表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VR&RW Online  作者: 田島 康裕
43/60

第43話 禁忌のスキル

ロイは、檄を飛ばすように、アイギスに発破をかける。


 「ぐ、うっ……」


 その言葉を受け、アイギスは、よろめきながらも、何とか、身体を起こすと、


 「実践じゃ、その隙が命取りだぜ」

 「は、はい」


 アイギスは、荒い息を整え、構えを取り直すと、ロイと再び対峙する。


 先程までの余裕は露と消え、弱腰となった、アイギスの目を見て、ロイが、


 「そんな弱気でどうすんだ!お前は強い、自信を持ちやがれ!」

 「え?」


 思いも寄らない、ロイの言葉に、アイギスは、その場で硬直する。


 普段は冗談を言っては、その場を、楽しませることが大好きな南雲であったが、こと、格闘技に於いては、滅多に、相手を褒めることはない。


 その、鬼のような厳しさを持ち合わせた人が、自分を褒めるなど、信じられなかった。


 言い知れない感情が、一樹の心を震わせた。


 「この世界じゃ、リアルなんざ、関係ねぇのさ、そうだろ?」

 「……」


 ロイの言葉を受け止めると、アイギスの心の奥底に沈殿していた、南雲に対する、畏怖の感情が、その言葉によって、静かに氷解していった。


 「そうですね。今はアイギスとして、クラウド殿、貴方と戦っているのでしたね」

 「そう言うこった。まだ、全力を出さねぇのに負けたんじゃ、寝覚めが悪いだろ、ええ?」

 「ふふっ」


 アイギスは、心の底から、沸き上がった喜びに、身体を震わせ、自分でも、知ることのなかった感情を抑えられず、その場で大笑いをしていた。


 「最高ですよ、クラウド殿」


 その目には、先程まで、弱気に駆られていた自分を、笑い飛ばすほど晴れやかに、ロイのいる、高みを越えんとする、気概に満ち溢れていた。


 アイギスは、スキルを解除すると、幻影は、跡形もなく消えて行く。


 「おいおい、どうした?」


 ロイは、幻影が消えるのを見て、思わず、アイギスに問い掛ける。


 「これ、結構、神経を使うんですよ」


 そう言って、アイギスは、困った表情を浮かべる。


 その顔は、イタズラっ子のように、どこか、憎めない可愛さがあり、ロイも釣られるように、口を緩ませた。


 「使いにくいスキルを、よく試そうとするわな」

 「テストも楽じゃありませんよ、ほんと」


 アイギスは、サムスからの依頼を、さも、迷惑そうな口振りでボヤくが、本当に迷惑をしていないのは、その言葉尻で見て取れた。


 それほど、ニル・ヴァーナの創始者である、サムス・ギルバードは、一見、自由気まま、思い付きだけで行動する人間であった。


 だが、その天真爛漫な、子供のような人柄は、一度でも関係を持てば、誰もが、その魅力に引き込まれる、カリスマ性を持ち合わせていた。


 「あの馬鹿の相手は、クセになるモンがあるわな」

 「ええ、不思議ですよね」


 互いに納得して、意見を確かめ合うと、二人は、サムスの、寝ぼけたような顔を思い出して、笑い合った。


 一頻りすると、ロイが、


 「さぁ、次は、どう出るんだい?」


 先程までの和気藹々とした、空気はそのままに、ロイが構えを取り、アイギスの出方を楽しそうに窺う。


 「まだ、試したことのない、スキルを使ってみましょうか」


 そう言うと、アイギスは、スキル発動の準備をする。


 「終わるまで待ってやるよ」

 「ふふっ」


 アイギスは、オーバースキルを、再び発動した。


 「スキル発動、ベルセルク」


 アイギスは、楽しそうに、スキル名を呼称する。


 途端、異変が起きた。


 「ぐ、がぁ……」


 アイギスの目は、血管が浮き出て、深紅に染まると、身体が一回りも二回りも、大きく膨張した。


 アイギスを覆っていた装身具は、音を立てて軋むと、凄まじい圧力と共に砕け散った。


 「だ、大丈夫か!」


 その変貌振りに、思わず、ロイが不安げに、アイギスを気遣うように近づくが、


 「ガァアア!」


 何気なく振り上げた、左腕が空を切ると、周囲に、途轍もない衝撃波を発生させ、ロイの身体は、風圧によって、枯れ葉のように吹き飛ばされた。


 「!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ