私を選んだ人と私が選んだ人
こんにちは♪
キャラメル・ラテです!
よろしかったらお読みください!
「俺と、付き合ってください」
「……。ごめんなさい……。」
私はいてもたってもいられなくて走って逃げた。
はぁ、またやってしまった。
本当は断りたくない。みんなに応えてあげたい。
でも、私には好きな人がいる。
「また、告白断ったの?りんごはモテモテだね」
私の名前は川瀬凛。友達からは、あだ名でりんごって呼ばれることが多い。
「だって、好きじゃなかったから」
「これで何回目?断るの」
「いちいち数えてないよ」
「うわー、モテる人が言うセリフだ」
確かに、私を好きって言ってくれる人は多かった。だけど昔から、好きな人には好かれなかった。
どうしたら好きって思ってくれるんだろう。どうしたらいいんだろう。
頑張れば頑張るほど、他の人がどんどん私を好きになってしまう。そして、傷つけてしまう。
「おっす!りんご〜どうした?暗い顔しちゃって〜」
真也が教室に入ってきて聞いてきた。
「真也……。別に」
幼馴染の真也。コイツもいつか、傷つけてしまう日が来てしまうのではないだろうか。
そう思うと……。
「別にってなんだよー。心配してやってんのに」
真也は教室を出ていってしまった。
「川瀬、ちょっといいかな?」
「ん?」
同じクラスの澤田くんが廊下のほうで呼んでいる。
「また告白じゃない?」
友達の汐に耳打ちされた。
はぁ、それだけは勘弁……。
「どうしたの?」
「あ、ここじゃ、ちょっと。こっち来て」
澤田くんは私の手を引いて旧校舎の教室まで走っていった。
「ちょっと、どうしたの?」
「あのさ、川瀬……」
うわぁ……。どうしよう。絶対告白だあ。なんて断ろう。
「俺の友達に坂部っているだろ?」
あれ?違うみたい!ちょっと気が楽。
「うん?坂部裕也くんだよね?」
「うん。そいつがお前のこと好きだってよ」
「え……」
新しいタイプだ……。なんだか澤田くん暗い顔だし……。そりゃあそうだよね。頼まれた方も気が重いよなぁ……。
「それじゃ、返事は坂部にしてやって」
「あ、ちょっと、澤田くん……」
行っちゃった。
澤田くんは教室の方へと走っていった。
どうしよう……。なんて、断ろう。
私の好きな人はバスケ部のキャプテン。幹島哲くん。キャプテン兼部長で、私の幼馴染の真也と同じクラスであり、同じ部活。
私は、教室へと一人で歩いて帰った。
はぁ……。なんか、教室に戻る気も起きないなぁ……。どうしよ。このままサボっちゃおうかな〜。
私は、教室から屋上へと行き先を変更し、歩いた。
屋上につき、端っこの方に座って外を眺めた。
私も普通に恋愛したい。哲くんのことが好きなのに……。
高校生になってすぐ、私が帰ろうとしたときに部活中の哲くんと目があったっけ。そこでニコって笑ってくれた。私の一目惚れだった。
あれから廊下であって、一度話した。
もう7月だけど、それっきり、話していない。
哲くんは、私のことなんて忘れてる。きっと、きっと忘れてる。
私ばっかりが覚えてて、キュンとして、胸が苦しくなって、切なくなって……。
「ヒャッ」
突然、私の頬に冷たい何かがあたった。
「真也?!」
「ほら、オレンジジュース。お前好きだろ?」
真也の手にはオレンジジュースにが握られていた。
これが、私の頬に当たったんだ。
「ありがとう。どうしたの?」
私は真也からオレンジジュースを受け取った。
「どうもしない。俺もサボろっかなって思ってさ」
「ふーん」
「お前、どうしたんだよ。今日暗いぞ?」
「別に」
「また告白でもされたか?」
真也は笑いながら言った。はぁ……。笑えないよ。私は。
「うわ、まさか図星か」
私は何も言えなかった。
「モテる女は辛いな〜」
真也が冷やかしてくる。
私は何も言えない。モテないっていったら嘘になる。でも、モテるとも言いたくない。
「まあ、でも、お前がそんだけいい女ってことなんじゃねーの?」
真也は突然真剣になった。
「え……?」
「お前がいいやつだから、そんだけ周りに集まってんだろ。自信持てよ」
自信……。
「ねぇ、真也」
「おぅ、なんだ?」
「もし、自分には好きな人がいて、その人が振り向いてくれなくて、他の人から告白されたらどうする?」
「え……」
「真也だったら、どうする?」
「うーん、そうだな……。俺は俺の好きなやつをとる。振り向いてくれなかったら、振り向かせる」
「そっか、そう……だよね」
振り向かせる……。か……。
「お前、まさか……。好きなやついるのか?」
私は顔が熱くなる。
真也になら、話していいかな。哲くんが好きなこと。
「私、哲くんが好きなの」
「そう、なんだ」
「なのに、他の人にすごい告白されるし、哲くんは振り向いてくれないし、もうこれ以上誰も傷つけたくないよ。私。」
気づいたら泣いてた。涙が溢れ出してた。
真也は黙って私の話を聞いてくれた。
「どうしたらいいのかな?私……」
「どうするって、決まってんだろ?」
「え?」
「哲にアプローチすんだよ。振り向かせろよ」
「でも、どうやって……」
「今日、部活ねぇから、一緒に帰れば?」
「無理だよ!いきなり」
無理だよ……。だって、1回目があって1回しかしゃべったことないんだよ?無理だよ無理。
「無理なことなんてねぇーよ。俺が言っといてやるからよ。」
「ありが……とう」
真也……。ありがとう。
「あ、あともう一つ」
「お?なんだ?」
「実は今日、澤田くんに……。」
「告白されたのか?」
「坂部くんが私のこと好きだって言ってきて……それで……。どうやって断ったらいいかな……」
「好きな人いるからごめんってそのままでいいんじゃない?」
「でも、傷ついちゃう……」
「はっきり言わねーほうが、望みあるかと思われるぞ。そっちのほうが傷つく」
「じゃあ、言ってみる」
「おう。」
期待させるだけさせてしまう。そうなるんだったらはっきり……か。
「もう、真也と付き合っちゃおうかな〜」
「なんの冗談だよ」
真也のこと好きになれたら、どれだけ楽だろうか。
「好きじゃねーやつと付き合うことだけはやめろよ?」
「え?」
「自分の人生なんだから一緒になるやつはお前が決めろよ」
「真也……」
キーンコーンカーンコーン
「お、チャイムだ。6限の授業は?出るか?」
「そうだね。教室戻ろう」
「あ、俺トイレ寄るわ。先行って」
「わかった」
「川瀬だよね?」
「あ、うん!」
て、哲くんだぁ……!覚えててくれたんだ。私のこと、私の名前。
「真也から、聞いてるよ。帰ろうか」
「は、はい!」
「同い年なんだから、タメでいいよ」
哲くんが笑って言う。笑った顔。かわいい。
哲くんと並んで歩く、夢みたい。
「川瀬は、真也と仲いいよな」
「え?うん。幼馴染だからね」
「そっか。なんかあいつ最近部活終わったあと速攻帰ってるみたいなんだけど、なんでか知ってる?」
「え?そうなの?」
「うん、前は他の部活仲間とご飯行ったり残って練習したりしてたんだけど」
「うーん、わからないなぁ。部活仲間と喧嘩したとか?」
「え?俺から見ても仲良さそうだぞ?」
「そっか……」
どうしたんだろう、真也。
「真也って彼女いんのか?」
「彼女?いないと思うけど。聞いてない」
真也に彼女?いるのかな……
「彼女いんなら辻褄合うんだよなー。待ち合わせして帰ってるとか」
真也に彼女……。なぜか、少し胸が痛んだ。
「いるのかもね」
私はか細い声で言った。
「じゃあ、俺、こっちだから」
「あ、うん!またね!」
「うん、また」
分かれ道。哲くんと分かれてそこから一人で帰った。
真也に彼女……。彼女ねぇ。
「本当っにごめん。坂部くん。私、好きな人いるから付き合えない」
次の日私は朝早く、体育館裏に坂部くんを呼んで告白を断った。坂部くんは朝練中だったからちょうど会えた。
「そっか、やっぱり川瀬さんは高嶺の花だね。わかった」
あれ?案外あっさり。これも真也のおかげ……。
真也……。彼女と学校、来るのかな?
私は一人で体育館裏を後にした。
自販機の前を通り過ぎて、旧校舎の前まで来た。
「かーわせ」
「ん?!あ、澤田くん」
旧校舎の近くにいた澤田くんに声をかけられた。
「坂部に返事してくれた?」
「あ、うん。たった今」
「その返事は……」
「ごめん。断っちゃった……」
「そっか」
なんだか澤田くんの顔が少し明るいような、暗いような……。
「あのさ、俺も川瀬のこと好きなんだよね」
「え……」
「俺と付き合ってよ」
なんだか、澤田くんの顔がみるみる近づいてくる。なんか、怖い。
「ねぇ、川瀬」
手を取られた。ど、どうしよう。
「ごめん。付き合えない。好きな人いるから……」
真也に教わった。はっきりと断る。
「え?付き合えないの?じゃあキスしていい?」
「え、ちょっと……」
怖い怖い怖い。澤田くんが迫ってくる。
澤田くんに両手をつかまれる。もう逃げられない。
怖い。誰か……。助けて。
「ねぇ、そいつ俺のなんだけど」
真也の声?!
「あ?」
その瞬間。澤田くんの手が離れる。
そのすきに……。
私は走って旧校舎の陰にかくれた。
「その女。俺の」
「なんだよ。真也。お前かよ」
澤田くんと真也が話してるのが聞こえる。
「そーだよ。りんごは俺のだから」
「はぁ?川瀬は付き合ってるやついねーだろ」
「いや、りんごは俺の」
「ったく、じゃますんなよ。川瀬とキスしようと思ったのによ」
二人とも鬼の形相で話している。手が出ないといいけど。
「川瀬がいいって言ったのかよ?」
「別に?どうしようと俺の勝手だろ?」
「はぁ?ふざけんな。りんごがどれだけ怖い思いもしたと思ってんだよ」
真也が手を振り上げた。
「やめて!」
私は思わず止めに入った。
「りんご……。逃げるぞ」
私と真也は二人で走って逃げた。屋上まで走った。
「もう、暴力振るったら停学だよ?下手したら退学になるかもしれないんだよ?」
「りんごを守りたかったから。」
「……。私じゃなくて、彼女を守ったら?」
お礼を言いたいのに、真也の彼女のことが気になって……。
「は?彼女?」
「哲くんが言ってたよ。最近部活終わってからすぐ帰ってるって」
「それがなんで彼女につながるんだよ」
「え?だって、彼女と待ち合わせて帰ってるんじゃ……」
「はぁ。ちげーよ」
「え、そうなの?」
「言っただろ?俺は、俺の好きなやつをとるって」
「え?好きな人いるの?」
彼女じゃなくて、好きな人……。だったのかなぁ……。
「はぁ。お前は鈍感なんだか察しが悪いんだか……。」
「俺が、好きなのはお前だよ。川瀬凛」
「え……?!私?」
心臓がうるさいくらいになっている。
「気づかなかったのかよ」
「うん……。じゃあ、なんで付き合おうって言ったとき付き合ってくれなかったの?」
「それは、お前が哲のこと好きだったから」
「あのときに付き合っちゃえばよかったのに」
「だーかーらー。振り向いてくれなかったら、振り向かせるって言ったろ?」
「だって、哲くんと帰らせてくれたじゃん」
「哲に頼んでたからよ。哲は俺がりんごのこと好きってこと知ってるから」
「え……。そうなの?」
「そーだよ」
なんか一気に体の力が抜ける。
「それから凛」
ドキッ。久々に名前で呼ばれた。いつもりんごってあだ名だから余計にドキドキする。
「誕生日おめでとう」
「え?」
真也は小さな箱を渡してきた。
「部活終わってからバイトして金ためて買った。だからすぐ帰ってたんだよ。部活終わって」
「そう……なの?」
「おう」
「開けていい?」
私は小さくラッピングされた箱を丁寧に開けた。
「わぁ!きれいなネックレス」
「ありがとう!真也」
「あのさ、凛」
「俺と付き合ってください」
「はい。喜んで」
私は多分最初から真也のことが好きだったのかもしれない。
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