特別徴収民捕虜場
「霧島透、無申告能力使用を確認。特別徴収を開始します」
それは校内全体に響き渡った。
透は瞬時に教室を飛び出て透明化の能力を発動させていた。
「待て!」
担任の先生が透を呼び止める声が聞こえる。透はそれを無視し、全力疾走で校内からの脱走をしようとしていた。
「そう簡単に逃げられると思うなよ」
そう、徴収官の玖条 澪は言う。澪が合図をすると隣にいた男が動く。
「やりますかぁ」
男はそう言うと瞬間的に校門から姿を消し、透の教室の目の前へと移動していた。
「あ、あれって瞬間移動の能力?!」
透がそのように言うと男はまたすぐに移動をし「ここか」と言い何かを透に向かって振りかざしてきてそれが透に当たるとすぐさま透の意識は失われていくことになった。
目覚めるとそこは牢獄のような場所の中だった。
周りにはここと同じような構造の物がいくつかありそこには子供から大人まで老若男女問わずたくさんの人々が入れられていた。
「こ、ここは?」
透が呟くと近くで音がして「コツコツ」という足音が聞こえてくる。
「ようやく目が覚めたか」
そこには徴収官の玖条 澪がいたのだった。
「こ、ここはどこですか?」
透が尋ねると以外にもすんなりと教えてくれた。
「ここは特別徴収民捕虜場だ。簡単に言えば違法超能力使用者の刑務所だな」
「お前は死刑になる。」
「え?」思わず声がこぼれてしまった。
「無申告能力使用は通常であれば即逮捕であり、物によっては死刑になる可能性もある。」
「霧島透、お前は未成年であったりしたこともあり見逃してはいたが金を返せそうにもないうえ、課税超過も1億を超えているからな。」
「お前は徴収対象に任命されたのだよ。死刑というのも今すぐではないがな。」
「どういうことですか?」
「お前の死刑は3年後となる。そしてここからが本題だ。お前は今日から借金を返せるように働いてもらう。もしお前が3年間のうちに借金を返すことができれば死刑は逃れることができる。」
「な、なるほど。」
澪はにやつく。その後牢の鍵を開け「ついてこい」とだけ言い、どこかへ向かっていた
透は澪について行くことになるのだった。