それヤンデレではなくストーカーです、もう我慢しないでざまぁするシリーズ
金髪碧眼の王子に初夜で愛を乞うなと言われたので王家を潰しました
はじめまして。初投稿になります。色々とテンプレ通りでなかったらすみません。誤字訂正致しました。
「貴様を愛すことはない。私からの愛を求めるような浅ましいことを考えるな!勝手は許さん!」
金髪碧眼のこの国の王子様は舞台俳優さながら、自分に酔った様子で薄ら笑いを口の端にのせて
人に指をビシッと指しながら大声で叫んでいた。
私アンジェリーナは12才の時から王子妃教育と言う名の王城での軟禁を経て、
本日婚姻式を終えた初夜の閨。
王宮のメイドの皆さんに磨かれ衣服としての機能を捨てた官能的な夜着を着せられ、
夫婦の主寝室に押し込まれて早数時間。
ポツンとベッドの端に座って待っている新妻に向かって遅れてきたことを詫びもせず冒頭の発言である。
「承りました。」
私は立ち上がり非礼な夫(笑)の前に立つと彼のつむじに向かって力強く答えた。
「え?」
見上げて不安げに呟く夫(笑)
先程までの傍若無人さはひゅーっんと鳴りを潜めていた。
「だからわかりました、と申しておりますが。」
もう一度力強く彼のつむじに声をかける。
そう、彼は私より頭一つ分小さいのだ。
そして、余談だが小太りでもある。
ひあrだkじゃいうhgんkにあjkんふぁkjんfh・・・!!!
根っからの癇癪持ちである。
意味不明な奇声を発し始めた非礼な夫(笑)から距離をとり、部屋の反対側のドアに向かって歩き出す。
「なな、にゃにをしておるのだ!どこえいく」
ドタドタ走りより吃りながら私の手を取り引き留める夫(笑)を見下しながら
「私の寝室に向かいますよ。殿下がおっしゃるように愛を求めるような浅ましいことなど決していたしませんから。」
後半部分に力を込めて、手を振りほどきながらキッパリという。
捕まれた手が、彼の手汗でベトベトして気持ちが悪い。
早くもう一度湯あみがしたい。
「なぜだ!お前は私の妃になったのだぞ!勝手に部屋を出ることなど許さん!」
ぽーーーーーーーーーーーーーーーん
「殿下、3分前のご自分の発言をお忘れですか?」
私が絞り出した声は恐ろしく低い。
「私はお前から愛を乞うなといったのだ。お前の全部は私のもの。私の命令にただ従いさえすればいいのだ。勝手は許さん!」
大事なことは二回言う。三回言ってるが。
勝手は許さないということですか。そうですか。
「嫌です。」
きっぱり、ハッキリ、言い切る。(上から)目をしっかり見て。
「な、な、生意気だ!なんだその態度は!夫に初夜で愛さないと言われたのだぞ。許しを乞い、愛をすがれ。そういうもんだろうが!」
パンと頬をはたかれた。叩くとき殿下は素早くジャンプしてた。
パーーーーーーーーーーーーーーンッ
私は思いっきり上から横っ面を張った。弧を描くようなスウィングで。
ドサッ
小太りな体が床に転がった。
「な、何をする。父上にも叩かれたこともないのに。」
頬に手を添えて震えながら涙目で叫んでいる。
「わたくしも、誰からも叩かれたことなどございませんが。ただし、この国の法には被害賠償は相応とありますでしょ?不用意に叩かれたのですから、お返ししたまで。」
さて、そろそろ茶番も終わり。
「殿下、此度の件を持って離縁といたしましょう。」
いhがいjがまkfみひうhrkjんkfなm。、vkんヴぉいあjぽきvじゃんkjんvkjn!!!!
床に転がったまま叫んでいる夫(笑)の横を抜け自分の寝室に入るとしっかり鍵をかけた。
お付きのものに夜着から簡易なワンピースに着替えさせてもらい、急ぎ実家へと馬車にのり帰還。
実に4年ぶりの我が家である。
もちろん王や王妃にも今宵の出来事はすぐに伝えられたが、二人もこうなることは予想していたのだろう。
特に止められることもなく、近衛騎士に命じて夫(笑)を夫婦の部屋から出れないようにしてくれた。
やっと、やっと自由になれた。
婚姻一日での離縁という非常に不名誉な傷がついたが、長いこれからの人生
あんなのに捕らわれて過ごすなんてごめんである。
私には前世の記憶がある。日本で庶民として過ごした記憶が。
思い出したのは、王宮の高位貴族を招いたお茶会という名の王子妃選抜の場。
高位貴族とはいえ末席の貧乏伯爵家ではあるが、幼少期から難のある王子を厭う各家が娘を下位貴族に養女に出したり
病弱と領地に匿ったりと、真面目に出席したのは私だけ。
その場で婚約者と決まってしまい、妃教育という名目で王城に囲われてしまった。
突然の環境の変化に幼い私は戸惑い、体調を崩して寝込んでしまった。
その夢現、前世の記憶を思いだし、この世界はどSヤンデレ(しかもブサイク)に凌辱される悲劇の王妃(予定)という
小説の中ということを知る。かつての私は異世界モノの小説などを読み漁っていたがまさか自分が異世界に転生したとは。
いや、なぜ数多の中から、ヤンデレ(しかもブサイク)という異色なヤツに!
どうせヤンデレなら魅惑の魔術師や美貌の公爵、隣国の王弟、孤独な辺境伯とか色々あったのに。
この世界は、子宝に恵まれず高齢で奇跡的に王子を得た王家が過保護に過保護を重ねて育てた結果、
自分勝手モンスターに育った王子がたまたま見つけた娘(私)を監禁して凌辱していくという、救われない物語であった。
しかも王になった王子は堪え性もなく、偏狭で、小狡く王国の経営や外交に悉く失敗し、全ての責任を王妃(私)に押し付け
逃亡してしまい王国は崩壊、情勢不安定な不毛な地となってしまう。
王妃は責任を追わされて磔火あぶりの刑にかけられる。
なんの幸せもない人生をおえる悲劇の王妃(私)
逃げた王も他国でまたヤンデレの枷、ストーカー連続殺人犯となり結局死刑になってしまう。
この記憶を思い出した瞬間、体温はぐんぐん上昇し41度に達してしまった。
その後の体調も(メンタルも)芳しくなく憔悴した私を、心配した家臣や教師陣が心を配ってくれた。
なんせ次の妃候補がいないのである。生きていてもらわなければならない。
心身の衰弱を癒し、心の慰めをと手配してくれたのが教会の大司祭であった。
教会に向かう馬車の中私は、物語の全てを司祭に話そうと決めた。
教会で、前世のことは割愛し、物語のあらすじと結末、特に私自身の悲劇を!涙涙で語った。
大司祭さまは静かに話を聞くと、この国があと10年ほどで崩壊するということを驚くほどすっかり納得してくれた。
大司祭さまは、教会の名の下に私の夢現のビジョンが神のお告げであると王家に宣下した。
この世界での教会の力は強い。
王家も無下にはできない。
王は自身の息子があとたった10年で国を崩壊させるということに驚愕し、しっかり厳しく教育することを大司教に誓った。
それから王子に厳しい教育がなされた。
しかし、結果は全くでない。
愚鈍でプライドだけ異常に高く他責思考な王子は変わらない。
大司教の厳命で、私とは、王城の端と端に居室を離し月に一度のお茶会以外は会わないようになった。
そのお茶会の日の数時間がねっちょりと気持ち悪く不愉快な時間であることは変わらないが。
また大司教は王子が私に対して愛情深く丁寧に扱えなければ婚姻を認めないとも王家に告げた。
もし非常識で危険な態度を取ったときは王家有責で婚姻破棄する旨、婚姻契約書に明記もされた。
大司教は私を予言の聖女として教会に引き取りたいという思惑もあったと思う。
そして、私もこの王城で軟禁され凌辱され磔火あぶりにされるなら、聖女のふりでも何でもする所存。
毎日の妃教育に、教会での聖女教育も加わったが生きるためと歯を食い縛った。
施しとして教会に併設されている孤児院に赴き子供たちの世話をする。孤児の多さを見て、城の教師に理由を尋ねる。
この国の統治はガタガタだった。治安も悪く、税金が高いわりにインフラやセーフティーネットは整備されていなかった。
これが火あぶりになる遠因と知る。
王城にいる家臣は領地を持たない文官の家系の貴族で、大領地の貴族はとっくに王家を見限っていた。
だから、王子妃の選定にも娘を出さないのだ。
大司教も私の話を信じる訳である。
とりあえず、私に当てられている歳費から孤児院への寄付と、王都の市民の治安維持のために傭兵ギルドへ自警団の契約金を払った。
王子に会う時に着るドレスなど毎回同じで構わないのである。
別に自由以外欲しいものもないし。
そうして、少しずつ自分のできる中で、変革を行っていった。
孤児の中から力の強い子、気働きのできる子を自分の側仕えとして召し上げた。
信用できる者に囲まれていることが来るべき日に必要なのだから。
軟禁されて4年経ち、王子は変わらぬまま、私は準備を整えて16才の誕生日に婚姻式をあげた。
そして、、、
初夜のやらかしを理由に即座に大司教さまは婚姻を破棄し、王家に慰謝料の支払いを命じた。
王子には次の妃の宛がない。しかも王子は一人きりである。王子は廃嫡された。
他の世継ぎも居ず、現王も高齢であり、国の不安定さを是正しなかった責任を問われた。
ここに王家は断絶が決まり、王都の外れの塔に永蟄居となった。
晴れて自由の身となった私は今も教会へと通う。
聖女として弱者に寄り添うと決めていた。
教会の使者として幽閉の塔に赴いた。
「ご無沙汰しております。一つだけ質問にお答えください。」
塔の中、鉄格子があること以外は貴族の部屋として何も問題ない室内に居る元夫(笑)に声をかける。
「うるさい、うるさい、うるさい、うるさい。」
癇癪をおこして騒ぐが、屈強な兵に押さえつけられていて、椅子からたつこともできない。
「初夜の日、なぜあのような事を私に宣言されたのですか?」
「うるさい、うるさい、うるさい、私を端からバカにしているお前も、この国の貴族も。世界中の女も。
私に愛を乞うべきだろう、私は王になるべき者なのだから。お前のような貧乏伯爵家の者が私に話しかけるなど本来なら不敬。
それを許してやっているこの私に頭を垂れ、肢体全てを投げうって私に愛を乞うのが当たり前だ。」
なんとバカな。
王も王妃も侍従も此度の婚姻は教会の大司祭が立会人になっている、非常に厳格な契約だと説明していた。
お付きの者達は、なんなら初夜は別の日でも、追々いつの日かでもと何度も忠告していた。
少しずつ夫婦の距離感を作っていく計画である。
私としては4年も軟禁されていたので、可及的速やかに離縁できて本当によかったのだが。
「その考え方はどなたから?初夜に宣言しろと言った方がおいででは?」
ふふんと鼻を鳴らし、にちゃーと下卑た笑いを口元に乗せて元夫が自慢気に答える。
「お前は知らなかっただろうが、私はとてもモテるのだ。いつも私の愛を乞う愛妾が言うておった。
初夜でハッキリと自分の立場が愛を乞う側だと教えないから世の旦那衆は妻に頭が上がらないのだと。
だから浮気するときこそこそするのだと。その点私はいつも堂々としていると。結婚してもそのままで居てねと。」
フンスフンスと鼻息荒く、言いつらう。
うん、わかった。それあれだね。
「愛妾とは娼館の方ですのね」
「お前は貧乏貴族の娘の癖に身分で人をばかにするのか!何が聖女だ!偽物め!」
突然の激昂、相変わらず情緒がおかしい。
「その愛妾様(笑)に、あまりにも強引な行為をされたとかでそこの娼館は出入り禁止になったのではなくて?だいたい相手が嫌がっているのに喜んでいると変に解釈して、拒否されると刃物を持ち出して脅したとか。被害届が出ておりますよ。」
結局、娼婦のお姉さんの結婚しても通ってねっていう営業トークを独特な解釈で曲解した結果だったのか。
スンッと納得。
元夫(笑)は王族としての義務を全く履行しなかった上に、私の4年間の軟禁と娼婦への暴行の罰として、離島での強制就労になるだろう。
高齢の王の分の責任も問われて。
ふぁjglgjbl;skghp:おphj;lまmvlkvlm○。、vmんぁいううぇふぉいあjぽmlk
意味のわからないことをわめき散らす姿は変わらない。
人の本性って変わらないんだなと思う。
静かに塔を出て、教会に向かう。
王家が居なくなり王都は教会市国として、それ以外は共和国として歩んでいくことになるこの国の歴史の続きはまた別の譚。
<完>
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