空を飛ぶ?
フニャ〜ア……あいつが学校に行っている間は平和──ゲッ、もう帰ってきた。
こっちを見るなよ? 気づくなよ?
よ〜し、よし。気づかれなかったぞ! ていうか、今日はやけに早くないか?
まあいいけどよ、昼寝の邪魔さえしなければな。
あっ! ボスにゃんだぁ……フッフッフッ、逃げないってことは気づいてないね?
塀の上だからって安心してちゃダメだよ〜。災難は思わぬとこからやってくる! らしいよ?
ンフフ〜、どっちから行こうかな? 塀の上は……今日は平日だからおじさんたちがいるね。じゃあ下からかぁ……う〜ん……。
あんなところは誰も掃除しないから、枯れ葉や小枝がたくさん落ちてるんだよね。
なるべく音を立てないように気をつけなくっちゃ!
カサッ……
ヤバっ! 耳がこっち向いた! ストップ、ストーップ。まだ見ないでね。
パキッ……
ん? わっ! やっぱりお前だったか……だけど、そんなとこからじゃ俺には届かないぜ〜ヘッへ〜ンだ。
「あ〜あ、見つかっちゃった。ざんねーん。ボスにゃんお昼寝してたの?」
ハッ、よく言うぜ。邪魔しといてよぉ。
フニャ〜ニャ……。場所変えて寝なおすか。ついてくんなよ? つっても、おチビさんにこの高さは無理か。じゃあな。
「どこ行くの〜、お昼寝おわり?」
ここではな……さてさて、どっちに行くかな? こっちはまだ人の気配がするなぁ。ほんじゃ、あっち、
「ねえ、塀の上だからって油断してたら危ない……よっ!」
のワワーッ!!
「ほらぁ、だから危ないって──アッハハ〜、でも、すっごい飛んだね! すご〜い! 空飛ぶスーパーボスにゃんだぁ」
こ、こ、コノヤロー!! 危ねーじゃねぇか!
「まあ、手足がこう……かなりジタバタしてたけどね? ププッ、だけどさ、あんなに慌てなくてもにゃんこなんだから、にゃらりんパって降りられるのに」
何が『にゃらりんパ』だ! そりゃあできるけどよ、あんな急に来られたら、お前──そうか、サルか。
お前サルだったんだな? でなきゃ、ここまで飛び上がれる訳ないもんな……。
チキショー、チビザルめ、覚えてろよ!
「バイバ〜イ、また遊ぼうね〜。……イテテテテ。擦りむいちゃったよ。こっちの崩れた塀は足元が不安定になるからね。気をつけよっと」
……なんだよ、ズルしてたのか。ていうか、ケガしてまでするもんかねぇ……。
そんなに暇ならアホなことばっかしてないで、勉強しろ、勉強を。
けどまああれだ……勉強に疲れたら、ちょっとくらいは遊んでやってもいいぞ?
ほーーんのちょっとだけ、な?