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ストーカー!?

 さぁ〜て、今日はチビザルの行動範囲とそのルートでも調べておくかな。

出没ポイントを押さえておかないと、おちおち昼寝もできやしねぇ。

まずは、学校からいっとくか。毎日通うから──おっと! もう出てきたぜ。

ほんじゃ、気づかれないように行きますか。



 ……うっわー、いきなり車道かよ。まあそうだな、この辺はビルばっかりだから仕方ないけどよ……困ったぞ。あっちのデカい交差点は、俺にはちょいとハードルが高いんだよなぁ。フム……しゃーない、こっちから行くか。


 よし、この辺りから出れば合流できるはず──って、ワーッ! 

また車道沿い……。しかも、さっきの道より車が多いぞ。毎日こんな道を通ってんのか? 歩道はあるけどよ、危なくねーか? 通学路にしては──あっ、ヤバい。チビザルはどこだ?


 いたいた。よし、あいつんちの周りよりかは民家があるからなんとかな、


 おい、そこの若いの。


 るぅぅ! はっ!? なんだ、どっから声ギャァァァー! ボロ雑巾が喋ったぁぁぁぁ!!


 だぁ〜れがボロ雑巾じゃ、失礼なやつじゃな。まあいい、ついて来い。


 あっ、いや〜、あの俺いま忙しくて──ハイ、ワカリマシタ。



 〈まったく、どこまで行くんだよ! 折角チビザルの……待てよ? このじーさん、あの迫力からしてただモンじゃねぇぞ。まさか、この辺を仕切ってるボスとかいわねーよな? だったらヤバいぞ! いくら俺でも多勢で来られたら……チキショー! チビザルのせいだ!〉


 着いたぞ。


 〈ゲェェ……。オンボロな小屋だけど──十数匹は余裕で潜んでそうだな〉


 期待させて悪いがな、誰もおらんぞ? わしの寝城じゃ。


 〈な、なんだ、よか──んんっ〉おっじゃましまーす。へぇ〜え、見てくれはアレだけど、風雨はちゃんと凌げそうだな。


 まあな。それよりお前さん。うちの孫をストーカーしていたのはどういう訳だ?


 はぁ? じーさんの孫? 俺はあんたの孫なんて知らねーし、ストーカーってのはよ、犯罪なんだぜ? そんなんするわけねーだろ、この俺が。


 ほぉ〜、見かけによらず意外と物知りなんだな?……元飼い猫、か。


 なっ!? いい、言っとくけどなぁ、捨てられたんじゃないからな! あんな家……俺の方から出てやったんだ! 勘違いすんなよ!


 〈誰もそんなことは言っとらんし、思ってもおらんが……〉そうか。で、うちの孫は《すず》っていうんだけどな? 知らんとは言わせんぞ。


 はぁぁ? あのチビザルがまごぉ〜?……あっ! じーさんあの家で飼われてたのか!? んで、ボロ雑巾みたいになったから──イテッ!


 猿とは何だ!! 無駄口を叩いとらんで、サッサと質問に答えろ!


 イッテーなぁ、なにも猫パンするこたぁ──ハイ、スミマセン。

俺はただ、チビ──すずがどんな学校に行ってるのかなぁ〜って……。


 フン、どーだか。なんか悪さでもするつもりだったんじゃないのか?


 ちょっ、悪さって……俺の方だよ! あいつにいじめられてるのは!


 すずがお前さんを? そりゃ遊んでもろとるだけじゃろう? あんなにいい子がわしたちをいじめたりするものか。


 〈ダメだこりゃ。すずがいい子? なわけねーだろ。あんな、あんな──ま、まあ手を出されたことはないけどよ〉


 すずはな、お前さんのいうところのボロ雑巾のようなわしにもな、足を止めて話しかけてくれるんじゃ。学校でこんな事があったとか、弟がどうのとか……お前さんの話もな。大きくて──大きい野良猫が最近庭に住み着いたって聞いたからな、様子を見に行こうとしとったんじゃよ。大きいやつには粗暴なものもおるからの。そしたら案の定じゃったわ。


 だーから、違うって。俺はすずの通学路に──〈俺にとって〉危険な道はないか調べておこうと思っただけだよ。


 フーン。ま、今日のところはそういう事にしといてやろう。

どれ、そろそろかの。今はな、家庭訪問の時期じゃからもうすぐこの前を通るはずじゃ。


 へ、へぇ〜〈なるほど、家庭訪問ね。だからあんなに早く帰ってきたのか〉


 まあ、お前さんはちょいと隠れときなよ? 孫とわしの貴重な時間を邪魔するでないぞ。


 ヘイヘイ。



「あっ! おじじ〜、ただいま〜。変わったことはなかった?」


 ストーカーは見つけたけどな? それだけじゃよ。


「元気そうだね? よかった。あのね、しばらく給食はないから今日もなにもないんだよ。ごめんね、また始まったら何か持ってくるからね!」


 うんうん。楽しみに待っとるよ。


「もっと話したいけどさぁ、先生がうちに来るから早く帰らないといけないんだ」


 そうかそうか、残念じゃのう。


「あ〜あ、何言われるんだろうね? 嫌だなぁ……」


 大丈夫じゃよ。すずはいい子じゃからな、褒められるだけじゃて。


「はぁぁ……。あっ、帰らないと! じゃあまたね、バイバ〜イ」


 ああ、またな。気をつけて帰るんじゃぞ。

 さて、若いのも帰る時間だ。すずのボディガードをしっかり頼んだぞ。


 はっ!? なんで俺がチ──すずのボディガードなんかを……。それにストーカーじゃねぇって言ってんだろ!


 危険な道はないか調べておるんじゃろう? だったらついでに全ての危険から守ってやるのも仕事のうちじゃろうが。


 はぁぁ、仕事だって? 大体、調べると守るでは意味が違──

ハイ、ヨロコンデ、オマモリサセテイタダキマス。


 おう、頼んだぞ。じゃあ……またな。


 〈……なんだよ、その間は。つーか、もうぜってーこねーし!〉じゃあな! 



 おいおい、チビザル。そんなに走ると危ねー──


「わっ! とっとっとっとっーートゥ!! はぁ、危なかっ、あああー信号が変わっちゃう! 待って、待って〜、渡りまーす!」


 ほら、言わんこっちゃねぇ。まったくよぉ、道や車よりもあいつが一番の危険物だわ。というか、朝の道と違うじゃねーか……。 

登下校は、同じ道を通らなきゃいけねぇってことを知らねーのか?

事件や事故に巻き込まれたらどーすんだよ。


 信号もな、パカパカしだしたら渡っちゃダメなんだぞ?

おーい、聞いてんのかぁ……あーあ、もう家ん中に入りやがった。

ボディガードをおいて行くんじゃねぇつーの。



 えっ? やっぱりボディガードかよって? 違う違う。あー、あれだ。

あのじーさんがどっかから見てるかもしれねーだろ? だからだよ。


 さてと……あっ、すいませーん、そこのボタン押してもらっていいですか〜。


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