表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VR&RW Online  作者: 田島 康裕
4/60

第4話 集中治療室

 「俺みたいな、低ランカーを仲間にするなんて、お前も酔狂だよな、ほんと」

 「同じS プラスじゃないですか」

 「最初の頃だよ、最初。野良で掛け出しだった時に、久遠とパーティを組んだ一戦は、マジで鳥肌モンだったぜ!」

 「マッチングの不具合で、僕のランクに、ロイさんが組み込まれた試合ですね」

 「俺以外の全員がS プラスとか、運営のイジメかと思ったぜ」

 「でも、勝てたじゃないですか」

 「イモるしかなかったけどな」

 「そんなことないですよ。自分の役割を、しっかりと把握して行動していました」

 「久遠だけだったぜ、俺の援護と、敵の攻撃を同時に処理してたのは」

 「他の二人はちょっと……」

 「敵に煽られるのは分かるけどよ、味方まで煽られるのはムカついたぜ」

 「マナーが悪いプレイヤーは、上位ランクに行けば、少なくなるはずなんですが」

 「まぁ、気持ちは分からんでもねーけど」

 「僕は嫌いです」


 珍しく怒りの感情を露わにした久遠に、


 「久遠はジェントルマンだな」


 ロイは、感心したように笑顔で頷く。


 「そんなことないですよ。ただ、オンライン上で、匿名性が保証されているからと言って。礼節に欠ける行為をすることに、我慢が出来ないだけです」

 「固いなぁ、俺の盾並の強度だな」

 「三発の連続照射にも耐えますよ」

 「おっ、乗ってくるじゃないの、成長したなぁ、久遠、はっはっはっは」

 「ロイさんと一緒に居れば、嫌でもそうなりますよ」

 「お、俺様、いま、褒められてるの、の?」

 「もちろんですよ」

 「知ってた」


 チャットルームに、そのアクションが描かれたスタンプが表示される。


 いい具合に、イラッとくる表情に、ジワジワと、笑いがこみ上げて来る。


 「そのスタンプ、何処で買ったんですか?」

 「これか?公式じゃなくて、クリエーターズショップで買ったんだ」

 「面白いアニメーションですね」

 「だろ?普通の絵と違って、動かすとなると、一手間も二手間も掛かるからな、ちなみに、作ったユーザー、俺の学校のダチだったのには吹いたわ」

 「それ、すごい確率ですね」

 「スタンプも、有名になれば、公式ショップに上がることも出来るし、結構な印税が手に入るからな。このスタンプも、ランク百位に、たまに入ることもあるらしいから、アイツ、本腰を入れるって言ってたな」

 「僕も欲しいです、後で購入しますから、リンクお願いします」

 「りょ!」


 可愛い猫が、ビシッと敬礼するスタンプが張られる。


 「何時までも、駄弁っててもキリがないし、先に落ちるわ、乙ー」


 ポンという音がして、エントランスルームから、ロイが退出する。


 「う~ん、僕も寝るかな」


 プライベートルームに戻ると、ルチルが気を利かせて、就寝の準備を整えていた。


 「久遠、お疲れ様です。ゆっくり、お休みくださいね」


 「何時もありがと、ルチル。おやすみ」


 部屋の照明が徐々に落ちていくと、フンワリとした、ベッドの中で眠りに落ちていく。


 ▼五木病院 集中治療室 V I P ルーム


 様々な最新の医療機器が、所狭しと整然と配置された部屋の中央に、久遠の肉体が横たわっていた。


 巡回に来ていた看護師が、久遠に接続されている、機器のチェックをしていた。


 「問題なし、と」

 「何か、楽しいことでもあったのかしら」

 「あちらで、お友達とお喋りでもしていたんでしょうね」

 「ええ」


 看護師の言葉に答えたのは、久遠の母親である(かえで)であった。


 黒髪のショートヘアと、キリリとした瞳は、宝塚の男役にも負けないほど凜々しく、それでいて、真っ直ぐに通る低めの声も相まって、女性の看護師には、密かに憧れて、ファンになる人が後を絶たなかった。


 今日の担当であった、新人看護師の大槻美雪(おおつきみゆき)は、先輩から、その噂を聞いて、今日が初めての対面であったが、胸の高鳴りを抑えるのに必死になるほど、脈拍が自然と上がっていった。


 正直、久遠の処置をするより、自身に起きている体調の変化に、注意を向けるのに必死でしかたがなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ