かれた作者が『クリスマスSS』書きました! いつものエルシャよりも、ファンタジー盛り盛り、ちょっとコメディ寄りでお届けです。前後編で終わらなかったので三本立てです笑
皆さんに、素敵なクリスマスが訪れますように。
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皆さま、メリークリスマス!
ちびっ子サンタこと、エルシャ・グリーンウッド、六歳です。
ギックリ腰のサンタさんの代理で、プレゼントの配達をすることになりました。不思議サンタ服を着て、準備万端です。
あとは、配達の注意点などを聞きながら、子供トナカイさんの到着を待つばかりです。
* * *
「プレゼントは、そこの袋の中じゃ。子供の枕元で袋に手を入れれば、その子のプレゼントが出てくるぞい」
「袋も不思議仕様なんですねぇ」
「すごいじゃろう!」
サンタさんが、得意気にそっくり返りました。あっ、そんな体勢は……。
「いっ! うううっ! 痛たたた……」
「ほら、爺さん。無理しないで寝てなよ」
ピートくんが背中に手を添えてあげて、ようやく大人しく横になってくれました。
「サンタさん。わたしは何軒くらい、配達すればいいんですか?」
「この近辺は回ってもらいたいのう」
「えっ、それでいいんですか? 世界中の子供たちが待っていますよ?」
「うむ……。それはじゃな……」
もしかして……サンタさん、何人もいるんですか? 気になりますね……。
「わしは、分身の魔法が使えるんじゃよ!」
「喋っちゃったよ!」
「いいんですか!?」
サンタクロースの秘密を知ったわたしたちは……ピートくんと顔を見合わせて、ゴクリと生つばを呑み込みました。
「それは……推理小説の読み過ぎじゃな」
バレましたか。最近、わたしとピートくんはミステリーにハマっているのです。
「王都の西区で、300人くらいかのう。まあ、兄弟姉妹もおるから、軒数でいうとその半分くらいじゃ……おお、来たようじゃ!」
窓の外から、シャンシャンと鈴の音が聞こえて来ました。
小さなソリが詰所の中庭へ滑り込んできます。まだ角も生えていない、あどけない顔の子供トナカイさんです。首元の鈴が、元気よく揺れています。
「本当に小さい……かわいい……!」
「やっぱり鼻は赤いんだ……。なんか僕、感動しちゃうなー」
トナカイさんは「どうも!」と言わんばかりに、前あしをカッと地面で鳴らしています。クールです!
「嬢ちゃん、ソリに乗りなさい」
「はい!」
わたしは赤い上着のベルトをキュッと留めました。星も凍えるような冴え冴えとした夜ですが、不思議と全然寒くありません。
「トナカイさん、よろしくお願いします!」
「配達の家にはトナカイが案内する。あとは嬢ちゃんが煙突から入れば子供の枕元へ直通じゃ。では、頼んだぞ!」
「はい! 行ってきます!」
子供トナカイさんが、ぐっと前足に力を込め、空へと駆け上がりました。詰所がぐんぐんと遠ざかり、街並みが明かりの滲む夜景へと変わります。
「わぁーっ! きれいです! 街全体が、クリスマスツリーみたい!」
王都の上空は、星も冴え冴えと凍る寒さなのでしょう。トナカイさんとわたしの息が、白く流れていきます。でも全然寒くありません。
* * *
最初のソリの行き先は、詰所からほど近い、かわいらしい三角屋根のお家でした。
子供トナカイさんが、ふわりと屋根に降り立ちます。
「ここですか?」
「プルル!」
トナカイさんが、得意気に鼻を鳴らしました。
煙突からするすると降りていくと――そこには、眠っていない子供がいました。
「……まだかなぁ」
小さな男の子が、ベッドで毛布にくるまって、ぱっちり目を開けています。枕元には、クッキーとホットミルク。それから、サンタさんへのカードが置いてあります。
『サンタさんに、どうしても会いたいです』
わ、わかります。その気持ち、よくわかります……!
でも、これではプレゼントが置けません。困りましたね。
「こんばんは、メリークリスマス」
「わあっ、びっくりしたー! だぁれ?」
男の子が、飛び起きました。声が大きいです……。あと、わたしもびっくりしました。
「しーっ。ちびっ子サンタです」
「おじいさんサンタはどうしたの?」
「おじいさんサンタさんは、起きてる子のところには来られないんですよ。寝たふりくらいはしてくれないと、わたしも帰ります」
「えっ、……じゃあ、ね、寝たふりする……!」
男の子は、慌てて毛布を頭までかぶりました。毛布の中で、バタバタと落ち着かない足が動いています。
わたしは上着のポケットから、サンタさんに渡された鈴を取り出しました。
もこもこ動いている毛布の上で、シャンシャンと振ると、静かな寝息が聞こえてきました。
袋に手を入れて、プレゼントを取り出します。
「メリークリスマス、良い夢を。来年はもっと上手に寝たふりして下さいね!」
そっと枕元にプレゼントを置いて、わたしは煙突を上がりました。
そのあとも、起きている子供は意外に多くて鈴の出番が続きました。
子守唄の歌詞の多くが『早く寝て、お願い寝て……』という内容なのは、こういうことなんですね。
サンタさんの事情と、大人の事情の両方がわかってしまったクリスマスイブ……エルシャ六歳、複雑な気分です。
でも、地道に『サンタさんは、起きている子供のところには来られない説』を伝えたので、今年以降は子供たちの間で拡散されるはずです。
「さて、次のお家の子供は、寝ていてくれますかね?」
「プルル!」
子供トナカイさんは「知らんがな」といった顔で、鼻を鳴らしました。クールです。
煙突を降りると……。
* * *
「サンタクロースなんて、いるわけないだろう? 世界中の子供に、ひと晩でどうやってプレゼントを配るんだよ」
お兄ちゃんが、腕組みをして言っています。妹さんらしき女の子が、口を尖らせています。
「去年だってプレゼントくれた! 今年もサンタさんは来てくれるもん!」
「ふん。僕はだまされないぞ。きっと何か、カラクリがあるはずだ!」
うーん、これはなかなか手ごわいですね。
「こんばんは、メリークリスマス」
とりあえず挨拶から入りましょう。
「煙突から来た! サンタ……さん?」
妹さんが目をキラキラさせて言いました。
「違うよ! サンタクロースはおじいさんだ! おまえは誰だ!」
「ちびっ子サンタですよ」
「サンタのおじいさん、どうしたの?」
「サンタさん、屋根から落ちてギックリ腰です。わたしは代理を頼まれたんです」
「サンタさん、かわいそう……」
「湿布を貼って寝ていますから、三日くらいで歩けるようになりますよ」
ハドソン先生の湿布は効きますからね。
「さて、お兄さんに、残念なお知らせがあります」
「な、なに?」
「サンタクロースは信じない子供のところには、来られない決まりがあります。来年はお兄さんのところには、来ないかも知れませんね」
「お兄ちゃん、かわいそう……」
妹さんが、気の毒そうに言いました。
「し、信じる! 信じるよ! サンタさんはいるに決まってる! ギックリ腰、お大事にって伝えて!」
「わかりました。それでは、二人ともベッドに入って下さい」
「はい!」
「はーい!」
二人はパタパタと、ふたつ並んだ子供用ベッドに入って目を閉じました。サンタさんの鈴をシャンシャンと鳴らします。
袋から取り出したプレゼントをふたつ、それぞれの枕元の靴下の中に入れます。……よく伸びる靴下ですね。
「メリークリスマス、良い夢を」
やり切った気持ちで煙突を上がると、トナカイさんがポリポリとニンジンを食べていました。
サンタさんへの差し入れで、クッキーとホットミルクは定番ですが、時々トナカイさんへニンジンを置いてくれる家もあるのです。
わたしもポケットからクッキーを取り出して、屋根の上で並んで食べました。ホットミルクはさすがに持って帰れないので、ひとくちだけ頂いています。上着のポケットは、クッキーでパンパンに膨らんでいます。
「さて、トナカイさん。行きましょうか!」
月がそろそろ真上に差しかかります。仕事を終わらせなければいけません。
「プルル!」
子供トナカイさんは、鼻を鳴らして空へと駆け上がりました。最高にクールです。
口元に、小さなニンジンの欠片が付いていますけど。
つづく
読んで頂きありがとうございます。すみません(つД`)ノ前後編で終わらなかったです。三本立ての最後は明日(12/25)お昼頃に投稿しますね。
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