表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/30

今さらなんなん?

敬語を話すジゼルのセリフは関西弁のイントネーションで脳内再生していただけますと助かります☆




───────────────────────





前世の記憶を思い出し、

いずれラノベのヒロインに心を移す夫と婚姻生活を続けるのが馬鹿らしくなったジゼル。


だからさっさと婚家を出たというのに何故か今、

目の前に謝罪の為に頭を下げた夫クロードの後頭部がある。


「???」


一体何が起こっているのだろう。

何故七ヶ月ぶりに顔を見たと思った瞬間に後頭部を眺め続ける状況になっているのか……。


とりあえずこのままでは話にならんとジゼルがクロードに頭を上げるように言おうとしたその時、食堂の店主や常連客たちが野次を飛ばしてきた。


「ジゼルちゃんには男っ気がないと思ってたけどこんな色男を隠してたのかい?」


「一体どんな弱みを握って従わせてんだよー?」


その野次にジゼルは(はた)き落とすように返した。


「弱みなんか握ってへんし!」


「騎士さまに頭を下げさせるなんて、さすがはジゼルちゃんだなっ」


「いよっ!下町の女豹!」


「やかましい!ヒョウ柄着とったんは前世()の話や!」


「………」


そのやり取りをまじまじと見ていたクロードの視線に気付き、ジゼルは半目になる。


「なに?なんですか?」


「いや、本当に人が変わったみたいだなと思って」


「人が変わったんですよ」


「え?」


とにかくここではとジゼルは話を打ち切り、仕事中なので帰るように促すもクロードは「昼食を食べ損ねたので食事をしながら待ってるよ」と言った。


───お貴族さまになったんやからもっと高級店(ええとこ)行きや……。


と内心思ったが、食堂にとっては客になるのだから無下に追い返すのはやめておいた。


───お客さまは神さまや。


だがしかし食堂の仕事中ずっとクロードの視線に追いかけられ、ジゼルは少々戸惑っていた。


───今さらほんま何なん?


初夜以来七ヶ月も放置した嫁に何の用があるというのか。


───あ、離婚届か。離婚届を持って来たんやな。


そうでなければジゼルの仕事が終わるまで三時間も待ち続ける理由がわからない。


なるほどなるほど、それなら合点がいく。

円満離婚へと運ぶためにまずは謝罪して印象を良くしてから協議に持っていく……そのつもりに違いない。



───ははーん、慰謝料を払いたないんやな?

それか穏便に事を進めて慰謝料の減額を狙ぅとるな?


そうは問屋が卸さない。

これから寄る辺ない女がひとり、世間の荒波に揉まれながら生きてゆくのだ。

強かにならねば。



───貰えるもんはきっちりガッツリ貰わんと!



ジゼルは頭の中で算盤(そろばん)をパチパチ弾きながら接客した。



「ジゼルちゃん、お会計~」


「はーい、クロケッタ定食800万エーーン!」

(正しくは800エーン)


「えっ?」



つい浪速花子時代の感覚で、

昭和のボケをかましてしまったジゼルであった。







───────────────────────




異世界の通貨は西方大陸共通で単位は「エーン」です。



今日は短めでごめんなさい。

疲れによる不調かな?

(。•́ωก̀。).。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ