表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/30

そろそろ出会ってる?

ジゼルが開き直った事により、


クロードとの夫婦関係はすこぶる良好だった。


もともと苦労人のジゼルは何か事が起きたらその都度対応してゆく順応さが身についていたし、

前世の浪速花子も思い切りがよく、何事も「なるようになる」精神の持ち主であった。


かくしてジゼルは正真正銘クロード=ギルマンの妻として暮らしている。


子供ができてしまった後で、それでも原作通りに別れることになってしまったら仕方ない。

その時はその時、ジゼルが一人で立派に育てればいいのだ。

(もちろん養育費はガッポリいただきまっせ)


──まぁ確か原作ではギルマン夫妻に子供はいないと描写されとったから、その可能性は低いと思うけど。

それに、もしかしたら子供がいたらまた原作とストーリーが変わってくるかも?



などと子供を授かることでのストーリー改編に一縷の望みを見出している自分もいた。



───ウチって健気……ほろり。



とまぁそんな胸の内を抱えながらもジゼルはクロードとの日々は大切にしながらすごしていた。



夜番のある日以外はまっすぐ家に帰ってくるクロード。

騎士仲間との付き合いはいいのかとジゼルが気にすると「仲間連中もみな新婚なんだ」と口の端を上げていた。


なるほど。

クロードと仲の良い騎士たちはみな愛妻家のようだ。


シフトによってはジゼルが食堂の仕事が終わるのに合わせて迎えにきてくれるクロード。

食堂の店主や常連客に「よ、ご両人!」と冷やかされるのにも慣れてきた。


そういう時は一緒に市場に寄って夕食の食材を買って帰る。

クロードは重い荷物を軽々と片手で持ち、空いているもう片方の手でジゼルと手を繋ぐ。


大通りに出ればさり気なく車道側を歩くし、人通りが多いところではジゼルが人とぶつからないように配慮してくれる。


そんな些細な事も大切にされている、愛されているのだと実感出来てとても幸せだった。


だが………


結婚してもうすぐ一年半になる。


そろそろ出会うはずだ。


ラノベのヒロイン、アイリスに。


原作ではクロードが運命と称した彼の最愛の人に。



ジゼルは隣を歩くクロードをチラと見る。



───それとももう出会ってるんやろか……?

その割には態度が少しも変わらへんのよね。



だからきっとまだ出会ってないのだろう。



───大丈夫。自分で決めた事や。どんな結果になっても恨んだりせぇへん。



ジゼルはきゅっと唇を引き結んだ。



しかしそれ以降もクロードに変わった変化は一切見られず、同じような穏やかな日々が続いた。



───おかしいな。いくらなんでももう出会ってると思うんやけど……?



一向に様子が変わらない夫に、ジゼルは首を傾げていた。





だけどそれから少しして、クロードに告げられる。



「王家の問題の件でしばらく忙しくなる。帰れない日もあるかもしれない」



……来た。

ジゼルはそう思った。


原作ではトラブルに見舞われたアイリスの護衛騎士に任ぜられたクロード。


それにより共にいる時間が増え、クロードは健気なアイリスに惹かれてゆくのだ。



───なんや、いつの間にかもう出会ってたんやね、ヒロインに……

クロードの運命の人に。



だけどジゼルに出来ることは何もない。


ジゼルはただ、任務で戻らない夫に忘れられたような日々を過ごすのみだ。


そこからどんな結末を迎えるのかただ待つより外、なかったのである。






───────────────────────




今日は短めでごめんなさい。


魔王さまが暴れるから……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ