不公平
ふわぁ〜、今日はなんすっかな〜。えーっと……日曜か。
じゃあ、すずんちの庭はあぶねーな──つってるそばから出てきたよ。
鉢合わせしねぇよう、どこ行くかちょっと様子を見とくか。
あっ! あいつまた塀になんかのぼって……どこへ行く気だ?
隣の庭で遊ぶつもり──って、バッ、おい!!
ハァァ、あっぶねーなぁ!
塀の上から屋根に飛び移るとか、ほんっっとサルだな。チビザルめ!
しかもそこ、トイレの屋根じゃねーか。スペース狭いんだからさっさと降りろ。
あ……サルの子分までやって来やがった。
お前らはやめとけよ? そこにみんなは──ああっ!!
こらっ、すず! お前ほんと何やってんだよ! 屋根から屋根へって──まんまサルだな! まあそこは事務所の上だから広いけどよ……
おい、チビザル軍団。お前ら気づいてねーな? 今日は日曜だけどよ、人来てんぜ? そんな走り回ってたら、
「君たち。ちょっと降りてきなさい」
ほ〜ら、いわんこっちゃない。
「屋根の上にいるのは分かってるんだよ? 早く降りてきなさい」
プッ……フフ。あんだけ騒いでて、今さら静かにしたっておせーんだよ。
さっさと降りて怒られろ! じーさんには俺がちゃ〜んと報告してやるからよ。
「やっぱり君たちか。いつも元気がいいね」
そりゃあ、サルだからな。
「ちょっとそこで手を洗って待っていなさい」
はあ? なんで手なんか洗わせる必要があんだよ。げんこつでも雷でも早く落とさねーと、そいつらまたやるぜ?
「きれいに洗ったかい? きれいになったら、ほらこれ。昨日お客さんからお菓子をもらってね。たくさんあるから好きなものをあげるよ」
はああ!? そいつら屋根の上で、ドッスンバッタン暴れてたんだぞ。
菓子なんかやってねーで、げんこつやれよ。雷落とせよ!
「さあさあ、遠慮しないで。こういうとき、子供は遠慮なんかしなくていいんだよ? そうそう。ほら、もう一個ずつあげるから」
こ、このおっさん、アホ──あ〜あ、そっか。これが飴と鞭ってやつだな?
甘い菓子で油断させて、ビシッとやるんだろ?
「ところで君たち」
きたきたー! ビシッと、ビシッと言ってやれー!
「屋根の上で遊ぶのはいいけど、落ちないように気をつけるんだよ?」
そうだ、そうだー! 屋根の上で遊ぶのは────い、いいのかよっ!?
ダメだろ。そういうのは大人がちゃんと注意しないと!
「それから、休みの日でもたまに仕事に来ることがあるから、遊ぶときは中の電気がついていないか確認してからにしてね」
「はい。ごめんなさい。お菓子、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
……; ダメだこりゃ。
▷▷▷
「あっ、ボスにゃん。わたしたちお菓子もらったんだ〜。いいでしょう」
……それはいいけど、いや、よかねーよ。お前らは、にゃらりんパなんてできねーんだからさ、もう屋根なんかにあがるんじゃねーぞ?
「でも、あげないからね。にゃんこにお菓子はダメなんだって。じゃ〜ね〜J
……あのなぁ、俺は心配してやってんだぞ? 二個ももらったくせに、一個くれてもいいだろ。ケチすずめ!
まあいいさ。屋根の上で暴れりゃあ、あのおっさんが菓子くれんだもんな?
よっ、はっ、とぅ!
ほんじゃまいっちょ、やりますか? そ〜れ〜♪
ドッタバタ〜のカッシャカシャー カッツンカツンのドッタバター っと。
バタン! ガンッ! ダンダンダンダン!
ジィィィィィ
おっ? きたきた。見てる、見てる♪ プッフッフ。驚いてはしごから落っこちんじゃねーぞ? こっからが俺様の見せどころだからよ。
昔々、かわいいと大評判だったあのポーズを……うろ覚えだけど、見せてやるか。
こ、こうして、首を傾げてだな、
う、うにゃん?
よ、よし! まだ見てるぞ。もっと見たいんだな? よしよし、待っておれ。
う──ブッ、ニ゙ャニ゙ャゲポニ゙ャ!?
なっ、なにしやが──
「こンのどら猫がっ! 屋根の上でトイレをするなど許さんぞ! おらー、降りろー、どっかいけー!」
なっ!? バッ、バカ、こんなかぶせるもんもないところでトイレなんかするかよ!
「お前だな? いっつもいっつもドタバタうるさくしてたのは!」
あっ? 何いってんだ。うるさくしてたのは、さっきのチビザル軍──ヒーッ!
フゥ、フゥ……な、なんだよ、あのおっさん──二重人格か?
チキショー。つめてーな! 火事でもねーのに、放水攻撃なんかしやがって。
風邪引いたらどうしてくれんだよ!
だいたいなぁ、サルには菓子──しかもお高い箱入りの菓子でよぉ、ペットとして人気の高いにゃんこの俺様には水って……不公平だー!
動物愛護協会に訴えてやるー!!
ブゥエッックッション!




